大型観光バス「セレガ」

実用的なバスのイメージを刷新!日野自動車「セレガ」

こんにちは!編集部Iです。

今回は日野市に本社のある、日野自動車さんを取材してきました!

バス会社さんを取材するたびにドライバーさんから「日野自動車のバスは、デザインがカッコいい!」、「おしゃれな感じ」という声をよく耳にします。

以前、三菱ふそうバスのデザインは、「クールで男らしい」、「硬派なイメージ」とご紹介したことがありました。

日野自動車のバスは、「洗練されている」、「柔らかく丸みのあるしなやかなイメージ」という印象でしょうか?

今回から3回に渡り、「日野らしい」デザイン、バス製品開発のポイント、安全へのこだわりについて徹底レポート!日野自動車のバスファン、必見ですよ~。

2005年にグッドデザイン賞を受賞!日野自動車「セレガ」

日野自動車の観光バス・高速バスタイプといえば「セレガ」。

2005年にフルモデルチェンジして発売
(写真提供:日野自動車)

2005年に15年ぶりのフルモデルチェンジを果たした際、1957年に通商産業省(現:経済産業省)が創設したのグッドデザイン賞(現在は、公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催)を受賞しています。

バスの製品開発に携わる山口さんにお話しをうかがったところ

「あのバスに乗って、旅行に行きたい!」と感じてもらえるような外観デザインを目指したそう。

従来のバスのイメージというと「角ばっている」、「華がない」、「実用第一」といった印象でした。

それを覆す「セレガ」のデザインポイントとしては・・・

●バスの前面からサイドにかけ、取り巻くように付けた大きなガラス窓(開放感のある全面サラウンドウインド)
●フロントガラスの下からサイドに繋がるシルバーの帯「アクセントピラー」
●フロントガラスとアクセントピラーの間にある「LEDアクセサリーランプ」
●バス天井(ルーフ)と自然に一体化させたエアコンのカバーデザイン(防水形状エバポレーターカバー)

セレガ外観デザインのポイント
(写真は第2回バステクin首都圏より)

が挙げられます。

スピード感のある「弾けるような元気」とひと目で「HINOのバス」とわかる個性的なスタイルを表現していますね!

そして、バス車内へと目を向けると

●らせん階段のようなステップと手すり(ラウンディッシュエントランス)
●階段から通路への段差をなくしたフラットフロア

セレガ車内の様子
(画像提供:日野自動車)

●吹き抜けのようなドーム天井とLEDファイバー照明

セレガのドーム状天井
(写真提供:日野自動車)

が乗客を出迎えてくれます。

バスへのスムーズな乗り降りはもちろん、驚きや感動、おもてなしの心を表現したかったとか。

編集部Iも先日、クラブツーリズムの旅行で出雲に出かけた際、現地での移動で利用したバスが「セレガ」でした!

このドーム天井は、車内空間がとても広々と感じましたし、初日は前から2列目の席だったので、窓からの眺望も良く、楽しい旅になりました。

わざわざお金を追加で払って、前の座席を指定する(クラブツーリズムのオプションサービス)お客様も多いというのもうなずけます。

「セレガ」が受賞したグッドデザイン賞は、デザインの優劣だけを評価するものではなく、「暮らしや社会を豊かにする」かどうかも判断基準になっています。

そして、そのデザインに込められた考え方や方法論が、「未来への創造力」を刺激するものであることも大切なポイント。

日野自動車の「バスに関わるすべての人に楽しさ・元気を与えるような観光バスを創りたい」というモノづくりの姿勢が、評価されての受賞ということなのでしょうね!

観光バスのトレンドは、シンプルとプレミアムの2極化!

最近話題になっているのは、豪華仕様のバス!高速バスはもちろん、ツアーバスや観光バスにもこのプレミアム化は進んでいます。

以前、各社がオリジナルで開発したプレミアム観光バスについてご紹介したことがありましたが、日野自動車にも特別なバス開発の要望が多く寄せられているそうです。

「第40回東京モーターショー2007」でファーストクラス大型観光バス「日野セレガ・プレミアム」が参考出品されていたのを覚えていらっしゃるでしょうか?

実際に活躍しているプレミアム仕様のセレガとしては、三越伊勢丹旅行で導入された「三越伊勢丹プレミアムクルーザー」。2008年当時、45席設置できる大型の観光バスに、わずか10席のみという贅沢さが話題を呼びました。

2011年には2台に増車。そして、初代クルーザー引退のタイミングで2台が追加され、現在では3台が運行中です。

三越プレミアムクルーザー
三越プレミアムクルーザー(写真提供:株式会社三越伊勢丹ホールディングス)

また、2017年3月には、JTB首都圏が「セレガ」のスーパーハイデッカーをベースにした、オリジナルラグジュアリーバス「ROYAL ROAD PREMIUM」導入を発表。「日本一周」のバス旅行を4月に発売しました。

JTB首都圏オリジナルラグジュアリーバス
大型ラグジュアリ-バス「ROYAL ROAD PREMIUM」(写真提供:JTB 首都圏)

シートは特注の本革独立シート11席で、すべて窓側に配置し、各席にパーソナルモニター(4チャンネル/DVD・テレビ等)を装備。バス車内には大型の化粧室・トイレ、飲み物を提供するパントリーの他、空気を清浄に保つプラズマクラスタも完備しています。

一般的なバスツアーは日帰りや1泊2日が主流という中で、2泊3日以上、さらに長いコースも疲れずに楽しめるように工夫されているところがポイント。

高速バスもたんなる移動手段ではなく「くつろぐ時間」として、設計されたバスが増えていますが、観光バス業界も同様の流れ。

「こういった個性的なオリジナルオーダーに、メーカーとしていかに応えていくかがこれからの課題」と山口さんもおっしゃっていました。

カスタマイズの必要がない、魅力的な基本設計・仕様

特別な1台を造りたいというプレミアム化の一方で、シンプルでリーズナブルな仕様の観光バスを購入したいバス会社もたくさんいらっしゃいます。

ご存じと思いますが、日野自動車といすゞ自動車は、バス部門の経営統合をして「ジェイ・バス株式会社」を設立。国内向けのバスの開発、設計、製造を共同で行っています。

観光バス・高速路線バスは日野自動車が、路線バスはいすゞ自動車が担当。お互いの意見を交換し合いながら、デザインから製造までを担っているそう。

「セレガ」の場合、プレミアム仕様以外は、標準仕様そのままで購入されるバス会社(オーナー)が多いといいます。

バブル時代の観光バスといえば、サロン仕様(後部座席がコの字に回転するタイプ)に床は真っ赤な絨毯敷き、豪華絢爛なシャンデリア(!)が付いてるというイメージでした。

編集部Iもそんなバスを貸切って社員旅行に行った経験がありましっけ・・・(苦笑)。

当時は味気ない事務的なデザインのバスが主流。バス会社としては、なんとか楽しいバス旅行を演出しようと、精一杯個性を出したり、飾りたてたりする傾向にあったのではないかと思われます。

「セレガ」が現在、標準仕様そのままで受け入られているのは、シンプルで使いやすい設計でありながら、ワクワク感、躍動感のあるデザインにこだわっているところが評価されているのでは?

カスタマイズの必要のないデザイン
(写真提供:日野自動車)

15年経っても色あせない魅力、そして、働く車として自由自在に乗りこなせるところが、人気の秘密なのかもしれません。

乗り心地にも「おもてなしの心」

バスでなくても、長時間車に乗り続けると振動や上下の揺れなどでかなり疲れます。

「セレガ」のサスペンションは、フロント・リアともにエアスプリングにサージタンク(空気をいったん溜めておくタンク)を装備。エアスプリングの空気容量を最適に保つことで、安定した走りとソフトな乗り心地を両立させています。

オプションで4軸電子制御サスペンションを追加しているバスでは、走行状況をコンピューターが常時モニター。路面の状況に応じて乗り心地を快適に保つので、さらに疲れにくくなっています。

フルオートエアコン標準装備
(画像提供:日野自動車)

また、エンジン直結のフルオートエアコンをどのバスも標準装備。燃費を抑えながら、きめ細やかな温度調整ができます。

さらに、カビやアレルギー物質を抑制する除菌イオン発生装置「プラズマクラスターイオン(※シャープ株式会社の商標登録)」で、車内の空気を清浄に保ちます。

季節を問わず、バスでの長距離移動や旅行が快適に楽しめるのはうれしいですね!

ところで、観光バスのシートもなぜ青い??

以前、路線バスのシートが青い理由について迫ったことがありました。でも観光バスも青いシートが多いような気がします。

こちらも製品開発部の山口さんにうかがってみると・・・

「特に青系が選ばれる理由はないようです」という答えが返ってきました。

路線バスの場合は、ノンステップバスとして認定される基準があり、シートは青系、手すりはオレンジ系を採用することで、その申請の手間を簡単にするという狙いがありました。

しかしながら、観光バスにはそのような制度はないため、座席の色は青系を積極的に選ぶ理由がありません。

「セレガ」以前のモデルでは、カラフルで豊富なバリエーションのシートを用意していたそうですが、ほとんどオーダーされなかったそうです。

現在もグレーやブラウン、レッド、パープルなど、ブルー以外のシートカラーや生地などをオプションでラインナップしています。でもやはり最も選ばれているのは「青系」。唯一の例外は九州エリアの方だそうで、「赤系」を選ぶオーナーさんがいらっしゃるそう(笑)。

セレガのシートカラーはいろいろラインナップ
(写真はバステクフォーラム2016より)

バスを購入する担当者、決済者が年配の男性だから?あるいは、青系は無難で汚れも目立ちにくいから??

これは編集部Iの想像なんですが・・・。

男性の10人に1人の割合で色弱がいる(男性の約5%)といわれています。赤系統と緑系統の色の区別がつきにくく、あいまいな中間色などは識別できないという人も(編集部Iの夫も色弱で紫などは青に見えています)。

そんなことも、青系人気の理由の一つになっているかもしれませんね。

最近の高速バスでは、青以外の色のシートがたくさん出回っています。観光バス業界でもプレミアム仕様のバスはその傾向です。一般的な貸切バスにもこのムーブメントはやってくるのでしょうか?!

「セレガ」では、標準仕様のスタンダードの他にオプションとして、高級感のあるハイグレードタイプ、横幅にゆとりを持たせたハイグレードワイドタイプがあります。今度、ツアーやバス旅行で「セレガ」でお出かけの際は、シートの色やタイプにもぜひ注目してみてくださいね!

さて、次回は日野自動車がこだわる「バスの安全性能・環境性能」について詳しくご紹介しましょう!

≫新型コロナウイルス感染症対策「リエッセⅡ」「日野セレガR」の換気性能について
≫新型コロナウイルス感染症対策「日野セレガ」の換気性能について

■取材協力
日野自動車株式会

「セレガ」の製品情報

■写真提供
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
株式会社 JTB 首都圏

※プレミアムバスのツアーについては下記までお問合せください。
株式会社三越伊勢丹旅行
ロイヤルロード銀座

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穴場のお出かけスポット、日野で発見!「日野オートプラザ」
日野自動車の歴史でたどる、日本のバスの進化!
日野自動車の観光バス「セレガ」の魅力について
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この記事を書いた人
バス観光マガジン編集部 編集ライター

バス観光マガジンの中のヒト。貸切バスについての基礎知識やバス旅行のヒント、バスファンのための情報など、バスに関する楽しいコンテンツを日々お届けします。

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