貸切バスは禁煙か?喫煙OKか?現在は「禁煙」です
たばこが吸えるバスを貸切りたい!
「貸切バスの達人」事務局によくある問い合わせのひとつに「喫煙可能の有無」と「禁煙車に乗りたい」という要望。
最近では厚労省の「受動喫煙防止対策」により、公共交通機関では禁煙のところが増えています。飲食店やレジャー施設など、妊婦さんや未成年者などを含む不特定多数の人が利用するところはほぼ禁煙。
職場でも禁煙・分煙というところが増えていると思います。
いわゆる乗合バス(路線バス・高速バス)では、法令により原則禁煙。
貸切バスでも実態的には禁煙。(旅行会社等によるチャーター、いわゆるツアーバスなどの場合は原則禁煙)
個人の団体で観光バスをチャーターする場合は、契約者(団体)の判断にゆだねると厚生労働省「公共交通機関の受動喫煙防止対策取組み状況について」に記載があります。
そんな中、あえて「喫煙OK」をうたう貸切バス会社さんもないわけではありませんが・・・。
正直、たばこをバスの中で吸ってほしくないと思うバス会社さんの方が圧倒的に多い。そのいちばんの理由としては「たばこの臭いが消えない!」というお悩みです。
たばこ特有のあの臭いの正体は?
家でたばこを吸う人がいると、部屋が臭くなる。服に臭いがついてとれない。
というお悩みがあると思います。
たばこの臭いで最も多いのは「アセトアルデヒド」、次いで「硫化水素」。
「アセトアルデヒド」といえば、そうです、あの二日酔いになる成分としておなじみですよね。
別名、エタナールといい、独特の刺激臭があり、粘膜(主に眼・鼻・気道)に対する刺激作用があります。合成樹脂や合成ゴムの材料としても使われます。
「硫化水素」は、火山ガスや鉱泉などに含まれる“腐った卵のような臭い”がするアレです。自然界にもよく存在する有毒ガスと同じ成分です。
もうこれだけ聞いても、たばこが臭いのは当たり前ですよね・・・。
それ以外に、アンモニア、ホルムアルデヒド、脂肪酸、炭化水素類、窒素化合物が含まれています。
たばこでよくいわれる「ニコチン」は、アルカロイド(毒性を持つものも多いが医薬品としてもよく使われる化学物質が多い)の一種で、神経系に作用する物質(興奮、麻痺など)があることで有名です。
ニコチン自体に刺激臭があるわけではなく、他の臭い成分が複雑に混ざり合い、特有の「たばこ臭」になっています。
たばこのもう一つのお悩みはあの「ヤニ」。壁紙が黄ばんだり、べたべたしたりするので、掃除が大変!
いわゆるタールと呼ばれる成分が、ヤニの正体です。
たばこの臭い、どうやって解消する?
そもそも臭くなるのは、臭いの成分が付着しやすいから。たばこの臭いに限らず、表面積が広いものに臭い成分は吸着しやすいという性質があります。
よく、防臭対策として竹炭や活性炭が使われるのはその理由。細孔がたくさんあいており、例えば活性炭は1gあたり1000m2以上の表面積をもつといわれています。
また、臭いの成分には脂に溶けやすいものも多いので、皮脂に溶け込んで臭いが残るというのもあります。
衣類に付いた臭いはスチームアイロンをあてるととれるのは、繊維に付着した臭い成分が蒸気で飛ばされることによります。
窓を開けたり、風をあてるなどして拡散させると再付着を防げますよ。
衣類のケアはカンタンにできそうですが、難しいのは部屋や観光バス車内についた臭い・・・。
ホテルや旅館でも最近では、喫煙・禁煙とわけているところが多くなっていますよね。
それは、カーテンや壁紙、家具・・・とあらゆるものが臭いを吸着してしまうので、それらをすべてクリーニングすることは難しいからです。
観光バスでも同じで、最近では窓が開かないタイプがほとんど。
スチームを座席のシート等にあてても、換気ができないと再付着してしまいます。
あるバス会社さんにうかがったときも「床や窓にも臭いが付着するので、ホント、掃除が大変!」とおっしゃっていました。いわゆる消臭剤や消臭スプレーを使っても取り除ききれないこの臭い。
他に対策はあるのでしょうか?
バスを禁煙にできないときは・・・?
ほとんどの観光バスに採用されているのがデンソーのバスエアコン。
観光バスの車両の中には、プラズマクラスターイオン発生機※付きの車両があり、ある程度の臭いが付着するのを防げるといいます。
プラスとマイナスのイオンをプラズマ放電で作り出し、放出することで、空気中の浮遊カビ菌の作用を抑制し、空気をキレイに保つというものです。
「あるバスメーカーさんでは、標準装備になっていますよ」と、デンソーセールスの富樫さん。今後はどのバスにも標準装備になっていくのかもしれませんね。
※この製品は、シャープ株式会社の空中浄化技術である「プラズマクラスター技術」(プラズマクラスターイオン発生デバイス)を搭載しています。
プラズマクラスターはシャープ株式会社の登録商標です。
さらに、デンソーセールスさんには「バスエバクリーナー」というものがあります。
これは、エアコンのエバポレーターを洗浄するケミカルで、エアコン部品を傷めず風量回復するとともに、除菌・抗菌作用を発揮してくれるスグレモノ。
消臭成分が吸着して無臭化し、中でもカビ臭の発生を長期間抑えるのが特徴です。
「そして、もう一つ有効なのは、防臭抗菌コート施工サービスです」。
新車の状態で施工するのが最も効果的ですが、すでに臭いがしみついてしまったような状況でも施工可能だとか。
「まずはバスの車内を徹底洗浄し、殺菌・消臭後、空気触媒セルフィールでコーティングします。
この空気触媒は、空気中の水と酸素を“ラジカル”に変え、臭いの成分を分解し、細菌やウイルスも不活化。24時間365日、空気さえあれば働き続けます」と富樫さん。
しかもこの触媒は天然ミネラルを使用しているので人体にも環境にも無害。
無色無臭なので、座席のシートなどを変色させたりもしません。
効果は数年(3~5年ぐらい)持続するので、たとえば7年に1回シートのリフレッシュをするタイミングで一緒に施工するというのもおススメだそう。
これなら「臭いがとれない」、「掃除が大変」・・・というバス会社さんのお悩みにも、バッチリ応えてくれそうですね。
貸切バスを利用する側も配慮しよう!
つい先日も「喫煙はご遠慮ください」とお願いしたにも関わらず、バス車内で喫煙されて困った・・・。というケースがありました。
貸切バスを借りる際、「バス車内は禁煙です」と言われた場合は、必ず守りましょう。
また、たばこに限らず、ついついハメを外して飲みすぎて車内で嘔吐・・・。
あるいは、海水浴で利用し、砂だらけのままバスに乗り込み、掃除するのが大変だった・・・。という声もよく聞きます。
貸切バスは毎日さまざまなお客様が利用します。
どのお客様にも、バス車内で快適で楽しい時間を過ごしていただきたいとどのバス会社さんも思っています。そのため、利用後はていねいに愛情こめてお掃除し、メンテナンスをしています。
酔って暴れてバスの備品を壊したり、わざと汚したり、運転手さんの指示に従わないなどの行き過ぎた行為があった場合は、法律で罰せられたり、損害賠償請求をされる場合もありますので、くれぐれもご注意を!
ちなみに乗合バス(路線バス・高速バス等)では、「旅客自動車運送事業運輸規則」第五十三条で以下のような行為を禁止しています。
一 走行中みだりに運転者に話しかけること。
二 物品をみだりに車外へ投げること。
三 自動車の操縦装置、制動装置その他運転に必要な機械装置に手を触れ、又は非常口その他事故の際旅客を車外に脱出させるための装置を操作すること。
四 走行中乗降口の扉を開閉すること。
五 一般の旅客に対して寄附若しくは物品の購買を求め、演説し、勧誘し、又は物品を配付すること。
六 禁煙の表示のある自動車内で喫煙すること。
七 第四十九条第四項の規定による制止又は指示に反すること。
八 走行中の自動車に飛び乗り、又は飛び降りること。
たとえ貸切バスであっても、バス車内で上記のような行為は慎まなければなりません。
利用する側も、マナーを守り、良識をもって利用したいものですね!
■写真提供・取材協力
株式会社デンソーセールス
http://www.denso-sales.co.jp/
東京都渋谷区松濤2-15-13
■参考資料・出典
厚生労働省「公共交通機関の受動喫煙防止対策取組み状況について」
国土交通省「旅客自動車運送事業運輸規則」
バス会社の比較がポイント!