
「第4回バスドライバー安全運転コンテスト東京 2025」で「はとバス」が団体優勝。小池都知事を表敬訪問しました
貸切バスの安全な運行に大きな役割を担っているバスドライバー。その高い安全意識と技術を披露する場として2016年からスタートしたのが「バスドライバー安全運転コンテスト東京」です。
以下は第3回目のコンテストの様子。
2025年は第4回目となるコンテストで、団体優勝を飾ったのが株式会社はとバス。しかもプロドライバーでもかなり困難だというコンテストに、チャレンジにしたのが2名とも女性ドライバーという快挙でした。
そんな快進撃を見せたお2人が小池百合子都知事を2025年3月19日(水)に表敬訪問。当日の様子を取材してきましたのでご紹介しましょう。
「バスドライバー安全運転コンテスト東京」とは

「バスドライバー安全運転コンテスト東京」は一般社団法人 東京バス協会主催で行われ、2025年で4回目を迎えます。「一般路線バス部門」「高速路線バス、空港連絡バス、貸切バス部門」の2部門で開催。
特にルートが決められていない貸切バスの運転は、バスドライバーの中でも経験や技術が必要といわれており、路線バス以上にその技量が試されるといっても過言ではりません。
コンテスト会場は府中運転免許試験場で、「狭あい箇所方向転換(たこつぼ切り返し)」「直角クランク」「5本パイロン」など、かなり高度な技術を要する内容で競われるのだそう。パイロンは接触すれば減点、倒せば即失格という厳しさです。
2025年度は同協会加盟の11事業者(はとバス、フジエクスプレス、東京空港交通、帝産観光バス、ジェイアールバステック、日立自動車交通、東京バス、プリンシプル自動車、東都観光バス、群馬バス、ジェイアールバス関東)・22名のドライバーが参加。
あらゆる場面でいかに安定した走行ができるか、基本的な運転技術や精度を競い合い、優秀な成績を収めた団体と個人が表彰されました。以下、表彰結果です。
■団体表彰
【優勝】はとバス
【準優勝】日立自動車交通
【第3位】ジェイアールバス関東
■個人総合表彰
【優勝】東都観光バス(高橋俊行さん)
【準優勝】日立自動車交通(松井道康さん)
【第3位】はとバス(吉*田由香里さん)
*吉田さんの「吉」、正しい表記は「土」の下に「口」です。以下同。
■種目別個人表彰
【Aコース敢闘賞】プリンシプル自動車(井出勝将さん)
【Bコース敢闘賞】フジエクスプレス(税所 大さん)
日立自動車交通の松井さんは以前、編集部が取材させていただいたことがあります。
はとバスの紅二点が挑んだ「第4回バスドライバー安全運転コンテスト東京 2025」

「第4回バスドライバー安全運転コンテスト東京 2025」に挑んだのは、野瀬奈留(のせ なる)さんと吉田由香里(よしだ ゆかり)さんのお2人。はとバスに所属する120名の乗務員のうち、女性ドライバーはこの2名だけなのだそうです。
吉田さんはバスドライバー歴22年というベテラン。野瀬さんはバスガイドを経てバスドライバーに転身し、6年目を迎えます。
吉田さんが入社された時、女性ドライバーはゼロ。更衣室や休憩室などは整備されておらず、「女性がバスを運転するなんて」というアウェー感満載の状況からのスタートでした。
はとバスで女性ドライバーが働きやすい環境を切り開いてきたお2人

「誰でもできる仕事は嫌、自分じゃなきゃダメな仕事をしたかった」という吉田さん。入社当時は女性ドライバーは自分1人という状況でしたが、大好きなバスの運転がしたいという思いで続けてきたといいます。
最初は女性ドライバーなんてという声も多かったそうですが、いまでは応援する声が増えたとのこと。女性が働きやすい環境を整え、ここまで育ててくれたはとバスに感謝していますとおっしゃっていました。
一方の野瀬さんはトラックの運転をしてみたいという憧れがあったそうです。そんな時、高校の修学旅行で東京を訪れ、はとバスに乗る機会がありました。
バスの運転も格好いいなと卒業後、はとバスに入社。免許を取得できる年齢までバスガイドを務めていたそうです。
免許取得後は念願かなってバスドライバーに。女性の場合、結婚・出産・子育てとライフステージが変化していくので、それに合わせた働き方ができるようになると嬉しい、とおっしゃっていました。

ちなみにはとバスの代表取締役社長は女性で武市玲子さん。最近、はとバスでは男性のバスガイドもいるようで、トイレ・更衣室・控室・休憩室などの整備も整え、どなたでも快適に社内で過ごせるように尽力されていらっしゃいます。
プロドライバー泣かせの“たこつぼ切り返し”
最高難度という呼び声も高い種目「狭あい箇所方向転換(たこつぼ切り返し)」。出入口はバスと壁の間はわずか5㎝、16m四方の狭いスペースでバスを切り返すというちょっと想像の斜め上を行く競技です。
切り返しの回数、方向転換までの時間で争われる種目で、個人部門では吉田さんが3位、野瀬さんが6位という快挙を成し遂げました。
はとバスでは会社の敷地で練習できる環境が整っていたので、自分たちは恵まれている、と吉田さん。業務の合間を縫ってお2人とも励まし合いながら練習に励み、結果を出せたことをとても喜んでいらっしゃいました。
お客様と一緒にバスの旅を楽しんでいるというお2人

はとバスの運転士として安心と感動、笑顔をお届けしたいとともに、自分自身もバスの旅を楽しんでいると吉田さん。女性ドライバーをもっともっと増やしたいという夢を語っていらっしゃいました。
野瀬さんは自分の故郷である愛媛へ、瀬戸大橋やしまなみ海道を渡り、はとバスでお客様を案内してみたいとのこと。いつか野瀬さんの運転で四国ツアー、実現するかもしれませんね。

今回の快挙でバスを運転する仕事に興味を持つ方が増えていけばと吉田さん、野瀬さん。東京都では女性活躍の輪を推進していると語る小池百合子知事も、お2人の活躍を知り、後に続く多くの女性に勇気を与えてくれたと祝福していらっしゃいました。
バスドライバー不足に悩むバス業界ですが、新しい風を吹き込んでくれたお2人。これからの益々のご活躍、楽しみにしたいと思います。
■取材協力
東京都交通局
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