都バス訓練スタート

テロに備えよ!平成28年度都営バス情報伝達訓練

こんにちは!編集部Iです。

今回は東京都交通局が主催する平成28年度情報伝達訓練を取材してきました。場所は品川営業所港南支所内。品川駅港南口から都営バス「品99」に乗り、「港南四丁目」で下車すぐのところにあります。

さっそくバス停に向かったところ・・・。

「東京入国管理局に行かれるひとは急いでください~!」という声。そして私の顔をみた職員の方が「さあ、もう出発しますよ、急いでください!」と誘導してくれます。

平日は「品川99折返」東京入国管理局前行きのバスが同じバス停から出発します。たくさんの外国の方がバスに乗り込んでいきます。ちょっと親近感がわくお顔立ちの方がたくさん・・・。

(デモワタシ、ニホンジン、ヨク、ガイジンニ、マチガエラレルケド、入国管理局に用はナイヨ・・・)」と心の中で思いつつにっこりとほほ笑んで、バスに乗り込みます。

到着~♪

港南支所は都営港南四丁目第2アパートの下層部にあり、すぐ脇をモノレールが走っています!びっくり!

港南支所の脇にはモノレールが走ってる

「情報伝達訓練」では、都営バスを運行中に緊急事態が発生したという想定で、対応能力向上を目的に毎年実施されています。

昨年は江戸川自動車営業所臨海支所にて、バス運行中に重大事故が発生したという想定で行われていました。

東京都交通局品川自動車営業所港南支所

今年は平日の早朝にテロ(爆破予告)が発生という想定で実施。テロ情報に関わる連絡体制に基づき、迅速かつ正確な情報伝達を行う訓練をします。

また、MCA車載無線機(800MHz帯の電波を利用したデジタル業務用移動通信で、災害時の通信確保に最適なシステム)を活用して、運行中の各乗務員へ車両点検を指示。不審物の確認を行うとともに、乗客の安全を最優先とした避難指示などの対応訓練を行います。

都営バスモニターも参加し、緊張感のある訓練がスタート

都バス訓練スタート

参加した都営バス営業所はAブロック(品川営業所、港南支所、渋谷営業所、新宿支所、小滝橋営業所、杉並支所、早稲田営業所、青梅支所)、そして、自動車部営業課。乗客役として都営交通モニターが参加です。

都営交通モニターも訓練に参加

シナリオの一部をブラインド化(伝達内容は直前まで明かされないで訓練スタート)し、職員以外の一般人も参加することで、緊張感をもって訓練に臨めるように工夫されています。

開会式では、実際に都営バスへ爆破予告の電話が入るという事件があったこと。爆発物は発見されなかったが、今後、同じような事件が発生することは予測できるため、今回の訓練を通し、緊急対応能力を高めていきましょう、というお話がありました。

最近、自治体などへメールで爆発予告が送られてくる事件が発生しています。2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、不測の事態に備えたこういった日ごろの取り組みはとても大切ですよね。バスは身近な交通手段であり、私たちの生活にとてもなじみ深いもの。一般の利用者も一緒に訓練に参加することで、いざというとき、どのように行動すればいいか、とても役立つ体験に違いありません。

爆破予告が渋谷営業所に入電!

各営業所ごとのテントを設営

平日の朝8時20分頃、犯人から渋谷営業所に「都営バスに爆弾を仕掛けた」との電話が入り、一方的に切られます。電話を受けた職員は課長代理に相談した上で所長に報告。警察への通報と東京都交通局の本局、営業課へ連絡、運行中の車両へ無線連絡を指示します。

渋谷営業所にバス爆破予告が入電との想定

情報共有のため、ホワイトボードへ時系列で記入。速やかに営業所内の点検、駅前バスターミナル警戒、運行中車両を近くのバス停で停車して車内点検を行うよう指示が出されます。

最寄りのバス停で停車し車内点検

用意されたバス停でバスが停車。乗務員は営業所からの緊急連絡で、停留所にいったん停車し、車内点検を行うことをアナウンス。騒然となる車内。乗客役のモニターから乗務員へ質問が飛びます。

お客様の安全確保のため車内・車外の安全確認を行うことを説明、慌てず冷静な態度で対応してもらうように指示します。

バスを降りてエンジンルームや下回りなど、不審な点はないか確認後、再びバスを発車させました。

入手したテロ情報を関係各所へ連絡

場面は変わり、テロ情報を入手した渋谷営業所の職員が営業課運行宇管理担当へ報告。手分けをして対応に当たっていることを伝えます。

本局運行管理担当

報告を受けた営業課運行管理担当は、自動車部長をはじめ、国土交通省、安全対策推進課、広報担当へ報告を行います。

またMCA無線を利用し、都営バスの全営業所・支所へ施設の点検、バスターミナルの警戒、運行中車両への車内点検(起点・終点)を指示ししました。

そこへ再び渋谷営業所に犯人から再び電話。

爆弾をしかけたのは渋谷営業所の管轄のバスではなく、10時に大井ふ頭を走るバスを爆破すると告げ、電話を切ります。

急いで所長に報告するとともに警察へ連絡。大井ふ頭を運行しているバスの路線図を広げ、品川営業所と港南支所が所管していることを確認し、すぐに連絡を入れます。

品川営業所へ連絡

さらに営業課運行管理担当へ電話。大井ふ頭付近を管轄している湾岸警察署に連絡します。

バスから降りた怪しげな人物と不審物を発見!

大井ふ頭を走るバスが登場

爆破予告を受けた運行系統のバスが登場。乗客が降車ボタンを押します。バス停に到着すると怪しげな人物が1人、降車していきます・・・。

怪しい人物がバスを降車

と、そこで爆破予告が入ったと無線連絡が入ります。バスの運行を直ちに停止し、お客様を安全に車外へ誘導。すみやかに車内車外へ不審物がないかの点検をするように指示します。

バスを停車させた乗務員が車内アナウンス。運行を停止し、車内外の安全確認を行うことを告げます。不安な声と質問が飛び交うバス車内。「落ち着いて行動してください」と声をかけ、乗客たちを安全な場所に誘導する乗務員。

と、そこでバス車内に不審な段ボールを発見!

不審物発見!

乗務員が乗客に荷物の持ち主がいるか尋ねます。すると、乗客の1人が荷物のある座席に座っていた怪しげな男性客が、先ほどのバス停で降りて行ったことを告げます。

乗客の1人が怪しげな人物が下りて行ったことを証言

乗務員はただちに品川営業所に連絡。お客様をバスから離れた場所へ誘導し、警察署の到着を待つように指示を受けます。営業所からは警察署に不審物発見の連絡。現場に急行する警察車両(東京都交通局ものを警察車両に見立てたものです)・・・。

警察車両が到着

その後、警視庁爆発物処理班が到着し、不審物が爆発物でないことを確認し、訓練が終了。現場にホットした空気が流れました。

不審物は爆発物ではなかった

スムーズな情報伝達と各関係部署との連携を確認

最後に訓練の講評を

約1時間程度の訓練でしたが、緊迫感のあるやりとりであっというまに終了しました。

テロ(爆破予告)が営業所に入電してからの本局との連携、警察や国土交通省等への迅速な連絡、乗務員の適切な行動など「万が一」に備えた手順を実践さながらに確認できました。

先日の国土交通省が主催する「運輸事業の安全に関するシンポジウム2016」で、小松原明哲氏(早稲田大学理工学術院教授)から安全影響要素の状態は常に変化しており、テロや大地震などは予兆なくいきなり大事故にいたると指摘。今までの備えで大丈夫かを確認し、緊急事態・異常事態への取り組み、事故を早期に回復するための組織・現場づくりは重要という話をされていたことを思い出しました。

いざというとき、私たち乗客もあわてずに乗務員さんの指示に従い、避難することが大切ですね!貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

■取材協力
東京都交通局

http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/

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この記事を書いた人
ちくわ

旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂!?

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