2022年「第8回バステクin首都圏」に観光仕様の電気バスや定員65名乗りのバスなど、話題の車両が大集結!

ぽると出版主催「第8回バステクin首都圏」が、2022年も無事大盛況のうちに終了。今年は埼玉スタジアム2002「東駐車場」から、千葉・幕張メッセの屋外展示場及び近隣第二会場へ舞台を移しての開催でした。

開催されたのは勤労感謝の日・祝日の前日、2022年11月22日(火)です。お天気が懸念される中、見事な晴天で暑いぐらいの1日。

首都圏を中心に、北は北海道(旭川・札幌)、南は九州(福岡・大分・佐賀)からと、全国から大勢の方が来場されたとのこと。バス事業者の皆さまやバスファンの方々など、イベントに対する期待値の高さが、素晴らしい天気を招いてくれたようですね。

私が足を運んだのは11時を少し過ぎたころ。すでに会場には大勢のお客様が来場し、熱く熱く盛り上がっていました。

勢ぞろいするバス試乗車
勢ぞろいするバス試乗車

大型バスからマイクロバスまでさまざまな車両がずらりと並ぶ光景はワクワクします。さっそく当日の様子をダイジェストでご紹介していきましょう!

見た目も楽しいジェイ・バスの「ファン!バス」

ジェイ・バスの「ファン!バス」

ジェイ・バスが展示したのは、いすゞエルガをベースに車体後半をステップアップした、ユニークな外観と優れた眺望が特徴のオリジナルバス「ファン!バス」。

ファン!バスはいすゞエルガがベース

「FUN! 楽しい」「FUN!面白い」「FUN! 遊びゴコロいっぱい」の新しいチャレンジとして、ジェイ・バス宇都宮工場が手がけたオリジナルバスです。

車両前方は広く移動しやすいノンステップエリア

バス前方は移動しやすい広々としたノンステップエリア。バス後方は底面を33㎝上げ、天井を40㎝かさ上げし、側天窓を設けることで車内からの眺望が目いっぱい楽しめるようにしています。

写真ではなかなか伝わりにくいですが、ともかく開放感たっぷりで、バスの中は明るい陽射しでいっぱい。まさにバスでの移動が心躍る時間になりそうですね。

今回、レシップ製の無線押しボタンシステムを「ファン!バス」内で展示。

LECIP(レシップ)製の無線押しボタンシステム
レシップ製の無線押しボタン

こちらのメリットは、取り付け場所を選ばず、配線も不要。電池交換が不要なことと、押しボタンごとに個別の信号を活用できるので、レシップ製の車内液晶表示器と連動させ、押されたボタンの場所ごとに自動アナウンスもできるという優れものです。

レシップの出展ブース
レシップの出展ブース

レシップでは最近頻発している車内置き去り事故を少しでも減らすために、この電池レス無線押しボタンを活用した支援装置も開発しています。

仕組みは簡単で、エンジン停止後にチャイムが鳴り、車内後部などに設置した押しボタンを押すことでチャイムが止まるので、乗務員が自然と車内確認を行うことに。配線工事が不要なので、既存車両への後付けも簡単なので、すぐに導入できます。

電池レス設計のため運用負担が軽減できるのもメリットですね。

三菱ふそうが新事業として「ボディプリント事業」「バスリニューアル事業」を開始!

三菱ふそう製造・リニューアル車
三菱ふそうのリニューアル車

続いては三菱ふそうバス製造が手がけるエアロエースMS96をベースにしたリニューアル車。三菱ふそうバス製造は、三菱ふそうトラック・バス株式会社の100%子会社で、三菱ふそうバスを製造する会社です。

三菱ふそうバス製造では、新事業として「ボディプリント事業」「バスリニューアル事業」をスタート

リニュアル前後が比較できるサンプル車両
紺色部分が外装リニューアル後(プレスリリースより)

展示車両は、外装右後半と左前半にリニューアル工事を施し、車内のシート・床材などもリニューアル前後の比較ができるようになっていました。

リニューアル後のシートと床材
リニューアル後のシートと床材
床材の違いを比較可能
写真向かって右側が内装リニューアル後の床材仕上がり

さらに、三菱ふそう製造のもう一つの新事業である「ボディプリント事業」のデモ車両も展示。

ボディプリント事業のデモ車両
ボディプリント事業のデモ車両

従来のボディプリントでは、マーキングフィルムを張り付ける(フィルムラッピング)のが主流ですが、こちらのボディプリントはインクジェットプリンターの原理により、ボデーに画像データを直接プリントするという方式です。

ボデーに直接印刷する様子
(プレスリリースより)

この方法だと凹凸や湾曲のある素材へのダイレクトプリントが可能。オートボディプリンターで印刷するため、従来よりも4~5割のコストダウンが可能で、納期も1/3程度短縮できるとか!

特殊溶剤を使用することで何度でも塗り替えが可能となっています。従来であれば、職人の手作業だったボディラッピングフィルム貼り付け作業を自動化。

色鮮やかでクオリティの高い仕上がり
色鮮やかでクオリティの高い仕上がり

しかも印刷がかなりリアルで鮮やかな仕上がりでした。こちらの手法なら、バスのみならず、トラックや乗用車、看板などどんなものにも施工が可能とのこと。

複雑なデザインや塗装とボディプリントを組み合わせたもの(既存車既存デザインへの上書きプリント)なども、お手頃価格で実現できるとは凄すぎます。

塗装+ボディプリントの組み合わせ
塗装+ボディプリントの組み合わせ

また、今回の展示車両では13列仕様の座席レイアウトも見ることができました。このタイプは補助席を含めて最大定員65名(運転手含めて66名乗車可能)を実現。

13列仕様の座席レイアウト

一度に大勢の人を輸送したい場合に便利で、学校の送迎利用などに人気があるタイプです。

バスは1台1台がオーダーメイドですし、高額なお買い物。気軽に新車導入とはいかないものです。外装や内装、ボディラッピングをもっと手軽に、しかもハイクオリティな仕上がりで実現できるというのは嬉しいですね。

安全・快適性能はそのままで、必要な装備に絞った「ユニバース・ベーシック」

ヒョンダイユニバースベーシック

韓国の現代自動車が、2020年に韓国語発音に近い「ヒョンデ」に変更。日本での社名も「Hyondai Mobility Japan(ヒョンデモビリティジャパン)株式会社」に変更になっています。

安全性や快適性、環境性能など高い水準をキープしながら、コストパフォーマンスの良さが魅力。「第8回バステクin首都圏」では、観光バスの装備品を一部見直し、都市間高速路線・企業送迎車に求められる仕様・装備をセレクトした基本モデル「ユニバース・ベーシック」を展示していました。

観光バス仕様のユニバースに比べ、運転席との仕切りも簡便化されています。

運転席と座席の仕切りもスマートに

路線バスの運行に必要な整理券発券機や運賃箱など、各種路線運行機器の取付けしやすいレイアウト。フロント上部には停留所案内や整理券運賃表示機の設置が可能なスペースも確保していました。

バス事業者ごとに必要な装備の装着・非装着を選択できるようレスオプションも幅広く用意しているとのこと。コストダウンをかなえるサービスが充実していますね。

ユニバース・ベーシックの車内
ユニバース・ベーシックの車内

車内の客室シートは観光タイプのものを継続し、移動時間の快適さは確保されています。

外装もシンプルに

外観に関してもシンプルですっきりとしたデザインに。前後スポイラーを非装着とすることで、車両の軽量化を軽量化しています。

フロントガラスは左右分割式2ピースガラスを採用し修理時の作業時間や費用を低減た堅牢性に優れるスチールホイールを標準装備し、12R22.5のタイヤサイズを採用することでランニングコスト低減も図っています。

安全運転支援装置(衝突被害軽減ブレーキ・車線逸脱警報装置・車両安定装置)はもちろん、シートベルト、ECE基準に適合する安全ボディ、ドライバーに有効な視界を提供するディスチャージヘッドランプ、大型サイドミラー、フロントアンダーミラー(左右)を標準装備。

新型コロナウイルス感染症対策として車内換気能力も十分ということで、さらにコストパフォーマンス性に優れたモデルとなっていました。

Hyondai Mobility Japan(ヒョンデモビリティジャパン)からはこの他に、ユニバース観光仕様 ZFトルコンAT車が運転体験&試乗用に出店されていました。

電気バスの進化がスゴイ!関西電力/ダイヘンが充電システムを展示

ここ数年、電気バスの展示が増えていましたが、今回目を引いたのはアルテックから新しくトルコ生まれの小型電気バス「カルサン e-JEST」。日本初登場です。この他、電気バスの話題をダイジェストでご紹介していきましょう。

アルテック カルサン e-JEST

カルサン e-JEST
カルサン e-JEST

全長5.8m、全幅2m、定員22名乗り。BMW製EV用モーター・バッテリーを搭載し、1充電航続距離は210㎞です。

e-JESTの電池はBMW製

今回の展示車は欧州仕様で、左ハンドルのサンプル車となっています。

欧州仕様・左ハンドル車

座席は海外仕様のバスらしく簡便なもの。車内はコンパクトですが、ベビーカーや車いすをたたまずにそのまま乗車できるようになっています。

シートは簡便なもの

今回の「バステクin首都圏」での展示は、日本に新規参入するための市場調査が目的です。ヨーロッパの電気ミニバス市場では2020年から2年連続トップブランドの地位を獲得している「カルサン e-JEST」。全長6m未満というこおnコンパクトさは日本の道路事情にぴったりですね。

オノエンスターEV 7m車

オノエンスターEV 7車

オノエンジニアリング傘下のアジアスタージャパンが輸入・販売する、中国・揚州亜星(ヤーシン)製電気バス。小型バスとほぼ同じ長さですが、全幅は中型バスと同じぐらいあるため、中はかなりゆったりとした乗り心地。展示車両は2扉仕様ですが、1扉仕様もあります。

オノエンジニアリングからはこの他にも、9m級電気バスが運転体験&試乗車用として出展されていました。

EVモーターズ・ジャパン F8シリーズ2

EVモーターズ・ジャパン F8シリーズ2

EVモーターズ・ジャパンは、北九州を拠点にEV事業を展開。今回展示した車両はEVM-Jの10m級大型電気バスです。生産は中国ですが、心臓部のインバーターと電池は日本の技術を使った日本仕様。

心臓部のインバーターと電池は日本の技術を使った日本仕様

ボデーは耐久性と軽量化を両立させたステンレス骨格+カーボン素材となっています。今回の「バステクin首都圏」では初出展。2023年から大手事業者で運行開始が決定しているそうです。

EVモーターズ・ジャパンからはこの他に観光仕様8.8m電気バスが運転体験&試乗車用として出展されていました。

アルファバスジャパン ECITY L10

アルファバスジャパンの電気バスECITY L10

また、アルファバスジャパンの電気バスECITY L10が運転体験&試乗車として出展されていました。EVバス先進国である中国で設計・製造され、バッテリーは日本製、英国でデザインされたヨーロピアンスタイルのボデーが好評。

ストレスのない加速、静かな走り、災害時は防災ステーションとして活用できるなど、さまざまなメリットが注目されています。

関西電力/ダイヘン 電気バス充電システム

関西電力/ダイヘン 電気バス充電システム

電気バスの普及の要となるのは、やはり充電できるステーションの確保ですよね。路線バスは決められたコースを走るので良しとしても、貸切バスの場合はインフラ整備が欠かせません。

今回、関西電力/ダイヘンが電気バス充電システムについてのブースを出展。関西電力ではEVバスパッケージを提案。EVバス、充放電設備、エネルギーマネジメントシステムを一括で引き受け、補助金の代理申請も行うそうです。

2050年のカーボンニュートラルはもちろん、今後進んでいくであろう自動運転やMaaS、ワイヤレス充電などへの展開を視野にいれた提案は、多くの来場者の関心を集めていました。

二次架装やハイグレード仕様車、シートカバーの自由なデザインを提案するマイクロバス

小型の観光バスが製造終了し、コンパクトなバスといえばマイクロバス。かつては送迎用が主流でしたが、団体旅行の人数が10名前後とコンパクトになってきている昨今では、観光旅行にも適した装備やデザインが求められています。

ここ数年の「バステクin首都圏」でも、観光旅行やVIPの送迎に目を向けた豪華仕様のマイクロバスが展示されていました。

三菱ふそうの「ローザ」をベースに観光仕様に仕立てた車両を出展

三菱ふそうのローザ観光仕様車

三菱ふそうトラック・バス/三菱ふそうバス製造では、小型バス「ローザ」をハイグレードな観光仕様に仕立てたモデルを出展。

三菱ふそうローザ観光仕様
三菱ふそうローザ観光仕様

乗車定員数は14人(通常のマイクロバスの場合は20~21名で補助席が付くタイプが主流)で、特別仕様のシートをゆったりとレイアウトしています。

特別仕様のシートをゆったりレイアウト

バス車内の腰板にはサイドトリムを施し、高級感たっぷりです。

可動式の荷物棚を後部に設けている

天井中央には間接照明を設置、可動式の荷物棚を後部に設けており、空港やゴルフ送迎など荷物が多い旅行者にも対応できるようになっています。

首都圏初登場!「日野リエッセⅡ」をハイルーフ仕様にした中京車体工業の二次架装車

中京車体工業の二次架装者

中京車体工業は、小型バスをはじめ様々な二次架装を手掛けている会社。今回の「バステクin首都圏」では、もともと天井が高い日野リエッセⅡをさらに350㎜もハイルーフ化し、室内高を1,890㎜から2,120㎜までかさ上げしています。

車内空間が広々

写真だと伝わりにくいかもしれませんが、かなり天井が高く圧迫感がありません。荷物棚も小さなキャリーバッグなら楽々載せられるほど。

床下リフトでバリアフリー設計

指紋認証シフトロック、脱着シート、床下リフトなども装備されており、ご家族で車いすを利用している方がいても一緒に旅行が楽しめますね。

内装のイメージチェンジが簡単!丸菱工業のフリーデザインシートカバー

バステクin首都圏の常連さん・丸菱工業のフリーデザインシート

丸菱工業は自動車シートや内装品などを手掛けている老舗メーカー。特に三菱パジェロやデリカ、三菱ふそうローザのシートなどを手掛けていることで有名です。

そのシート設計のノウハウを活かし、自由なプリントが可能なシートカバーを制作しています。

フリーデザインシートカバーの生地は3種類

従来のバスシートに簡単にかぶせるだけ。用途に応じた好みのデザインに仕上げることができ、期間限定のキャンペーンやPRとして活用することができます。

選択も簡単で、生地素材も3種類(標準・抗菌・ラグジュアリー)からチョイスが可能。文字やイラスト、写真、QRコードも自由にプリントできます。

観光地とのタイアップなどいろいろな展開も楽しそうですね。

いまあるバス車両に安心・安全を後付け!ジャパン・トゥエンティワン

J21×中日臨海バス

衝突防止警報装置モービルアイ、右左折巻込防止警報装置シールドプラスを販売するジャパン・トゥエンティワン(J21)が、中日臨海バス所有の三菱ふそうエアロスターに実際に装着したモデルを出展。

後付け安全装置などを搭載

感染症予防に効果的なオーニット製オゾン発生装置(総販売元:坂本自動車工業)や、レゾナットの車内点検注意喚起放送装置 KMK-810シリーズ「かくにん君」も合わせて紹介していました。

すぐにすべての車両を最新モデルに買い替えすることは難しいため、こういった後付け警報装置で安全性を高めることができるのは、バス事業者にとってありがたいこと。

ジャパン・トゥエンティワンでは、AIを搭載した新世代モービルアイを新発売し、夜間歩行者検知もできるようにするなど、さらに高精度な機能を持つ警報装置を発売しています。

バス関連機器類、サービス類などを扱う会社が多数出展!

バステクin首都圏2022の出展ブース

今年もバス周辺の機器・用品・システムを扱うたくさんの企業が「バステクin首都圏」に出展されていました。すべてをご紹介しきれないため、以下一覧で失礼いたします。

毎回毎回、盛りだくさんですべてをご紹介し切れずにすみません。あまりにもボリュームが多いので、特別参加したジャムジャムエクスプレスと編集部取材スタッフ番外編は別記事でご紹介したいと思います!

そちらも合わせてぜひチェックしてみてください。

次回の開催も楽しみにしています!

ぽると出版出展ブース
ぽると出版出展ブース

■取材・撮影協力
株式会社ぽると出版「バスラマインターナショナル」

「第8回バステクin首都圏」
【開催日時】2022年11月22日(火・祝前日)10時~16時 雨天開催・入場無料
【開催場所】幕張メッセ屋外展示場および隣接地(〒261-8550 千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
【協賛】公益社団法人日本バス協会、関東地区バス保安対策協議会
【後援】国土交通省関東運輸局
【主催】株式会社ぽると出版


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・「第9回バステクin首都圏
・「第10回バステクin首都圏

この記事を書いた人
ちくわ

旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂!?

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