【JR東海ツアーズ×帝産観光バス】バス事業の裏側をのぞき見しちゃおう<バス会社営業所に潜入編>
2023年1月に催行されたJR東海ツアーズ・推し旅「発車、オーライ!観光バスの“裏側”まるごとみせます@東京」。前回は<バスガイド編>として、帝産観光バスのバスガイドさん裏話をお届けしました。
今回は東品川にある帝産観光バス本社・東京支店で、立体駐車場や洗車機体験、バスと綱引き、整備工場見学、バス社屋で運行前点呼などをレポートしちゃいます。
しかも、こちらではなんと“サプライズ”も待っていました!では早速ご紹介していきましょう。
第1回目「バスガイド編」はこちら≫
第3回目「“バス推し”N子のツアーレポート」はこちら≫
「発車、オーライ!観光バスの“裏側”まるごとみせます@東京」の行程
東京駅丸の内鍜治橋駐車場出発==国立競技場周辺(車窓)==レインボーブリッジ==晴海フラッグ(車窓)==月島もんじゃ(自由ランチ)==帝産観光バス東京支店(車庫・社屋見学)==東京駅丸の内鍜治橋駐車場着・終了
帝産観光バスでまずは立体駐車場体験!バスに乗ったままで地下にもぐります
今回のバスツアーで特に目玉となっていたのが、バスに乗車したまま立体駐車場の地下に潜ったり、最上階まで昇るという体験。そもそも、大きな車体のバスを立体的に駐車させるというのは、かなりレアなこと。
さらに、バスに乗ったままで立体駐車場を利用するなんて、まず経験できません。最初は地下へ潜る体験から、こちらは動画でお届けします。
もう少し揺れるのかと思いましたが、とても安定していて安心感があります。続いて、別のパレットに移動して最上階へ昇る体験をしました。
バスの上にバスがある。不思議な光景です。バスドライバーさんも初めての経験なのだとか。
立体駐車場はメンテナンスがとても大変で、お金もかかるため、ご苦労が多そうです。また、その日の運行が終わり、営業所にバスが戻る場合、入庫の順番待ちをしなければならないことも。
翌朝、出庫するバスの順番に並び替えて車庫入れしなければならないので、帰庫が重なると30分、1時間と入庫待ちすることもあるそうですよ。帝産観光バスのドライバー、あるあるですね。
実はあまり洗車機でバスを洗わない!?バスに乗ったまま洗車機体験
続いての体験はバスに乗ったまま洗車機でバスを洗う体験です。実はこの体験、バスイベントなどではおなじみ!子どもたちが大喜びします。
しかし、バスドライバーは自分が担当するバスを洗車機で洗うのを嫌がる方が多いとか。ほとんどの方が自ら手洗いするそうです。
実際に洗っているところを車内から見ていましたが、細かいところまではあまり洗えていない様子でした。バスミラーが出っ張っているため、ソフトな感じです。
雪道などを走ると、バスの下が汚れるので洗車機だけでは洗いきれないのではないかと思われます。会社のバスとはいえ、ドライバーたちが自分のもののように大切にしている、というのがわかるエピソードでした。
翌朝の筋肉痛に注意!大人も楽しいバスと綱引き
続いてバスと綱引きです。こちらもバスまつりなどのイベントでは人気のアクティビティ。
大型バスの重さはだいたい13~15トンで、スタッフの方で実験したところ、大人6名なら意外とスムーズに動かせるらしいです。そこで少しひっぱりにくくなるよう、タイヤの下に割りばし4本を入れることになりました。
今回のツアー参加者を3つのグループに分けて、どのグループが一番早くバスのタイヤを2回転させるまで引っ張れるか勝負。勝ったチームには帝産観光バスのオリジナルグッズ「エマージェンシーボトルセット」がもらえます。
「エマージェンシーボトルセット」とは、水筒代わりに使えるボトルに防災時に役立つグッズ(ホイッスルやアルミブランケットなど)をセットした人気の商品です。
私たちAグループがまず一番手で挑戦。ところが1ミリも動かせずに撃沈してしまいました。続いてBグループ、Cグループと挑戦。
どこのグループもなかなかのタイムです。そこでAグループ、皆さんから引っ張り方を学び、もう一度リベンジさせていただきました。
今度は無事にタイヤを2回転させることに成功!残念ながら優勝は逃してしまいましたがCグループに次いで2番目に早いタイムを出せました。
たかが割りばし4本ですが、意外にタイヤが回らないというのがわかり、びっくりです。
皆さんの命を守るために大切な運行前の「点呼」、運行管理者の仕事に密着!
続いて帝産観光バスの社内へご案内いただきました。こちらではバスが出庫する際に行われている点呼の様子を実体験。
運行管理者の方から、帝産観光バスで通常行われている点呼の様子をわかりやすくガイドしていただきました。
例えば点呼を行うカウンターの横には、2つの時計が掲示されています。1つは現在時刻を示し、もう1つは16時間後(実際は30分早く表示しているので15時間30分後)の時間を示している時計です。
ドライバーが1日、乗務してもよい時間は安全点検の時間(運行前・運行後それぞれ1時間ずつ)を含めて原則13時間までです。それ以外にさまざまな業務(掃除や報告、申し送りなど)を含め、最大で勤務しても良い時間は16時間まで。
うっかり時間をオーバーしてしまわないよう、2つの時計で労務管理しているというわけですね。
帝産観光バスでは各バスの位置が一目でわかるGPS機能を搭載
点呼を行うカウンターの前には、道路状況が一目でわかる大きなモニターが設置されていました。こちらを見ながら、事故渋滞や通行止めなどを確認し、適切な運行ルートを常に把握できるようになっています。
また、各バスにはGPSがついているので、どの場所にバスが停まっているか、動いているかも一目で把握。万が一の場合、近くにいる他のバスがヘルプに行くということも可能になっているそうです。
アルコールチェックを実体験!二日酔いは検知される!?
続いてアルコールチェックを実体験。2011年より、点呼時に行われるアルコール検知器は営業所ごとに備えること、遠隔地で業務する場合に備え、携帯型のアルコール検知器を携行することになっています(国土交通省のホームページより)。
実は私と同行者であるアルバイトのN子、前日にかなりお酒を飲んでおり、二日酔いの状態。もしかして検知されちゃうかも!?と思いましたが、無事二人ともアルコールは検知されずセーフでした。
アルコール検知器が正常に作動しない場合もあるので、アルコールが含まれているマウスウォッシュを使用した後に測定し、きちんと検知されているか定期的に確認も行っているそうです。
遠隔地での点呼は、スマホとアプリを使い、対面でドライバーの顔色や応答する際の声の調子などなども運行管理者がチェック。泊まりでのバスツアーなどに活用しているそうです。
旧型のバスにはすべて後付けできる衝突防止補助システム「モービルアイ」搭載!
大勢のお客様を一度に載せて運ぶバスは、1回の事故であっても大きな影響を及ぼします。(公社)日本バス協会が認定している「貸切バス事業者安全性評価制度(セーフティバス)」は、安全なバス会社を選ぶ指標として導入された制度。
年々取得するバス会社が増えており、安全な運行に力をいれる企業が増えているのがわかります。
帝産観光バスでは「セーフティバス二ツ星」を取得。旧型のバスにも後付けできる衝突防止補助システム「モービルアイ」を備えるなど、より高いレベルでの安全運行に尽力しています。
バスの運行前点検も体験!地味ですがバスドライバーの大切なお仕事
バスが皆さんを乗車場所までお迎えに行く前に、バスドライバーは自分が担当するバスの整備状況を確認します。
タイヤのナットにゆるみはないか、空気圧は大丈夫か、タイヤの溝に小石などが挟まっていないかなどなど。少しでも異常があれば大きな事故につながりかねません。
実際に点検用の道具をお借りし、グループの方が実体験されました。空気圧は整備工場では機械で測りますが、運行前はドライバーが専用の工具を使ってタイヤを叩き、確認するそうです。
エンジンルームをあけてファンベルトのゆるみやオイルの汚れ、ラジエーターの水の量などもチェック。自動車を運転される方ならおなじみの作業です。
バスファンが最もワクワクする整備工場へ潜入!
バスファンの皆さん、お待ちかね。バス整備工場見学です。帝産観光バスは三菱ふそうのバスがほとんどと<バスガイド編>でお伝えしました。
新旧の三菱ふそうバス、エンジンルームも大公開です。
三菱ふそうは現在ドイツダイムラー社のグループ。新しいバスのエンジンはダイムラー社が開発したものが搭載されています。
一方、旧型バスには三菱ふそうの開発したエンジンを搭載。同じバスのエンジンでも全然違うのが素人である私にもわかります。
ダイムラー社のエンジンは日本の工具などが合わないそうで、整備するにも自分たちではできないとのこと。バス好きにはちょっと寂しいですね。
そして今回、私が最もコーフンしたのが、バスの下側です。これはめったに見ることができないので、写真を撮らせていただきました。
よく、バスの整備士さんが車の下に潜ってあれこれ整備されている場面を見ますが、こんな風になっているのですね。
そして帝産観光バスの東京支店で待っていたサプライズとは、三菱ふそうの「エアロキング」!
ツアーの冒頭でJR東海ツアーズ担当者さんから「本日は帝産観光バスの東京支店ですごいサプライズが待っています!」とおっしゃっていました。それはなんと、三菱ふそうが富山県で動態保存している「エアロキング」でした。
わざわざこの日のために富山から運んでくださったとのこと。さすが三菱ふそう!太っ腹です。
「エアロキング」は2階建てバス(ダブルデッカーバス)で、2010年8月末で生産が終了。現在残っているものはすべて中古のもので、現在は主に夜行バスなどで活用されています。
運転席を見るとギアチェンジやクラッチペダル。最近はバスもオートマになっているので懐かしい感じがしました。
新・旧帝産観光バスをお触り放題、写真撮り放題!
今回のツアーで乗車した帝産観光バスは1946年創業。2016年に70周年を迎えるにあたり、記念して作られた特別仕様のバスでした。車種は三菱ふそう・エアロクィーン(スーパーハイデッカー)です。
帝産観光バスのシンボルである犬(グレイハウンド)のマークがゴールドになっているのがお分かりいただけるでしょうか。通常のバスはこのマークがシルバーなのだそう。
ゴールドになっているバスは全部で4台あるとのこと。街中で見かけたらこの犬のマーク、ぜひチェックしてみてくださいね。
車いすに乗り、電動リフトでバスに乗車する体験もできました。そして、めったには座れないバス運転席にも。
実は私、2016年に三菱ふそうの喜連川研究所(栃木県)におじゃました際、バスの運転をさせていただいたことがあります。
実に7年ぶりのバス運転席w。あの頃の私はまだ若かった・・・。車高の高いバスは、運転席に座るとともかく眺めが良くてワクワクします。
帝産観光バス・東京支店では約2時間とたっぷり滞在時間を取っていただき、まさにバスまみれのひと時を堪能させていただきました。
帝産観光バスオリジナルグッズのお土産付き!
名残惜しいですが帝産観光バス・東京支店ともお別れ。一路、東京駅に向かいます。
バスガイド・バスドライバーなど、会社の外に並んでお見送り。忙しい業務の合間を縫って、このツアーのために準備、対応してくださり感謝・感謝です。
さらに帝産観光バスオリジナルのバッグには、付箋メモやバスガイドが作る帝産ニュース、帝産観光バスの紹介、三菱ふそうのパンフレットなどが入っていました。
そして今回のツアー参加者は特別にオリジナル団体名ステッカーがもらえます。団体名は「貸切バス子」にしていただきました。編集部の“家宝”にします。
いかがでしたでしょうか?「バスガイド編」「バス会社の営業所に侵入編」と2回に渡り、バス事業の裏側をご紹介してきました。
「これが大好き!」という気持ちに寄り添った“推し旅”を今後も企画してくれるというJR東海ツアーズ。
今回、初めての“バス推し”旅でしたが、とても盛りだくさんな内容で楽しいひと時。ぜひまたバスファンの心をくすぐる旅を企画してほしいと思います。
最後になりましたが、同じツアーに参加された皆様、アテンドしてくださったJR東海ツアーズ担当者の皆様、そして帝産観光バスの皆様、ありがとうございました。
次回は番外編としておなじみのアルバイトN子が登場!日帰り東京バスツアーとしての魅力やバス好きN子ならではの視点で今回のツアーを振り返ってもらいます。
■取材協力
▼【JR東海ツアーズ×帝産観光バス】推し旅シリーズ
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