「バスまつり2024 in東京ビッグサイト都営バス100周年&みんくる25周年W記念祭」が大盛況!国の重要文化財「円太郎バス」も展示
東京都交通局主催の「バスまつり」が2024年10月5日(土)、東京ビッグサイト・東7ホールで5年ぶりに開催されました。
2024年は都営バス100周年記念、マスコットキャラクター「みんくる」誕生25周年ということで、まさに盛りだくさんな内容。
国の重要文化財「円太郎バス(東京市営乗合自動車)」も13年ぶりに公開展示された他、ノンステップバスや燃料電池バス・フルフラットバス、みんくるラッピングバスなど、様々な都営バス車両が勢ぞろいしました!
バスファンにとって熱い、アツい1日となりました。それでは早速当日の様子をご紹介していきましょう。
現存する日本最古のバス、国の重要文化財「円太郎バス」
今回のイベントの目玉の一つである「円太郎バス」。1923年(大正12年)に起きた関東大震災で被災した路面電車の代替交通手段として、都営バスの前身である東京市電気局が初めて運行した公営乗合自動車です。
アメリカ・フォード社(フォードTT型)から800両を購入し、大正13年1月18日から巣鴨~東京駅間と中渋谷~東京駅間で運行を開始。貨物自動車用シャシに木製車体(客室)を新製し、11人乗りワンマンカーとして仕立てたものなのだそう。
車体前方のガソリン機関から推進軸が床下後方に延びて後軸をウォームギアで駆動し、運転席床上には運転用足踏みペダルが三本取り付けられた構造です(参照元:日本機械学会・機会遺産ホームページより)。
「円太郎」という名前の由来は、明治時代の落語家である橘家圓太郎が、この当時走っていた乗合馬車の物まねをしたことで、東京の乗合馬車に「円太郎馬車」という呼びの名が付き、その馬車に似ていたことから「円太郎」「円太郎自動車」と呼ばれるようになったとか(引用元:東京都交通局ホームページより)。
運行当初、乗り心地が不評だったようですが客室にスプリングを入れたり、カーテンをつけるなど改良につとめたそうです。また、女性車掌の配置など、後に続く乗合自動車事業の職員体制の基礎をつくったといわれています。
車両諸元
定員:11人
全長:4,628㎜
全幅:1,567㎜
全高:2,260㎜
エンジン:4サイクルSV型
エンジン出力:18.75PS/1,800rpm
変速機:プラネタリー式前進段・後退1段
多彩な都営バスの展示、一挙にご紹介
イベント開催前にメディアとアーリー入場でいらしたお客様向けに車両撮影会がありました。上写真はそのときの車両展示で、この後、一般のお客様が入場する際にバスを移動しています。
当日会場に展示された都営バスをダイジェストでご紹介していきましょう。
都営バス100周年記念ラッピングバス
クリーム色の地色に都営バスでおなじみの緑とオレンジ、人気キャラクターのみんくるを組み合わせたオリジナルロゴがかわいい100周年記念ラッピングバス。2024年1月に東京タワーで行われた「都営バス100周年記念イベント」でもお見掛けしました。
無事100周年を迎えることができたことに感謝を込めてデザインされています。
みんくる25周年記念ラッピングバスが3台登場
2024年7月からみんくる25周年を記念し、異なるオリジナルデザインのラッピングバスが3両、都営バスで運行されています。一堂に会するのは都営バスのバスまつりならではの光景ですね。
1台目は紺色ベースカラーにみんくる25周年記念をあしらったF673のラッピングバス。
赤い色のリボンで「25周年」と描かれており、ちょっと大人っぽいデザインですね。
2台目はパステルピンクがベースカラーのみんくる25周年ラッピング。
いろんなみんくるが描かれており、かわいらしい色使いが注目を集めていたデザインです。
そして3台目はブルーをベースカラーにしたみんくる25周年ラッピング。
バス上部には鮮やかなオレンジとグリーンのみんくるが描かれていて、メリハリのあるデザインでした。
普段は目にすることがない運転訓練車
東京都交通局のバス乗務員は3年に1度、運転適性診断を行い、5年に一度、安全に関する研修を実施しているそうです。その際に活用されているのが「バス運転訓練車」。
運転訓練車の前面には、乗務員を撮影するカメラや障害物に見立てたLEDランプ、距離センサーなどが取り付けられているそうです。
今回展示されていたのは2022年(令和4年)から導入されているH999で、全体的に黒をベースにしたラッピング。車内には運転のクセなども客観的に知ることができる様々な機器が備えられているそうです(中を見ることができなくて残念)。
燃料電池バスでは非常時の給電デモも
トヨタ自動車が開発を手掛けるFC(燃料電池)バス「SORA(ソラ)」。水素と酸素による化学反応で発電する燃料電池によって、モーターを回して走るしくみです。
走行中にCO₂や有害物質を排出しない(水のみ排出)のが大きな特長で、振動が少なく排気音も静か。エネルギーの安定供給の確保や脱炭素社会の実現に向け、水素エネルギーの普及に取り組む東京都が積極的に導入をすすめています。
そして燃料電池バスのもう1つの特長は、災害時に避難所等の電源として活用できる大容量外部給電システムを搭載していること。万が一の場合、被災地支援にも役立つというわけです。
バスまつり当日も燃料電池バスから電気の供給を受け、ライトを照らすというデモを行っていました。
フルフラットバスでは避難扉通り抜け体験
さらに都営バスでは、乗り降りしやすいバスとして車内の通路後方にある段差を解消した「フルフラットバス」を2018年(平成30年)に日本で初めて導入。
こちらJ-D920はスカニア社製です。
今回のバスまつり会場ではバス後方に備え付けられている、避難扉の通り抜け体験も行いました。
いざ、という時は今回のような階段はありませんが・・・。
日本の場合、バスの避難扉は進行方向に向かって右手後方に付けられています(保安基準でそう定められている)。バスが横転した場合、左右どちらかの扉から脱出できるという仕組み。
ただバスが横転すると脱出口が天井を向いてしまうため、体力のない高齢者や子どもは脱出しにくいのではという意見もあります。
海外のバスは天井に脱出口が付いている、窓ガラスをたたき割って脱出できるハンマーが設置されているのですが、この仕組みであれば体力がない方でも脱出しやすいという利点が。
とはいえ、事故がないこと、避難扉を使う事態にならないことが大前提ですね。
ノンステップバス
都営バスのノンステップバス(床面高さ約30cm、乗降口のステップをなくしたもの)は1996年(平成8年)から導入。写真のF646はいすゞ自動車のエルガです。
2013年(平成25年)にはすべての車両(1452両)がノンステップバスに。その後、2018年(平成30年)からはフルフラットバスの運行もスタートしています。
そしてノンステップバスはもう1台K290が展示されていました。
都営バス100周年を記念して、創業時の乗車券や制服などを展示
会場では都営バス100周年を記念し、円太郎バスとともに創業時の乗車券や過去の記念乗車券、Tカード・バス共通カードの展示等を行っていました。
今回の展示で一番テンションが上がったのはこちら。バス車掌さんグッズです。
実は、私の母は1958年(昭和33年)頃に都営バスの車掌をしていました。
母に見せたら懐かしがる(トラウマ!?)だろうか・・・。ちょうど東京タワーが開業したばかりのころで、通常業務の後、残業してお客さんを送迎するシャトルバス運行したのが嫌だったそうな。
都営バスにかつて務めていた方にとっても懐かしく感慨深い展示だったのではないでしょうか。
みんくる25周年を祝うステージショー
会場入口近くに設けられていたステージでは、「オープニング&みんくる25周年アニバーサリーステージ」がありました。
みんくるのグリーティングの後、東京さくらトラム(都電荒川線)マスコット「とあらん」も登場。かわいらしいとあらんとみんくるのしぐさに、キュン死する人続出!?
この後、ステージでは抽選に当選した方とみんくるの記念撮影会や、TOKYO MX「都バス旅アフタートークショー」、超レア!グッズ購入抽選会が行われていました。
みんくるの小部屋で楽しく記念撮影
お子様連れのファミリーに人気なのがこちら「みんくるの小部屋」。みんくるのフォトスポットや、都営バスのモックアップなど、まさに“みんくるまみれ”を楽しめます。
小さなお子様用のミニ都営バスに乗って、制服を着て記念撮影も可能(大人も体験してみたいですよね・・・カワイイ)。
みんくるグッズもたくさん展示されていて、ファンなら悶絶すること間違いなし。
その他の楽しい企画イベントを一挙ご紹介
この他、会場では小学生以下のお子さまを対象とした「みんくる塗り絵コーナー(先着1,000名)」や、みんくる25周年ラッピングバスの「みんくるペーパークラフト(先着1,000名)」のコーナーも。
塗り絵に使うクレヨンは株式会社オンワードコーポレートデザインのお米と野菜で作られた「おやさいクレヨン(R)Japan Blue」です。
クラフトで作れるのは、みんくる25周年記念ラッピングバス(ブルー地にオレンジカラーを効かせたデザイン)。
都営バスのダイヤを引く体験講習会も実施し、実際に引いたダイヤをその場でプレゼントするコーナー。「ダイヤ」とは運行図表のことで、バスの運行や時刻、停留時間、行き違いが一目でわかるよう図表化したものです。
最近ではAI(人工知能)を使って作成されつつありますが、かつては「スジ屋」と称される熟練職員のノウハウが必要不可欠でした。
都営バスファン垂涎のバスグッズ販売やみんくるグッズ販売も
バスファンにとっては夢のような「超レア!バス部品・自動車工場オリジナルグッズ」を購入できる抽選会も実施。
バス車両やバス停で使用していた部品など、お目当てのお宝は無事ゲットできたでしょうか・・・。
都営バスやみんくるグッズを販売するブースには開場とともに長蛇の列!都営バス100周年記念「みんくる」ぬいぐるみ(先着270名様)や、新作グッズ、人気のアクリルスタンドキーホルダーなどを求めて辛抱強く並んでいました。
バス関連雑誌やさまざまな企業のブースも出展
会場内には他にもバス関連企業や雑誌社などが出展。
バスファンにとってはまさにワクワクの1日だったことと思います。
イベント当日限定・臨時バス「祭100」系統で帰ります
国際展示場駅から帰った方が早いのですが、ここはあえてイベント当日限定・臨時バス「祭100」系統で勝どき駅まで帰ることにします。東京ビッグサイト東棟バスまつり会場から国立がん研究センター前(大江戸線築地市場駅)経由で勝どき駅までを結んでいます。
私が乗車したのはH959でした。こちらは1968~1980年に走っていたラッピング。
通称「美濃部カラー」と呼ばれたアイボリー×スカイブルーの爽やかなデザインです。
皆さん、この特別ラッピングのバスに乗るのも楽しみだったようで、撮影する人、乗る人とめいっぱい満喫していた様子。都営バス好きにとっては最高の1日となりましたね。
また来年の「バスまつり」を楽しみにしています~。
■取材協力
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