初開催の「かわさきのりものフェスタ」に潜入!乗り物好きのご家族連れで賑わいました
2024年12月1日(日)、川崎市役所本庁舎で開催された「かわさきのりものフェスタ~第1回あつまれのりものマスターズ~」。乗り物大好きなお子さまやご家族連れが約1万6千人も来場され、大盛況でした。
今回は貸切バスの達人の姉妹サイト「バス運転手の達人」編集部と、「バス観光マガジン」の編集部がWで潜入取材。「バス観光マガジン」では当日展示されたバスやイベントの様子を中心に、編集部が気になった展示をご紹介します。
最先端のバスに皆さん興味津々!どのバスも大行列が出来てました
今回のイベントで展示されたバスは、次世代を担う自動運転技術を搭載したものやEVバス、世界初展示となるバスなど見どころが満点。バスファンでなくてもぜひ見てみたいと皆さん、足を運んだようです。
川崎鶴見臨港バスの次世代モビリティ
川崎鶴見臨港バスではEVバスとオンデマンドバス「のるーとKAWASAKI」に使用している車両を展示。BYD製の大型EVバス「K8」を導入した川崎鶴見臨港バスでは、2024年3月から運行をスタートさせています。
大型EVバスはイベント初展示ということでみなさん興味津々でした。もう1台はオンデマンドバス「のるーとKAWASAKI」でこちらは試乗会を行っていました。
「のるーとKAWASAKI」は2024年10月から実証実験をスタートし、2025年1月31日まで(水)運行予定(12月30日~1月4日までと日曜日は運休)。予約してバスを呼び出し、乗合で行きたい停留所まで送り届けてもらえます。
LINEやアプリを使って予約が可能です。
実は川崎鶴見臨港バス、もう1つ大きなプロジェクトが進んでいます。それは、東芝やDrive Electro Technologyとともに共同開発を進めている、パンタグラフで超高速充電するEVバスの国内初実証運行。
川崎鶴見臨港バスが運行しているディーゼルバスをEV化し、バス営業所内に充電器を設置。2025年11月から公道で実証運行を目標にしているそうです。
パンタグラフ式充電器なら数時間かかる充電が10分程度に大幅短縮されるとのころ。こちらも楽しみですね。
東急バスの自動運転車両を世界初展示!
東急バスの目玉展示はコレ!川崎市内に工場を持つ東急テクノシステムと共同開発した新型自動運転車両(電気自動車)の初展示です。
遠隔監視により、安全性向上や運転業務負担を軽減しつつ、路線バスではカバーしきれない地域の足として活躍することを期待しています。
東急バスでは2019年から静岡県が取り組む自動運転事業に参画。2020年にはすでに伊東市で自動運転の実証実験も実施しています。
今後、深刻化する運転手不足を見据えたAI技術を活用した自動運転、目が離せませんね。
各社の技術が集結、川崎市の新型自動運転バス
川崎市では、川崎鶴見臨港バスが営業運行する2つの路線において、2027年(令和9年)度にレベル4(条件付き完全自動運転)の自動運転バス実装を目指したプロジェクトを令和6年度から始めており、今年度はレベル2での実験を進める予定です。こちらのプロジェクトには川崎市・川崎鶴見臨港バス・アイサンテクノロジー(AISAN)・A-Drive・TIER Ⅳ(ティアフォー)・損保保険ジャパン・京三制作所が参画。
TIER Ⅳ(ティアフォー)が開発した最新の電気バス(EVバス)「ミニバスv2・0」に、LiDAR(光による検知と測距を行うリモートセンシング)などのセンサー類や高精度3次元地図情報、さらに信号情報連携システムなどを活用して最高時速35㎞で自動運行する予定です。
今後、深刻化が進む交通仮題をワンパッケージで横展開できる「川崎モデル」の構築を目指しています。今回のイベントではその新型自動運転バスの車内探索や、自動運転の仕組みなども紹介されていました。
レベル2の実証運行は2025年1月頃からスタート予定(当面はドライバーが乗車する)。継続的に実証運行を重ね、2027年度から実装を計画しています。
その他の車や電車、タクシー、飛行機など乗り物がいっぱい!
「かわさきのりものフェスタ~第1回あつまれのりものマスターズ~」は、バス以外にも電車、飛行機、タクシー、コミュニティバス、リニア中央新幹線など、さまざまな乗り物を通じて、楽しみながら公共交通に触れて学ぶことができるイベントとなっています。
バス以外の展示も駆け足でご紹介していきましょう。
災害時にも活躍する日産EV車「ARIYA(アリア)」やポータブルバッテリーの展示
日産自動車からはEV車「ARIYA(アリア)」を展示。日本古来の伝統美に着想を得てデザインされた車です。
フロントグリルと呼ばれているシールド部分は、なめらかな表面の下に日本の伝統的幾何学模様「組子」を、新潟県燕三条の伝統的な金型加工技術によって立体的に再現するなど注目を集めています。
搭載されているEVバッテリーは家庭への給電や余った電力を蓄えることができるので、災害時にも安心ですね。日産アリアなら一般家庭数日分の電力供給が可能だそうです。
また、電気自動車「日産リーフ」で使われていたバッテリーを活用し、JVC KENWOODとフォーアールエナジーとの3社でポータブル電源を開発。車に積み込むこともでき、出先で電源として使用することも可能です。
この他、軽EV車「SAKURA」も展示されていました。
神奈川トヨタ自動車は災害時に役立つ給電・車キャンプ・トイレトレーラーなどを展示
神奈川トヨタ自動車では、災害時に給電できる車、キャンプに最適な車(FCVクラウンとmyXがカスタムしたシエンタ)」を展示。さらに能登半島地震でも活躍したというトイレトレーラー「MOBILE TOILET」を公開していました。
myXがカスタムしたシエンタはファミリーでキャンプを楽しむ時にぴったりなオプションを、多彩に標準装備。アウトドアシーンとリンクするカスタマイズを施す事も可能となっています。
このシエンタは、トヨタモビリティ神奈川 横浜本店のみの取り扱い。アウトドア好きにはたまらない1台となっています。
そして上写真がトイレトレーラー「MOBILE TOILET」。普通免許でけん引できるバリアフリーのトイレです。電動車や家庭用コンセントなどからの電力で災害時にも稼働OK。
実際に能登半島地震で被災した石川県珠洲市、能登町で活躍した実績もあります。
トイレ内にはスロープを付けて出入りできるので、電動車いすでもOK。中は車いすが回転できるスペースを確保し、手すりなどで移乗も簡単です。
大人でも横になれる広さの収納式多目的シートが付き。オストメイトをはじめ、多様な方の使いやすさに配慮したユニバーサルデザインの前広便座を採用し、温水洗浄ノズル付きで快適に利用できます。
万が一の場合、外部に連絡できる緊急ランプや冷房専用エアコンを完備と至れり尽くせり。トイレを流す水と手を洗う水は別で、流す方は川の水も使うことができるように工夫も。
100回程度の連続使用可能な節水型で新幹線などと同じ方式を採用しています。上下水道との直結ができるので、制限なく使用し続けられることも可能。
自治体や企業のイメージに合わせたラッピングにも対応しているそうです。
京急電鉄では実際に乗れるミニ電車
東京都心から羽田空港・横浜・三浦・三崎口を繋いでいる京浜急行電鉄。今回は実際に乗ることができる京急ミニ電車を展示しており、大人気に。
長い順番待ち列ができていました。
JALグランドサービス「ミニトーイングトラクター」
子ども用ラジコンを基に作成したミニトーイングトラクターを、JALグランドサービス車両整備担当が作成。実施に乗車して運転することができます。
JALでは日本の航空会社で初めて手荷物搬送用の自動運転トーイングトラクターを導入しています。基本的に自動運転で走行し、危険時の回避操作をする運転者が乗車する「自動運転レベル3相当」が実現。
大いに注目を集めている車両のミニチュア版となっています。
この他、キッチンカーが物販ブース、物産展、イベントなどなど全部は紹介しきれていませんがどのブースも大勢のお客様でいっぱいに。来年もまた開催される予定だそうなので、今回いけなかったという方はぜひ次回に期待ですね。
ちなみに編集部では初めて電動キックボードに乗ってみました。思っていたよりもスピードが出て怖かった・・・。また、トヨタからは座って乗るタイプ「C+walk」も展示され、試乗可能となっていました。
今回のように多彩な乗り物を一堂に集めたイベントはなかなかなく、とても興味深い1日だったのではないでしょうか。
バス運転士の英才教育!?イマーシブ運転手体験
最後にVRを使った「イマーシブ運転手体験」をご紹介。市役所の部屋を利用し、臨港バスやJR南武線の運転席、小田急ロマンスカーの展望席から見えるリアルな映像で、川崎の街から箱根まで移動する運転手体験をみんなで楽しみました。
臨場感あふれる映像で、運転手になった気分でドライブ。バスや電車の運転手になってみたい、と感じてくれたお子さまたちがいらっしゃったのではないでしょうか。
川崎市は人口が増えた一方で、人手不足等により路線バスが減便される一方。このままでは公共の移動手段が先細りになってしまうという危機感から行われたイベントです。
1人でも多くの方に「乗り物」への興味・関心を持ってもらうこと。そして、公共交通機関の担い手として未来の運転手が育っていくことを願って。また来年も楽しみにしたいと思います。
■取材協力
バス会社の比較がポイント!