東急バスがバイオ燃料で走るバスを導入

SDGsな乗り物!電気バスや水素(燃料電池)バス以外の選択肢としてバイオ燃料で走らせるバス

SDGs(持続可能な開発目標)で、地球温暖化対策やエネルギー問題を解決するため、「資源を繰り返し使える」「二酸化炭素を排出しない」再生可能エネルギーが注目されています。

SDGsの目標7では「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」と定められています。この流れを受け、世界各国でガソリン車やディーゼル社廃止に向けた取り組みが始まりました。

バス業界でも電気バスや水素(燃料電池)バスなどの普及が進められており、各社で買い替えなどが進められていますが・・・。普及にはまだまだ時間がかかりそう。

ということで今回は、いまあるバスで燃料をバイオディーゼルに変えることで環境負荷を減らそうという試み。東急バス×東京都市大学×ユーグレナの「産学連携による混合バイオ燃料の普及事業」についてご紹介してきましょう!

東京都は2030年にガソリン車の新車販売禁止を目指している

アルファバスジャパンの電気バス
アルファバスジャパンの電気バス(バステクin首都圏2023より)

経済産業省によるとは2035年までに新車販売で電気車100%を実現したいと目標を設定。大型車で2040年に電気バス・脱炭素燃料バス普及目標を目指しています(引用元:経済産業省ホームページより)。

2024年5月17日(金)に大阪万博記念公園で開催された「2024 バステクフォーラム」でもたくさんの電気バスが展示されて注目度の高さがうかがえます。

東京都では国に先んじて、都内で新車販売される乗用車を2030年までに100%非ガソリン化することを目指すと発表。ゼロエミッションビークル(ZEV:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV))の普及促進に向けて、車両購入費補助を実施しています。

また東京都では電力のHTT(減らす・創る・蓄める)を推進。ゼロエミッション東京の実現に向けた対策として、環境負荷の少ないバイオ燃料(バイオディーゼル、SAF等)を活用した車両・船舶・航空機等の事業化に向けた取り組みを支援する「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」を実施しています。

東急バス×東京都市大学×ユーグレナの「産学連携による混合バイオ燃料の普及事業」は、その事業の一環として行われたものです。

東急バスの路線バスでユーグレナのバイオ燃料を採用

東急バス・目黒営業所
東急バス 目黒営業所(画像提供:東急バス株式会社)

東急バス株式会社では、東京都の「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」において、バイオ燃料を活用して運行するバスお披露目会を2024年5月14日(火)、東急バス目黒営業所にて実施。

目黒営業所・瀬田営業所に所属する150両・路線バスでユーグレナのバイオ燃料「サステオ」を使用し、2024年4月~2025年2月までの期間、運行する予定になっています。

そのうち2両(目黒営業所・瀬田営業所で各1両ずつ)は、東京都市大学の学生がデザインしたラッピングバスを導入。

東急バス 目黒営業所所属のラッピングバス
(画像提供:東急バス株式会社)
バイオ燃料を使用して運行する東急バス
(画像提供:東急バス株式会社)

上デザインのラッピングは目黒営業所運行車両のもので、瀬田営業所では別のデザインのラッピングバスを運行予定だそうです(現在、制作中)。

ユーグレナ社長・出雲充さんによると、目黒駅から学芸大学駅をバスで往復した場合、人が1日に出す二酸化炭素1㎏の削減効果があり、取り組み全体で人が1日に出す二酸化炭素量14万人分に相当するといいます。

ユーグレナが供給するバイオ燃料「サステオ」は、軽油と同じように利用できるのが最大のメリット。電気バスや水素(燃料電池)バスの普及はインフラ整備に時間がかかりそうですが、バイオ燃料という選択肢なら現在の車両をそのまま活かすこともできるので、スムーズですね。

ユーグレナが提供するバイオ燃料「サステオ」はすべてのモビリティで利用可能

ユーグレナが開発したバイオ燃料「サステオ」

ユーグレナの「サステオ」は、化石燃料に代わるサステナブルな社会を実現するための燃料として開発されたバイオ燃料です。バイオ燃料とは、植物や動物など、地上にある生物資源(バイオマス原料)から製造されるもの。

バイオ燃料と化石燃料の違い
(画像提供:株式会社ユーグレナ)

生物資源は成長過程や生態系の中で光合成により、大気中の二酸化炭素をあらかじめ吸収しています。このため、バイオ燃料を燃やした時に排出される二酸化炭素は、あらかじめ大気中から取り込んだものを元に戻しているだけ。

化石燃料のように一方的に二酸化炭素を排出して増やすものではありません。

バイオディーゼル燃料「サステオ」の誕生

かつてバイオ燃料というと、サトウキビやトウモロコシなどの食用植物が原料として使用されるイメージでした。しかし、食糧との競合や無理な栽培による森林破壊などに繋がる懸念があります。

現在は使用済みの食用油などの廃棄物系原料を再利用するのが主流です。しかし、今後普及がすすめば原料不足になる可能性も。

そんな中、ユーグレナが開発したのが「サステオ」。「サステオ」は次世代バイオディーゼル燃料とも呼ばれ、通常のバイオディーゼル燃料はエンジンなどへの影響を考慮して上限5%まで混合できないのに対し、「サステオ」は100%使っても問題ないとされる燃料です。

「サステオ」でバスも走れば、飛行機も飛ぶ、船も動く

現在、サステオのバイオディーゼル燃料は、バスだけではなく船や建設現場の機器にも活用されています。分子構造が市販軽油と同じで、排ガス試験の結果では、一般車両のエンジンに負荷をかけること無く、含有率100%で使用できることを確認。

車両を買い替える、電池や水素ステーションを新しく増設するなど、供給インフラを整備する必要がないというのが最大のメリットです。

電気バスや水素(燃料電池)バスを普及させつつ、クリーンでサステナブルなバイオ燃料を選択する

アルファバスECITY L6(小型電気バス)
アルファバスの「小型電気バス」(バステクin首都圏2023より)

電気バスは電池の改良などにより、1充電当たり200㎞走れるものも登場(上記写真)しています。しかしながら、貸切バスや高速バスは長距離を走る場合も。

特に貸切バスは充電ステーションがある場所を必ずしも走るわけでなく、充電時間も問題になってしまいます。

2025年に開催予定の国際博覧会(大阪・関西万博)では走りながら自動給電できるバスの実証実験が予定されていますが、実装化まではまだまだ時間がかかるというところ。

それまでに二酸化炭素排出を抑える選択肢としてユーグレナの提供するバイオディーゼル燃料「サステオ」は、持続可能な社会実現に向けて大事な選択肢の1つとなりそうです。

■取材協力

ユーグレナ株式会社東急バス株式会社

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