バスガイドってどんな仕事?どうしたらなれる?東都観光バスに取材してみた
観光バス旅行の花形職業といわれるバスガイド。昭和世代なら修学旅行で担当してくれたバスガイドさんに憧れて手紙を渡した!?という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本初のバスガイド誕生は1925年(大正14年)といわれており、東京乗合自動車株式会社が定期観光バスで男性バスガイドが観光案内をしたのが始まりなのだとか。その後、現在の別府市にある亀の井バス(当時は亀の井遊覧自動車)が「地獄めぐり遊覧バス」で女性ガイド・村上アヤメさんを採用したのは有名な話ですね。
(公社)日本バス協会の2021年7月の調査によると、バスガイド数は236社において2,605人で、前年に比較すると77人減。残念ながら減少傾向にあるそうです。
最近ではバスガイドによる添乗を希望する場合、専門の派遣会社などに依頼するのが主流となっています。
そんな中、東都観光バス株式会社では自社でバスガイドを養成。今回は所属バスガイドの1人であるMさんに取材することができました。
バスガイドとはどんな職業なのか。どんなところが魅力なのか。これからバスガイドを目指したい方へのメッセージなども探ってみました!
バスガイドのお仕事はどんなもの?心に残る貸切バス旅行の立役者
東都観光バスでバスガイドを約23年務めていらっしゃるベテランバスガイド・Mさん。北海道の釧路市出身で、バスガイドを目指したきっかけは「東京に行ってみたい!」ということだったそうです。
高校3年生の時にバスガイドの求人を見つけ、応募して就職。大勢のバスガイドの卵たちと寮生活しながら研修に臨みました。
実際にバスガイドデビューしてみて、「思ってたんと違う」と感じたことはなかったのでしょうか。
「いちばんびっくりしたのは朝がとっても早い、ということでしょうか」とMさん。確かに乗務前にはドライバーとともに「点呼(アルコールチェックや体調チェックなどの安全確認)」がありますし、お客様が乗車する場所への移動時間も加味して出勤が必要ですものね。
「研修で当然教本(マニュアル)はあるのですが、そこに書かれたものを覚えれば上手くいくということはありません。お客様を楽しませる、心に残る旅を演出するためには、自分自身でどうガイドすればよいかをきちんと組み立てて、自分なりの工夫が必要でした。
受け身ではダメで、常に新しい情報や知識を学び続ける姿勢が大切だと痛感。でもそれがバスガイドの面白さでもあり、醍醐味でもあります。
気が付いたら23年もバスガイドを続けていました(笑)」。
バスガイドという職業は「観光地のご案内を主とする接客サービス」であり、「ドライバーの安全走行の補佐」も重要な仕事。いわゆる「発車オーライ」「バックオーライ」のように、観光地でバスを安全に誘導する役目を担っています。
バスドライバーとともに、安心・安全で楽しいバス旅行を最後まで楽しんでいただくために、意外に重責を担う、ということですね。
いままでバスガイドとして乗務し、思い出に残っているのは修学旅行
Mさんがバスガイドとして初乗務したのは、高校生の遠足で「ぐんまフラワーパーク(現在リニューアル中、2025年4月に再オープン予定)」へ案内した時のこと。
「最初の挨拶の時に、完全に何を言うか飛んじゃって、頭が真っ白になりました」とMさん。ほろ苦いバスガイドデビューとなりました。
その後も事前に調べておいた道順を間違えて、遠回りして帰ることになったという失敗もあったそうです。いくら事前に準備していても実際に現場に行くと、違うこともたくさんあるので戸惑うことも多いとおっしゃっていました。
これまでにガイドした旅行で楽しい思い出として心に残っているのは修学旅行。一緒に旅行する間に生徒たちと仲良くなって、お礼の手紙をもらうこともあるそうです。
準備や当日の案内など大変なこともたくさんありますが、お客様から「楽しかった」「ありがとう」などの声をいただくと、この仕事をやっててよかったなと感じる瞬間だとおっしゃっていました。
バスガイド目線で貸切バス旅行はここがおススメという行き先は?福島の会津!
貸切バスで旅行するなら、どんな行き先がおススメでしょうか。Mさんのイチオシは福島県の会津だそうです。
「会津は自然が豊かで、ドラマティックな歴史もあります。食事もおいしいですし、特に馬刺しは絶品です。
また、有名な温泉地もたくさんあるので、魅力的な行き先なのではないでしょうか」。
東都観光バスは関東圏に営業所があるため、Mさんのご出身地、北海道へ貸切バス旅行で行くというのはないそうなのですが・・・。北海道でおススメしたいスポットはありますか?
「ぜひ行って欲しいのは、摩周湖の地下水が湧き出しているといわれている清里町の神の子池です。摩周湖は「カムイト―=神の湖」といわれているので、その伏流水からできていることから“神の子”と呼ばれています」。
神の子池の水は1日12,000tも湧き出しているそうで、水が澄んでいるため底までくっきりと見えます。水温が年間を通して8℃と低いので、倒木がエメラルドブルー色の池の中で腐らず、化石のように沈んでいるとか。
その中を朱色の斑点を持つオショロコマが泳ぐ風景はまさに絵画のように幻想的で美しいそうですよ。
最近では漫画・TVアニメなどで注目を集めている「ゴールデンカムイ」の影響もあり、東北海道への旅行を希望する方が増えています(Mさんも漫画で読んでるとおっしゃっていました)。皆さんもぜひ訪れてみてくださいね。
Mさんに聞いてみた!「バスガイドあるある」
プライベートなのについ出てしまうバスガイドならではのクセ(職業病)についても聞いてみました!
「車で旅行している時、助手席に乗ってついやっちゃうのが“左オーライ”ですかね。家族から頭が邪魔で左が見えないと怒られるます(笑)。
旅行に行くと旅先で観光地案内などのパンフレットをもらう、郷土資料館を訪れて現地の歴史や文化などを勉強する、というのはよくやっています。仕事に活かせることがたくさんあるので」と、Mさん。
常に新しい情報や知識を得て、勉強し続けるMさんの熱意や情熱が伝わってくるエピソードでした。
バスガイドになるにはどうしたらいいの?どんな人がバスガイドに向いてる?
バスガイドになるにはどうしたいいのでしょうか。
「各バス会社で求人募集を出していますのでそれに応募するのが手っ取り早い方法だと思います。私のように高校を卒業してバス会社に就職、研修を受けてバスガイドデビューというのが多いケース。
その他、大学や観光系の専門学校を経てガイドになるという方もいらっしゃいます」。
バスガイドに「向き・不向き」はあるのでしょうか。
「大切なのは好奇心や探求心を持ち続ける、ということだと思います。
人前に立つのが苦手という方でも経験を積むことでだんだん慣れていきます。歌が上手くない、という方でも全然問題なし。
いかに旅先の魅力をわかりやすく、楽しく伝えられるかということが大切だと思います」。
Mさんご自身も東都観光バスの制服がかわいかったから、という理由で応募したとのこと。バスのデザインが好き、制服に惹かれた、という動機でも全然OK、興味を持つ、ということが第一歩です。
ぜひ気軽に問合せてみましょう。
Mさんに聞いてみた!ここが知りたいバスガイド
バスガイドについてよくある質問をまとめてみました。
Q. バスガイド研修とは具体的にどんなことをしますか?
A.教本にそっての授業の他、接客マナーや発声、発音、ことば遣いなどの基礎研修があります。だいたい2カ月ぐらいかけて研修を行い、先輩について実践的なトライアルガイドを経験。
地図の見方や書き方なども練習しますよ。
Q.仕事で辛かったり、もう辞めたいと思ったことは?
A.私の場合、同期入社が100人近くいました。いろんな地方から集まってきており、寮での共同生活でしたので毎日がまるで合宿みたいで楽しかったという思い出があります。
ホームシックになった時もお互い慰め合い、励まし合い支え合ってきたので、辛いことがあっても前向きな気持ちになれました。
Q.イマドキのバスガイド、何か傾向はありますか?
A.最近の若い世代はとてもポジティブな子が多いような気がします。あと、東都観光バスの場合、演劇部出身の子が多い気がしました。
部活動で培った経験は、ガイドにも役立っているかもしれませんね。
Q.バスガイドの仕事で忙しい時期、暇な時期はありますか?
夏休みの間は意外と余裕があります。9月以降、行楽シーズン、修学旅行シーズンに入ると忙しくなってきます。
土日祝などは乗務が増えていきますが、反対に平日などはまとめてお休みが取れるので、観光地が空いている時にプライベートで旅行を楽しんだりできますよ。
Q.東都観光バス バスガイドの制服でいちばんのお気に入りは?
A.東都観光バス、実はあまり制服が変わっていないのです。とても動きやすく着心地がいいので気に入っています。
今度、冬服(赤い上着)が新しくなることに。どんなふうに変わるのかはぜひお楽しみに!
Q.バス旅行で多い「忘れ物」はどんなもの?
水筒が多いですね。あとはお土産やスマホの場合も。
今まで一番驚いた忘れ物はなんと「カツラ」。一瞬どなたか座っているのかと思ってしまいました・・・。
Q.バスガイドとして乗務する場合に何かジンクスやルーティンなどはありますか?
A.特別なものはないのですが、必ず出発前に「無事に楽しく旅行を終えることができますように」と祈ることでしょうか。
体力勝負なところもあり、大変な面もありますが日本各地、いろいろな場所を旅する楽しさもあるバスガイドという仕事。学歴や資格も不問で、誰でもチャレンジすることができる上、一度現場を離れても復帰することもできるので、まさに一生の仕事にもなるのが魅力ですね。
Mさん、お忙しい中丁寧にお答えいただき、ありがとうございました!
貸切バス旅行でバスガイドさんをお願いしてみよう!
私自身、これまでバスガイドさんが同行してくれた旅はいくつも経験していますが、ただ観光地を回るだけではなく、その場所ならではの情報ももらえて旅に厚みが増しました。
現地に到着する前にいろいろな知識も増えるので、見どころをスルーしてしまう心配もありません。思い出がさらに、深く心に刻まれることでしょう。
東都観光バスなら、バスガイド付きで貸切バス旅行をお願いすることができますので、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。皆さんの旅がより楽しいものになりますように!
■取材協力
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