おしゃれな古民家風カフェなどが並ぶならまち界隈

奈良旅行!最終3日目は奈良中心部を爆走

古代史オタクが行く奈良2泊3日旅行。ついに最終日を迎えました。

法隆寺の救世観音(ぐぜかんのん)に会いたくてスタートした今回の旅。1日目は法隆寺と明日香村を周遊する旅2日目は西ノ京で薬師寺・唐招提寺、「山の辺の道」で石上神宮・大神神社・箸墓古墳を爆走。

3日目は京終(きょうばて)にある 「町屋ゲストハウスならまち」 で借りたレンタサイクルにまたがり、奈良の町を爆走します。

まずは腹ごしらえ!竈で炊いた朝ごはん

鹿の舟・竈(かまど)
鹿の舟・竈(かまど)

「町屋ゲストハウスならまち」の前にある道路を渡ってすぐのところにある食堂「竈(かまど)」。その名の通り、竈で炊いたごはんが食べられます。

吉野ヒノキの薪で炊いた竈ごはんが食べられます
吉野ヒノキの薪で炊く竈ごはん

奈良県産のお米を使った朝ごはんは、シンプルなお米のおいしさが味わえます。ごはんはお替り無料!

竈の朝ごはん 550円
550円の朝ごはん

この他に、大和の朝ごはん(山芋のとろろやこんにゃくの田楽などが付く)は1,050円。朝ごはんの提供は8時から11時までです。ランチは11時~15時まで、1,250円~1,680円。

器や道具、ごはんによく合う食品なども販売しているので、お土産探しにもぴったりです。

「竈」の他に、観光案内所である「繭(まゆ)」、喫茶室「囀(さえずり)」がある複合施設「鹿の舟」。ならまちの観光情報をこちらで入手してからお出かけになるのもおすすめです。

怨霊を鎮めるために創建された「御霊神社」へ

奈良にある御霊神社

まずは 光仁天皇の皇后・井上内親王(いがみないしんおう)、他戸親王(おさべしんのう) 、 早良親王 ( さわらしんのう)などをお祀りしている御霊神社へ。 井上内親王 は、聖武天皇の第1皇女で、母親は県犬養広刀自(あがたのいぬかいのひろとじ)。

どうして井上内親王・他戸親王が怨霊と呼ばれるかというと、毎度おなじみ(?)藤原氏から“天皇に呪いをかけた”と嵌められ、幽閉されたから。2人同時に亡くなっていることから、殺害されたのではともいわれています。

井上内親王・他戸親王が亡くなった後、天災地変が次々と起こり、慌てた藤原氏関係者が鎮魂のためにお祀りしたというパターンです。

早良親王は藤原種継暗殺事件に関わったとされて幽閉。無実を訴えて絶食したのち憤死しました。その後、疫病や災害などが相次いだことから、“早良親王の祟り”と恐れられ、皇位にはつかなかったのですが“ 崇道天皇 ”と追称されています。

菅原道真といい、長屋王といい、怨霊と恐れられている存在のことごとくが藤原氏の悪行によるもの。興福寺が何度も炎上したのも・・・ですかね。

御霊神社の中には、出世稲荷神社があり、 大国主命などをお祀りしています。こちらは縁結びスポットとして知られているらしいです。

ちなみにこちらの神社には、菅原道真さまもお祀りされていますよ!さすが怨霊No.1神社。

レンタサイクルで爆走再び!東大寺へ

東大寺

世界最大の木造建築として知られる奈良の大仏。修学旅行で訪れて観たという方も多いことでしょう。

東大寺の大仏は743年、 聖武天皇の発願により、始まりました。それまでのお寺の建立は、貴族や天皇家がお金を出して造るものでした。

ところが聖武天皇は民衆の力を合わせて、国の一大プロジェクトとしてこの事業を成し遂げようと決心します。日本で最初の仏教僧である行基(ぎょうき)とその信者である優婆塞(うばそく・在家信者)が、自分たちだけの力を合わせて建てた知識寺とその大仏に感銘を受けたからです。

奈良の大仏

聖武天皇は藤原不比等の娘・宮子が生んだ、悲願の“藤原腹の子”でした。さらに宮子の異母妹である光明子が皇后と、まさに鉄壁の藤原ファミリー。

ところがある時から反旗を翻したように、徹底的に藤原氏に対抗していきます。東大寺と大仏建立はそのシンボルともいえるプロジェクト。

歴史の教科書などでは天皇の理想を押し付け、民衆を苦しめ、無駄遣いしたというイメージを持っていました。でも実際は、仏教を通じて平和な国造りをしたいという聖武天皇の願いと、それに共感した人々の心が強く結びつき、成し遂げたものであったことを知りました。

皆さんもそんな視点でもう一度、奈良の大仏に向き合ってみてはいかがでしょうか。

お水取りで有名な二月堂

お水取りで有名な二月堂

関西に春を呼ぶ行事として知られている「お水取り(修二会・しゅにえかい)」あるいは「お松明」の舞台として有名な二月堂。旧暦2月に当たる、3月1日~14日に行われています。

松明から降り落ちる火の粉が無病息災をもたらすといわれており、天平時代(752年)から現在まで途切れることなく続けれている悔過(けか)法要です。

二月堂のお水取り
二月堂のお水取り

聖武天皇が東大寺を創建した時から、鎮護国家・天下泰安・風雨順時・五穀豊穣・万民快楽など、人々の幸福を願う行事として連綿と続けられてきた大変貴重な行事ではないでしょうか。

仏教における悔過法要とは、生きる上で過去に犯してきた過ちを本尊の前で発露(ほつろ)懺悔(ざんげ)すること(東大寺公式ホームページより)。ちなみに二月堂の本尊は大観音(おおかんのん)、小観音(こがんのん)と呼ばれる2体の十一面観音像で、どちらも秘仏。

二月堂は2005年に国宝になっています。

2月堂からの眺め
二月堂からの眺め

ほとんどの観光客は、大仏を見て帰ってしまうらしく、こちらまで足を延ばす人は少ないようです。二月堂からの眺望は素晴らしく、ここを訪れないなんてもったいない!ぜひ忘れずに足を運んでみてくださいね。

東大寺創建時のままの姿を残す転害門(てがいもん)

創建当時の姿を残す転害門

もう一つ、東大寺で見逃せないのが転害門(てがいもん)です。

「奈良きたまち」の東端に位置し、正倉院の西側にあります。門の近くにはボランティアガイドさんの事務所があり、私たちが訪れた時も声をかけていただきました。

天平時代(762年頃)の東大寺の伽藍建築を想像できる唯一の遺構として、国宝になっています。奈良時代の民衆もこの門を見たのかなと思うとちょっと感慨深いです。

転害門とは、「害を転ずる」という意味だそうです。

ほとんどの観光客はここに来ないようなので、ゆっくりとみることができますよ。ぜひ、奈良時代にスリップした気分をあじわってください。

興福寺で山田仏頭にご対面!

興福寺

興福寺は藤原不比等ゆかりの寺院、氏寺です。古都奈良の文化財の一部として世界遺産に登録されています。

平城京をまるで見下ろすように高台に建てられ、まさに藤原氏が「わが世の春」をおう歌していたことがうかがえます。

こちらを訪れた目的は「山田寺仏頭」を観るため。なので、国宝館へ直行です。

国宝館は2018年1月に耐震補強工事を終えてリニューアル。食堂(じきどう・僧侶が食事をする建物)があった場所に、文化財保存収蔵庫として鉄筋コンクリート造りの建物を建てたものです。

興福寺・国宝館
興福寺・国宝館

こちらの国宝館には文化財や国宝級のお宝が100点以上とゴロゴロ。最も有名なのが阿修羅像でしょうか?私たちが身に訪れた日も大勢の観光客、修学旅行生が行列していました。

食堂本尊の木造千手観音立像やら何やらが居並ぶ中、山田寺仏頭へまっしぐら。明らかに異彩を放つその存在感は圧倒されるものがありました。

白鷗時代の作といわれ、ふっくらとしたお顔立ちに切れ長の目、すっと整った高い鼻梁、長く垂れさがる耳などが特徴。火災で焼かれて破損したといいながらもその気高さや美しさは当時のままです。

この仏頭はもともと、蘇我倉山田石川麻呂の氏寺である山田寺の本尊でした。

やっぱり藤原氏の陰謀!?蘇我倉山田石川麻呂の悲劇

山田寺跡・明日香村
山田寺跡・明日香村

山田寺は現在はなく、史蹟として碑が立つのみです。本尊は丈六仏像といわれており、立像で約4.8mはあったといいます。頭部だけでも約1mはありますので、とても大きなものでした。

飛鳥時代に蘇我倉山田石川麻呂の供養のため、天武天皇が造営を後押ししたといわれています。

蘇我倉山田石川麻呂は、蘇我馬子の孫、蝦夷は叔父、入鹿はいとこにあたります。蘇我入鹿暗殺(乙巳の変)で中臣(藤原)鎌足・中大兄皇子らに加担したといわれている人物。

その後、異母弟にあたる蘇我日向が“蘇我倉山田石川麻呂に謀反の疑いあり”と中大兄皇子に密告。石川麻呂は一族とともに山田寺仏殿前で自害します。

すでに亡くなっている石川麻呂の遺体から首を切り落として塩漬けにし、中大兄皇子とその妃となった石川麻呂の娘・遠智娘(おちのいつらめ)に見せたのではないかと関裕二さんは推理。遠智娘が大変ショックを受け、「塩」を見るのも嫌だという状態になってしまったそうです。

しかしこの密告は冤罪で、中臣鎌足・中大兄皇子の陰謀だったといわれています。

山田寺の仏頭が興福寺にある理由は「強奪」!?

飛鳥資料館に展示される山田寺仏頭レプリカ

九条兼実(藤原北家)の日記「玉葉」によると、1187年に興福寺の僧兵が山田寺に押し入り、山田寺講堂本尊の薬師三尊像を強奪して、興福寺東金堂の本尊に据えたとかかれています。興福寺側は「迎え入れた」といってますが、力づくじゃん。

しかし、1356年、1411年の火災で東金堂が火災で焼け落ちたのち、行方不明に。1937年に行われた東金堂の修理の際、本尊の台座下から仏頭のみが発見されます。

火事で傷んでいるとはいえ、その美しい姿から国宝になっているというわけです。

また、明治の廃仏毀釈で廃寺となった山田寺ですが、1975年の本格的な発掘調査により、東回廊の建物が当時のまま出土して大変話題になりました。日本に仏教が伝来した当時の建物が失われている中で、木造寺院建築の現存する最古の例として大変貴重なもの。

東回廊は科学的な保存処置を施し、飛鳥資料館に展示されています。

仏頭と塩漬けの首。時を経てもその存在を今に残し続けた山田寺の執念。石川麻呂の無念の思いをぜひ、間近で感じてみてください。

ランチで奈良グルメを満喫

ダイニング「匠(しょう)」
ダイニング「匠」

チャリンコにまたがり、「町屋ゲストハウスならまち」に戻ります。オーナーの安西さんにおすすめのランチスポットとして「ダイニング匠(しょう)」をご紹介いただきました。

いつも安西さんがお昼にお弁当をお願いしているところだそうです。

「ダイニング匠」は、ならまちにある居酒屋さんで、奈良の地場野菜やお米などの食材を使い、手作りのお料理を提供してくれています。

ダイニング匠のランチ

この後、最後のくず餅を食べる予定なのでお腹に余裕を残しておきたいところでしたが、凄いボリューム!これで1,000円(2019年5月当時)は激安です。

とてもおいしかった。安西さん、ありがとうございます。小さなお店なので、夜は予約した方がいいかも。ランチも私たちで売り切れでした。

お腹いっぱいなはずなのに、その足で「中西与三郎」に向かいます。

やっぱり食べて帰りたいかき氷とくず餅

寧楽菓子司・中西与三郎
寧楽菓子司・中西与三郎

ならまちにある大正2年創業・老舗の和菓子屋「中西与三郎」には、古民家を改装した喫茶室が併設されています。上品な生菓子を店頭では販売。

ここでのお目当てはふわっふわのかき氷と、できたてのくず餅でございます。

中西与三郎・かき氷
茶房「六坊庵」でいただくかき氷

畳敷ですが、テーブルとイス席なので、正座が苦手という方でも安心です。

くず餅
ほのかに温かいくず餅

くず餅は注文が入ってからつくるので、ほんのり温かい。ランチで膨らんだお腹にもするりと入ります(笑)。

正直、このくず餅を食べるためだけに奈良に来たかいがあるというもの。皆さんもぜひ忘れずに食べて帰ってくださいね。

奈良旅行3日目の観光&おすすめポイント

  • 東大寺は仏像以外にも「二月堂」「転害門」「戒壇」など見どころあります!
  • 興福寺では山田寺仏頭に注目
  • ならまちではかき氷とくず餅はマストなグルメ

これにて古代史オタクの熱い2泊3日奈良旅行完結!!たぶん、またいつかいっちゃうんだろうな。

大阪の仁徳天皇陵古墳が盛り上がりを見せる中、ぜひ奈良にも足を運び、古代史の闇と光にも注目してみては?

<Information>
鹿の舟・竈(かまど)
奈良県奈良市井上町11
営業時間:平日 11時~18時/土日祝 8時~18時
定休日:第1・第3火曜日、毎週水曜日
問合せ:0742-94-5520

御霊神社
奈良県奈良市薬師堂町24番地
御祈祷受付時間:10時~16時

東大寺
奈良県奈良市雑司町406-1
大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂の拝観時間:4~10月 7時30分~17時30分/11~3月 8時~17時
拝観料:中学生以上600円、小学生300円
※30名以上の団体で割引あり

興福寺
奈良県奈良市登大路町48番地
国宝館拝観時間:9時~17時(16時45分までに入館)、年中無休
拝観料:700円、中学生600円、小学生300円
※30名以上の団体で割引あり
※東金堂、中金堂は別途拝観料がかかります。

ダイニング匠(しょう)
奈良県奈良市東城戸町14-1
営業時間:ランチ 11時30分~14時/ディナー 18時~22時
問合せ:0742-85-0271

寧楽菓子司・中西与三郎
奈良県奈良市脇戸町23
喫茶営業時間:11時~18時(お店は9時30分より営業)、不定休
問合せ:0742-24-3048

※料金やサービス等は2019年当時のものです。最新の情報は公式ホームページを参照してください。

 

 

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この記事を書いた人
ちくわ

旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂!?

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