古代史オタクが行く奈良2泊3日の旅~高見の郷・丹生川上神社・玉列神社日帰りバスツアー編~
3日目は関裕二先生のファンクラブ・関西支部とは別のファンの方が企画してくれた「徳積み大人の遠足」バスツアーに参加してきました。
しだれ桜の名所「高見の郷」に2023年、行く予定だったのですが、あまりにも早い桜の開花で散ってしまったため室生寺へ。2024年はどうやら見ごろを楽しめそう!
スタートからいろいろ波乱続きでしたが、その分心に残る旅となりました。
■関裕二先生ファンクラブ関西支部企画・講演会と大人の遠足ツアー
<1日目午前:桜井市内編>
近鉄桜井駅==長谷寺駅==長谷寺==昼食==なら100年会館==“蘇我一族の会”とともに懇親会
長谷寺編はこちら≫
<2日目:二上山登山&練り供養編>
近鉄南大阪線・二上神社口駅出発==二上山登山==當麻寺・練供養==當麻寺駅==大和八木駅着・終了==懇親会
■貸切バスで行く♪徳積み大人の遠足with関裕二先生
近鉄大和八木駅集合・出発==高見の郷(東吉野)==丹生川上神社==玉列神社==大和八木駅到着・終了==懇親会==帰宅
3日目は「アパホテル 近鉄奈良駅前」の「天迦久珈琲」でモーニングをいただくところからスタート
3日目の集合は近鉄・大和八木駅に9時15分集合(9時30分出発)。ということで、近鉄奈良駅近くのお店でモーニングをいただきます。
前日は「変なホテル」1階にある「オテンキパーラー」にいったので、3日目は「アパホテル 近鉄奈良駅前」1階にある「天迦久珈琲(アメノカクコーヒー)」に行ってみることに。
しかし、時間を読み間違えてドタバタで食べることに・・・。しかも、近鉄・大和八木駅行きの電車、急行に乗らないと間に合わないのに間違えて各駅停車に乗ってしまうという失態です。
遅刻か…と思われましたが、必死に乗換案内で検索し、なんとか出発時刻前ギリギリに到着できました。
大阪で人身事故、到着できないメンバー多数により、バスでちょっぴりドライブ
今回のバスツアーでお世話になったのは大和高原交通さん。当初は小型マイクロバスだったのですが、人数が増えたため中型観光バスを配車してくださったそうです。
ところが、大阪で起きた人身事故のため、ツアー幹事をしてくださったNさんを始め、複数のメンバーが到着できないというアクシデント。別ルートで来るにせよ、約1時間程度出発が遅れそうという状況になってしまいました。
そこで大和高原交通さんが粋な計らいで、待っている間、明日香村へドライブしてくれることに。車窓からではありますが、石舞台古墳や高間塚古墳、キトラ古墳などを巡ってくださいました。
思いがけないサプライズ、ありがとうございます!
約1,000本のしだれ桜が咲き誇る絶景「天空の庭 高見の郷」へ
途中トイレ休憩をはさみつつ、バスは東吉野村にある「高見の郷」に向かいます。奈良で桜の名所といえば吉野山が有名ですが、「高見の郷」は2004年頃からしだれ桜の成木を植樹し、美しい春の名所として知られるようになりました。
駐車場からは送迎バス(マイクロバス)に乗換え、ちょっとびっくりするような急こう配のワインディングロードをくねくねと登っていきます。
マイクロバスを操るドライバーさんのテクニックも凄いですが、車窓から見えるしだれ桜に皆さん大歓声。窓の外いっぱいに広がる新緑と薄いピンク色の桜がとても幻想的でした。
辺り一面ピンク色に染まる「高見の郷」、まさに春爛漫です
「高見の郷」メインスポットである「天空の庭に到着」。真っ青に晴れ渡る空と満開のしだれ桜のピンクがともかく美しく、言葉を失います。
山からの眺めも素晴らしく、平日の月曜日に訪れたため、混み具合も程よく、ゆったりと鑑賞できます。こちらではお花見タイムと自由昼食ということになりました。
「天空の庭」から千年の丘展望台を目指して昇っていきます。展望台からは高見の郷全体が見渡せるそうです。
写真にしてしまうとなんともつまらない。下のほうまでぎっしりと咲いているしだれ桜に心を奪われます。
関西支部・関裕二先生ファンクラブのMちゃんは参加できなかったので、代わりに彼女が作ってくれた旗を持参しました!
「天空の庭」で柿の葉寿司のお昼ご飯、いただきます
「天空の庭」までは自動運転の電動カートでくだりました。ちなみに駐車場からもこのカートで登れるそうです。
奈良といえばやっぱりコレ!「柿の葉寿司」です。電車乗り換え時間に素早く購入しました。
柿の葉寿司は五條市の名物。貴重なタンパク源である魚を塩でしめて保存性を高め、乾燥を防ぐために柿の葉で包み、重石で余分な空気を抜き発酵を促して作られています。
海から離れた山里で生まれた郷土料理。鯖や鮭で作られることが多いですが、鯛を使っているところもあります。
風が吹くと桜の花びらが散り、舞い上がり、なんども風情ある景色。
「天空の庭」ではレストランや茶店、トイレなどがあり、ここで食事をすることもできます。
当初の予定よりも短くなってしまった滞在時間ですが、満喫できました。ちなみにこちらの「高見の郷」代表の島崎照章さんは、バスツアー主催者であるNさんの同級生!
去年からずっと行きたかった場所だったのでこのご縁に感謝、感謝です。
Information
高見の郷
開園時期:4月上旬~4月末頃、9時~17時(16時最終受付)
入園料:大人1,500円、小中学生500円
※園内送迎無料
住所:奈良県吉野郡東吉野村杉谷298-1(現地)/奈良県桜井市外山747桜井ゴルフセンター(事務局)
問合せ先:090-5136-9844(高見の郷事務局)
バス駐車場:5,000円
※団体予約はFAXで申込0744-43-7272(2024年末頃から予約受付スタート予定)
「丹生川上神社 中社」でドラゴンボール!? を投げる
続いて向かったのは同じ東吉野村にある「丹生川上(にうかわかみ)神社 中社」です。こちらではミニ合同祈祷(正式参拝)をしていただきました。
675年(天武天皇白鳳4年)で雨乞い祈願の社として創祀。四郷川、高見川、日裏川の合流点に鎮座し、水の神、罔像女神(みづはのめのかみ)を祀っています。
紆余曲折を経て官幣(かんぺい)大社となった丹生川上神社 中社
神武天皇が戦勝祈願したという伝承や天武朝以降、たびたび行われた吉野行幸の離宮後地説もあるそうです。応仁の乱頃までは朝廷から雨乞い、雨止めの奉幣祈願がたびたび行われていたとのこと。
ちなみに雨乞いする時は黒毛馬、雨止めを祈願する場合は白毛馬(もしくは赤毛馬)を奉納したそうです。その後、丹生川上神社の所在地が不明になるなど紆余曲折を経て、現在では上社・中社・下社の三社に。
丹生川上神社 中社は唯一の官幣(かんぺい)大社となっています。
良い気が流れ、見どころも多い丹生川上神社
境内には樹齢1,000年を超えるという「叶(かなえ)の大杉」があります。樹高51.5m、幹周り7.3mという大木。
幹に両手を当てて、心の願いを口唱すれば、ご神威が授かる、といわれています。
丹生川上神社 中社の見どころの1つとして石灯籠(国指定重要文化財)があります。1281年(弘長4年)建立、鎌倉時代の名工・伊行吉の作。
高さ2.6m、笠幅73cmの優美な姿は、東大寺三月堂の燈龍に次ぐ完全無欠の名作と賞せられています。
丹生川上神社 中社で最近特に話題を集めているのがこちらのドラゴンボール(!?)
神社から徒歩3~4分のところにある東の滝(龍神の滝)に投げ入れると穢れを祓い、運気を開くというものです。
2024年は辰年、そして、私は年女。龍神様からのご加護を祈って、ドラゴンボールを投げ入れます。
最近ではこのドラゴンボールが話題となり、SNSなどで盛り上がっているそうですよ。
ちなみに丹生川上神社 上社は川上村にあり、龍神・高龗大神(たかおかみのおおかみ)が主祭神。下社は下市町で、闇龗神 (くらおかみのかみ)が主祭神です。
Information
丹生川上神社 中社
参拝時間:夏季 8時30分~17時/冬季 8時30分~16時30分
住所:奈良県吉野郡東吉野村大字小968
問合せ先:0746-42-0032
バス駐車場:あり(要問合せ)
ド派手なトゥクトゥクが走る!? 「玉列神社」「慈恩寺阿弥陀堂」
日帰りバスツアー、最後の立ち寄り先は桜井市にある「玉列(たまつら)神社」「慈恩寺阿弥陀堂」です。「玉列神社」は「玉椿明神」としても親しまれており、境内には200種約500本の椿が植えられているとか。
3月の最終日曜には椿まつりが行われ、髪に椿の花を付けた巫女による神楽「浦安の舞」の奉奏などが行われるそうです。
「椿」と「海人(あま)」の深い関係
玉列神社に行く前のバス車内で関先生が「椿」と「海人」の関係についてお話してくださいました。
椿は花を楽しむだけではなく、種子から椿油をとります。かつて海人(あま)の民は潜るときに体温低下を防ぐため、椿油を体に塗って潜ったそうです。
日本で最初の市場が「海柘榴市(つばいち=椿市)」だったのも、海人がからんでいたかもしれない、とのこと。玉列神社にたくさんの椿が植えられているのも・・・というお話でした。
椿と海人の関係、とても興味深いです。
「慈恩寺阿弥陀堂」のご住職がトゥクトゥクで颯爽と登場!
この玉列神社に参拝するために、バスを駐車場に停めたら送迎に現れたのがなんと、カワイイ“トゥクトゥク”!「慈恩寺阿弥陀堂」のご住職自らハンドルを握り、玉列神社までを送迎してくださいました。
集落名でもある「慈恩寺」は、玉列神社の神宮寺だったそうで、南北朝の争乱により廃寺に。現在は、阿弥陀堂を残すのみとなっています。
慈恩寺阿弥陀堂のご住職はこのトゥクトゥクを使って、桜井市観光を行っています。
すっかりトゥクトゥクに心を持っていかれてしまいましたが、玉列神社の続きです。
祓戸神社で心身を清めてから参拝
まずは「祓戸神社」に参拝します。実は今回のツアー、元有名神社の宮司さんも同行。お参りの仕方などをアドバイスしてくださいました。
玉列神社の主祭神は玉列王子神(たまつらおおじのかみ)で大神神社の摂社。大神神社に祀られている大物主大神の御子神で、天照大神と春日大神と合祀されています。
一説には雄略天皇の泊瀬朝倉宮(はせあさくらのみや)伝承地の近くに鎮座することより、大和王権の三輪山祭祀の南麓拝所として創祀された、ともいわれているそうです。旧・伊勢街道の初瀬谷で最古の神社。
境内には火の神様である愛宕神社、導きの神である猿田彦神社、製鉄を守護する金山彦神社も祀られています。
さらに素戔嗚神社(桜井市慈恩寺)の遥拝所も。神社から南に約800mほど先に向かい合うように鎮座しているそうです。
古くから「誕生さん」と敬愛されている「誕生石」。子宝石として信仰を集めています。
境内で見つけた白い椿の花。調べてみたら白卜伴(しろぼくはん)という江戸時代からある古典品種だそうです。
初めて見ました。
再びバスにのり、一路、大和八木駅へ。いろいろトラブルはあったものの、どのスポットも素晴らしく、企画してくださったNさんのご人徳のたまものです。
関裕二先生を御存じの方も、古代史に興味がない方も、一緒に楽しめたバスツアーでした。個人ではなかなか行けないところを巧みに周って下さり、とても楽しかったです。
また、お会いできるのを楽しみにしていますー。
Information
玉列神社/慈恩寺阿弥陀堂
住所:奈良県桜井市三輪1422
電話:0744-42-6633
バス駐車場:要問合せ
関 裕二(せき ゆうじ)さんプロフィール
1959(昭和34)年、千葉県柏市生ま れ。歴史作家・武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。
仏教美術に魅せられ奈良に通いつめ、独学で日本古代史を研究。
『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』『神武天皇vs.卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など著書多数。
関 裕二(せき ゆうじ)さんプロフィール
1959(昭和34)年、千葉県柏市生ま れ。歴史作家・武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。
仏教美術に魅せられ奈良に通いつめ、独学で日本古代史を研究。
『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』『神武天皇vs.卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など著書多数。
*NHKカルチャー青山教室・目黒学園カルチャースクールで古代史講座が絶賛開講中。また、月1回、一般社団法人伝統文化交流協会主催の「古代日本史の正体」というテーマでの講座がスタートしています。興味のある方はぜひ!
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