安全なバス運行のために、プロフェッショナルとしての自負を持つ
バスを安全に運行する最大のポイントは、旅行会社が主催する「ツアーバス」の仕事を引き受けないこととおっしゃる麻布自動車観光さん。今回「その心は?」を取材しました。
バスの運行は、バス会社が管理します。厳密にいえば、バス会社の「運行管理者」の資格を持つスタッフが管理しています。
編集部によくある問合せのひとつに「当日行き先を変更できる?」というものがありますが、貸切バスの場合は原則できません。
タクシーなら、その場で運転手さんに行き先変更を告げても問題ありませんが、貸切バスは運行管理者からの許可が必要。運転手さんの判断だけではできないのです。
貸切バスは「運行管理者」があらかじめお客様からの要望に基づいて走行ルートを決め、運転時間や休憩時間、運転距離などを計算し、法令にあった運行スケジュールを算定しています。実際に運転するのは運転手さんですが、バスをどのように走らせるかの判断は「運行管理者」が行っているというわけです。
バスはタクシーと違って、一度に大勢のお客様の命を運びます。「人命」を預かるという仕事ゆえ、運行管理者の責任も重大。つい先日おきた大きな事故。運行管理者がきちんとドライバーを管理していたら起きなかったのではとくやしさをにじませていらっしゃいました。
何年か前にもスキーのツアーバスで大きな事故がありました。このとき、一瞬で天候が激変し、バスの運転手さんの判断は「走行できない」だったそうですが、ツアーを主催した旅行会社の判断は「他のバスが行けたんだから行ってほしい」というもの。結果、転落事故を起こしてしまう結果になりました。
バスの安全な運行に誰が責任を持つのか、誰が判断するのか。旅行会社主催の場合、旅行会社の判断で責任はバス会社が持つ、ということになりがちだと麻布自動車さんはおっしゃいます。これではお客様の安全が担保できません。だから「旅行会社主催のツアーバスは引き受けない」という信条につながるわけです。
安全で快適な旅は運転手さんの能力に比例します。また、危機管理能力も大切だとおっしゃいます。さらに、バスを大切に扱い、メンテナンスも徹底すること。これでよりに安全性が高まるそう。購入したバスは徹底して研究し、整備するため、バスメーカーよりも、そのバスを知っている自信があるとおっしゃいます。
「安くバスを借りたい」という気持ちはよくわかるが、安いときは安いなりのバスと運転手さんがくるもの。安心して任せられるバス会社でありたい。バスのエキスパートであり続ける麻布自動車さんのサービスに惚れて、他社を利用してもまた戻ってくるお客様も多いそうです。
人の命はお金では買えないけれど、安全はお金で「買える」。「麻布さんは、高いよ~」といわれても、その値段以上に価値のあるバス旅行をこれからもサポートしてくれることでしょう。
<参考>
*2013年7月より、貸切バスの運行がより厳しくなり、運転手1名で昼間走行する場合は500㎞以内(休憩を入れた場合でも600㎞)に規制されます。依頼する場合は、走行距離や運転時間(1日13時間以内)に気を付けましょう。
*旅行会社が貸切バス会社に委託し、運行していたツアーバスが禁止されます。今後は「乗合いバスの事業許可」を旅行会社が取得して運行することになります。旅行会社にも安全上の責任を持たせることが狙いです。
■取材協力
麻布自動車観光
東京都足立区花畑4-28-19
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