子育て中のママへ「ベビーカーでバスに乗車するときのマナー」
ベビーカーをめぐるバスなど公共交通機関での乗車マナーについて、今でも賛否両論、さまざまな議論が繰り広げられています。
「ベビーカーをたたまないで乗るから、通路が狭くなって通りにくいのよ!」
「ベビーカー同士でかたまっておしゃべりしてるのがほんと迷惑!」
などなど…。
そうは言っても、子育てしているママさん側にだって、主張はあります。
「ただでさえ荷物が多くてベビーカーに収納してるのに、たたんで乗るのは難しい…」
「荷物も子どもも抱っこするのは大変!」
「どんなに大変でも、周囲は見て見ぬふり。誰も助けてくれない」
など、お母さん側の悲痛な叫びも聞こえてきます。
この現状を何とか解決しようと、国土交通省が「ベビーカー利用に関するキャンペーン」を実施するなど、バリアフリーのやさしい社会になるようにと啓発活動に力を入れています。
ベビーカーで路線バスに乗車するときのマナーや、路線バス・高速バスにはベビーカーごと乗れるのか?国の取り組みも併せてお伝えしていきます!
国も子育てを応援!バスのベビーカーマナー
従来のベビーカーを巡る乗車マナーとは、こんな声が一般的でした。
「ベビーカーのまま乗車されると場所をとるし、周辺の乗客との接触や万が一の転倒につながりかねないから、たたんで乗車すべき」
バス乗車時に赤ちゃんを抱っこしたまま荷物も持ってベビーカーを折りたたむ行為はバランスを崩しやすいです。
その不安定さから誤って赤ちゃんが転落してしまうなどの危険にさらされている現状が浮き彫りになりました。
このことから、国土交通省が各関係機関と協力して平成26年から「ベビーカーの新たなマナーへの取り組み」を始めました。
それは「公共交通機関では必ずしもベビーカーをたたまなくても良い」という新ルール。
新ルールとともに、社会全体でベビーカーを通して子育てしやすい環境整備に務めようと啓発活動を開始したのです。
より早く、より広く周知を徹底させようと、最初に取り組んだのがベビーカーマークの統一化でした。
これまであった「ベビーカーマーク」はそれぞれの民間団体で選定されたバラバラなものだったことから、国で統一したマークを作ることにしたのです。
ベビーカーマークとは
ベビーカー利用にまつわる認識が広く社会で統一されていないため、各交通機関などではトラブルも絶えませんでした。
そこで、まずはベビーカー使用への理解を広く知らしめようと「ベビーカーマーク」の統一化が図られたのです。
そのマークとは、ベビーカーを押す人の姿がシルエットで描かれており、一目で何かわかるものとなっています。
このマークとともに、公共交通機関では必ずしもベビーカーをたたまなくても良いことや、より安全に乗車させるための注意書きがイラストで案内されています。
ベビーカーマークはバス車内のバリアフリー席の近くに掲示されているほか、電車の中吊り広告や新聞、大型ショッピングモールの貸し出しベビーカー付近にも掲示されるなど、広く周知啓発に務められています。
ベビーカーマークの効果は?
ベビーカーマークとともに掲載されている一文をご紹介します。
「ベビーカーには大切な命を乗せています。ちょっと気づかう、そっと見守る。
ベビーカー使用者やその周囲の方には「子どもの安全」と「子育てしやすい
環境づくり」のため、お互いにご理解・ご配慮をお願いします。」
この文章が示している通り、ベビーカーを利用する側も周囲もお互いに譲り合いの精神を持とうよ、と呼びかけているのです。
ベビーカーを使う側もマークが周知されているからといって、必ずしもバス乗車時にたたまなくても良い、ということではありません。
車いす利用者がいればたたんで乗車してもらえるようにとお願いされることもあります。
ただ、社会全体がベビーカーを通して子育てしやすい環境にするための理解と協力を深めようよ、ということで幼児を連れて移動するお母さんを応援する取り組みがおこなわれているんですね!
バス会社全体でも共通認識に
全国の各公共交通機関でも、ベビーカーの安全な乗車のための注意喚起がなされています。
一部、ご紹介します。
- ベビーカーに子どもを乗せる場合は、必ず座席ベルトを着用させましょう。
万が一、動いて転落する恐れもあります。
しっかりと装着しましょう。- ベビーカーでの走行中、道路などのちょっとした段差や隙間に車輪が挟まり、大きなケガにつながることもあります。
十分に注意しましょう。- エスカレーターや階段を使う際はベビーカーをたたんで、子どもは抱っこして使用しましょう。
もし荷物が多くて困難な場合は、周囲の人に積極的に協力をお願いしましょう。
また、困っているママさんを見かけたら、すすんで手を貸しましょう。- ベビーカーを停車させている時は必ずストッパーをかけるようにしましょう。
電車のホームなどは傾斜していることが多くあります。
万が一、自然に動いてしまわないように、必ずストッパーをかけるようにしましょう。
路線バスでの安全なベビーカーの乗せ方
では路線バスにベビーカーを安全に乗車させるにはどうしたらいいのか?
正しい乗車方法をご紹介します。
まずベビーカーを乗車させ、バスの車内、中ほどにあるバリアフリー席付近に位置付けます。
この席はベビーカーと座席をつないで固定することができる「補助ベルト」のついた席で、車いす用の席としても併用される場合もあります。
※どの席かわからないときは、車いすのマークとともに先ほどご紹介したベビーカーマークも掲示されています。
座席に補助ベルトでつなぐ時、進行側(運転席側)に背を向けるようにベビーカーを位置づけなければなりません。
次にベビーカーの車輪を固定するためにストッパーをかけ、乗せている子どもにもシートベルトを着用させます。
座席についている補助ベルトをベビーカー側部のバーに通して長さを調整し、最後にアタッチメントを連結させて固定します。
これで完了です(ただし、あくまで補助ベルトは簡易的なベルトであり、完全に赤ちゃんの安全を保障するものではありません。保護者の目の届く範囲での使用が必須となります)。
路線バスにベビーカーを乗せる場合、持込運賃などは一切かかりません(子ども運賃がかかるのは小学生から)。
高速バスにベビーカーを乗せられる?
路線バスの安全な乗車方法が分かったところで、では高速バスや貸切バスはどうなのでしょうか?
高速バス(夜行バス)は東京~大阪間など都市間の移動になるので、高速道路を走ります。
高速道路では、1人1席でシートベルトを付ける義務が発生します。
ベビーカーに乗るくらいの赤ちゃんは、親が膝の上に抱っこしてしっかりと子供を支えることで安全に乗車することが基本となります。
ベビーカーを畳まずに高速バスに乗せることはできない、と考えておいてください。
高速バスではあらかじめ折りたたんで、バス車両の下部分にある荷物スペースに入れることとなります。
観光などの旅行時によく使われる「貸切バス」も高速バス同様と解釈しましょう。
長距離バスでの移動は大人でもかなり疲れます。
ましてやベビーカーに乗る年次のあかちゃんはなおさら、です。
乳幼児と一緒に高速バスや貸切バスに乗るのは、あまりオススメできません。
ベビーカーを通してやさしい社会に
路線バスは基本的には、ベビーカーをたたまずに乗車して良い、とされています。
ただ、混雑時や車いすのお客さんがいる時など、ママもほかの乗客もお互いにゆずりあう必要はありますね。
東京オリンピックももうまもなく、全世界からオリンピックの晴れ舞台を見ようと、観光客が多く見込まれています。
当然、赤ちゃん連れのファミリーも訪れることになります。
だからこそ、ベビーカーへのやさしい取り組みが社会全体に浸透することが必要なのです。
まずはバス乗車時にベビーカーファミリーに理解と協力を示してみませんか?
バス会社の比較がポイント!