ロンドンバスの表示が地下鉄風になって、もっとわかりやすくなる!?
EU離脱やテロの脅威など、旅行先としては不安材料の多いロンドンですが、街の代表選手であるロンドンバスは、通勤にはもちろん観光にも便利になるようにと、今まで以上にそのインフラ改善が行われています。
バスがカラフルになって、わかりやすくなる⁉︎
昨年、ロンドン市長に就任したカーン氏。以前より、ロンドンバスのインフラ改善には力を入れると言っていましたが、就任後、公約実現のために取りかかったのが、バス路線に地下鉄同様のカラーを導入すること。
でもカラーを導入するといっても、赤いロンドンバスがカラフルになるわけではありません。各路線を区別してわかりやすくするため、それぞれラインカラーが設けられ、車体横や各種の表示にもそのカラーが施されるということ。しかも、バスには目的地と乗り換え可能なバスについても表示される予定だそうです。これは、市民のみならず観光客にとっても嬉しいニュースです。
現在、バス停には路線図や時刻表、バス停に止まる路線番号などが記されていますが、乗り換え情報はほとんどなく、またバスの車体には路線番号と行き先の表示だけ。
約700もの路線が複雑に張り巡らされたロンドン。初めてバスに乗車する際、今の表示方式だけではわかりにくいのが実情です。
そこで、カーン市長は地下鉄のように、各路線カラーをバス停やバス車体に表示して利用者の誘導に役立てよう!としているわけです。
カーン氏は「バスに乗車しやすい環境、そして利用しやすい価格の実現を目指している。新しいルートカラーをバスネットワークに導入することで、地下鉄同様、バスでもロンドンを気軽に回れるようになるだろう」と語り、すでにイーストロンドンにあるバーキングサイドを走る7路線、60台以上のバスで試験的にこの路線カラーを表示する予定。今年の後半にはロンドンの西部、ヘーズでも展開するということです。
ロンドン市内を走るバスそれぞれの路線カラーが、統一して路線図、バスの車体、そして案内標識に表示され、乗り換えるバスついても一目瞭然!そうなれば、英語をさっと読めない観光客やロンドンバス初心者にとって、バス利用がグッと楽になりますよね。ちなみに、路線図については、すべて一新する計画が立てられているようです。
きれいな空気を目指して、バスルートが変更されます!
カーン氏は、ロンドン中心部の大気汚染緩和にも力を注いでいます。
大気汚染悪化を食い止めるため「2020年までにオックスフォード・ストリートを歩行者天国にする(とはいっても、銀座のように週末だけ歩行者天国になるのではありません。すでに乗用車は日曜日を除く連日7:00am〜19:00pmまで乗り入れ禁止。それにくわえ、バスやタクシーも入れなくするということです)」という選挙公約を掲げたカーン氏。
バスの路線カラー導入だけではありません!カーン市長はこの公約も実現しようと、すでにオックスフォード・ストリートを走行するバスルートの変更にも取り組み始めているのです。
バス利用者分布などを再検討し、バス台数を増加すべきところ、減らすべきところを見直して行われるこのルート変更。合計で23路線に影響が出る模様。多くのバスがオックスフォード・ストリート周辺のパーク・レーンやトラフィルガー・スクエアー、トッテナム・コート・ロード止まりになるとか。
「それは、不便になる!」という方、いえいえ大丈夫です。市長のカーンさん、いろいろ策を練ってくれています。
まず、昨年の9月に「ホッパー料金」なる制度を導入。これは1時間以内であれば、乗り換えしても1回分の料金を支払えばよいという制度ですが、この新制度を使えば、オックスフォード・ストリートをバスで通らなくても、周辺バスに乗り換えて市内を行き来できる、というのです。
たしかに以前は乗り換えるたびに£1.50支払っていたので、2回乗車すれば£3(3回以上は一律£4.50)。乗り換えには躊躇する人が多かったようですが、でもこの「ホッパー料金」制度を利用すれば、バスに2回乗っても£1.50ですから、乗り換えも負担にはなりません。なかなか便利です。
また2018年頃までには、何度乗り換えしても£1.50でOKにする計画もあるということ。実現したら、ロンドン観光をバスで!そして通勤はバス利用で!という人がさらに増えますね(ロンドンのバスは現金乗車ができません。なので事前にオイスター・カードを購入するか、デイ・トラベルカードなどを用意する必要があります。ご注意を)。
そして、2018年に始動予定のエリザベスラインも、「オックスフォード・ストリートからバスが減っても大丈夫!」という理由のひとつ。
ロンドンを東西に横断して走るこの地下鉄、バークシャー州のレディングおよびヒースロー空港からイーリング、パディントンを通り、ボンド・ストリートの真下を通過してエセックス州へ向かう(キャナリーワーフ行きもあり)というもの。
人々の動きを変え、慢性的な混雑の解消に一役買うだろうと言われていますが、主要なスポットを網羅して走るので、途中まではバス、そのあとはエリザベスラインでオックスフォード・ストリート周辺を巡る!という人が増えるのかもしれません。
そんなこんなで、今年の夏ごろからロンドン屈指のショッピング街であるオックスフォード・ストリートを走行するバスは40%減少する見込み。それによって交通渋滞の緩和が見込めるのはもちろん、交通量が減ることで街中の大気汚染も改善するだろうと、カーン氏は語っています。
現在、オックスフォード・ストリート沿いの大気汚染は、欧州内でトップクラス。ロンドンの目抜き通りをバスが走行しないのはとても悲しいですが、カーン市長の努力により不便にはならないようですし、深刻な状況にある大気汚染を緩和させるために、この新しい動きを応援したいところです。
またカーン市長とロンドン交通局は「今後、より多くの人がロンドンのバスネットワークを使用できるよう、さらなる大胆な計画を進めている」とも述べ、ロンドン中心部でのサービス向上、バス台数を需要に合わせる、信号のタイミングを見直すことでバスサービスの向上を図る、そして24,500人のバスドライバー、バスコントローラー、および運用スタッフに、顧客支援に関する新しいトレーニングを提供するなど、さまざまな改善策を打ち出しています。
ロンドン市長の今後の交通戦略は、長期的なアプローチで行われるということ。観光客が安心してバスに乗ってロンドン観光ができるように変革して欲しいものです。期待しましょう!
■画像提供・取材協力
ロンドン交通局(Transport for London)
バス会社の比較がポイント!