スコットランドの街並みに溶け込むヴィンテージバス

スコットランドで人気のバスイベント!”Lothian Buses”車庫オープンデー

こんにちは。エディンバラ在住のなこです。

9月下旬に地元で開催された「Lothian Buses 車庫オープンデー」に行ってきました!これはスコットランド全土で開催されるDoors Open Dayというイベントの一貫として行われたもの。ビンテージから最新型バスまで勢ぞろいします。

このイベントは歴史的建造物から裁判所や個人所有の大豪邸まで、いつもは一般公開されていない建物に老若男女、だれでも入場できる催し物なのですが、毎年9月下旬の週末に行われ、多くの家族連れで賑わいます。

中でもLothian Busesのイベントは、いつも1番人気。しかも今年は開場からたったの4時間で9,000人を越える来場者数だったとか。今回は、その大好評だったオープンデーの模様をお伝えします。

スコットランドで人気のバスイベント

エディンバラの中心から歩くこと30分。「道行く人々の数が増えてきたな〜」と思ったら、見えてきました!Lothian Busesのバス車庫です!しかも、ビンテージバスが並んでお出迎え。ワクワク度、マックスです!それでは中に入ってみましょう!

Lothian Busesのバス車庫
1926年からLothian Busesのバス車庫として使用されている歴史ある建物
Lothian Busesの展示車両
車庫前に展示された1965年度製のESF 801C(左)と1967年度製のJSC 900E オープントップダブルデッカーバス(右)
大勢の人が来場
エディンバラのイベントとしては画期的な混み具合

まずはテレビ画面でイベント概要を確認。しかし、手に取って読むパンフレットなどは、まったく見当たらず…。展示されているバスの説明も、まったくないようです。

このあたりが日本と違うところ。英国流!?果たしてどうなることやら。

イベント内容はTVモニターでチェック
来場者の方々、テレビの画面でイベント内容をチェック中

なぜかパトカーも動員!?

まず最初に目に入ってきたのが、かわいい黄色いバス!子どもたちが、たくさん乗り込んでます。これはDennis Dart SLF シングルデッキバスを、イベント用にオープンバスに改造したもの。「Lost and Found(お忘れ物取扱所)」と書かれていますが、どうも乗車体験の場所として展示されているみたいです。

乗車体験用に用意された黄色いバス
バスにはカワイイ顔まで描かれています

なぜかパトカーもありました。乗車体験ができるとあって、子どもたちが並んで待ってます。そしてなんと、サイレンを鳴らすこともできる!?

スコットランドのパトカーまで展示
パトカーの色、なかなか派手で目立ちます

そういえばさっきから、車庫中にワンワンとサイレンが鳴り響いています。しかしイギリスのパトカーから出るサイレンの音、半端なく大きい…。でもだれも気にはしていない模様…。このあたりも、英国流!?

パトカーの運転席に座ることもできます
運転席に座る子どもたち
運転の疑似体験もできます
運転のシュミレーションをやってます。運転の難しさを教えているみたいです

スコットランドではバスドライバーは人気の職業!

こちらの黄色のバスは、バスドライバーになるための教習バス。このバス、街中でも頻繁に見かけます。

バスドライバーになるための教習バス
黄色が目印の教習バス

スコットランドのバスドライバーさんは、福利厚生などが良いのでなかなか人気があるお仕事です。Lothian busesでは、毎年約150名の新米バス運転手さんが誕生しますが、みなさん厳しい筆記試験と実地試験を突破した方々。細い路地や坂道、そして観光客があふれる街中を走るエディンバラの路線バスは、高度な運転テクニックを要する仕事なので、この黄色のバスで実地練習を重ねるのですね。

教習車の運転席体験
教習車の運転席にも座ってみることができる

VolvoとWrightbusが特別デザインした最新型バス!

そして、さらに歩いていくと、VolvoとWrightbusが開発した新型バスがズラリ!

特別仕様の新型バス
エディンバラ観光業の要。エディンバラ・バス・ツアーズのバスたち

導入されたばかりのピカピカの車体に、訪れた人々の目も釘づけ。たくさんの人が、バスの周りに集まっています。

この新型バス、Lothian Busesが650万ポンドを投じて導入した、スグレモノ。しかもエディンバラの街をスムーズに走行できるようにと、VolvoとWrightbusが特別にデザインしたものだそうです。ほかの観光都市では走行しないというのですから、スゴイじゃないですか。

雨の日が多く、また坂道があちらこちらに点在するエディンバラで、オープトップバスを走らせるのは容易なことではありません。そんな問題を解決しようと、VolvoとWrightbusがタックルを組んで開発したのですから、この最新型バスたち、乗客はもちろんバス好きな人々の心を裏切らないに違いありません!

VolvoとWrightbusがタックルを組んで開発
新型バス導入告知のPRパンフレットより

では、どんなところがスグレモノなのか、ちょっと覗いてみましょう。

まず、シャシーはVolvoの新型B5TL Euro 6を使用。最新の電気制御ブレーキシステムを搭載しているので、坂道の発進時も急ブレーキ時も、乗客に違和感を感じさせないとのこと。

またどんなお客さまにも対応すべく、車椅子やベビーカーはもちろんスクーター用のスペースもしっかり確保。もちろんWi-Fiだって完備されているので、乗車中に観光名所について調べることだってできちゃいます。

そしてWrightbusが使用したのはGemini 3のボディー。このGeminiシリーズ、2001年に発表されて以来、ロンドンを走るダブルデッカーバスではすっかりお馴染みですが、今回は2013年に登場したGemini 3をさらに改良しているとか。

より快適にパノラマビューを堪能できるようにと、ガラスの総面積を増加。そして2階席の半分に屋根を取り付け、オープントップではなくハーフトップにすることで、どんな天候時でもエディンバラの荘厳な景観を楽しめるようにしたそうです。

また、雨水がうまく流れ落ちる配水システムも新しく導入。これで、いつどこで降り出すかわからない、エディンバラの雨にも対応。床に雨水が溜まらなければ、乗客の足元もいつもスッキリですね。

そしてもちろん、このバス、環境にも優しいのです。

2020年までに二酸化炭素排出量42%カットを目標に掲げているLothian Busesですが、このバスは既存のバスに比べ、CO2を40%減らすことに成功。がんばりました!目標到達も視野に入った感じでしょうか。

とまあ、いい事尽くめのエディンバラ・バス・ツアーズのバスたち。たくさんのお客さまを笑顔にすること、間違いなしですね!

ヴィンテージバスはやっぱりおしゃれ!

スコットランドの街並みに溶け込むヴィンテージバス
ビンテージバスは眺めるだけでも楽しい

それではまたオープンデーに話を戻しましょう。ホップオンホップオフバスを見たあと、さらに奥に進むと、今度はビンテージバスがズラリと並んでいます!

バスの前で記念撮影
懐かしいバスの前で写真をパチリ、という方がたくさんいました

さっそくバスの中に入ってみます。

ヴィンテージバスの中へ
2階には後部にある階段から上がります
バス車内の階段
2階に上がる階段はすごく急です

こちらは1949年度製、DaimlerのシャシーにMetro-Cammellのボディーを使ったバス。懐かしいレトロな内装に感激です。

ヴィンテージバスの2階席からの眺望
2階席からの眺めはこんな感じ
ヴィンテージバスについているエンブレム
バスの横についているエンブレム

この頃のLothian Busesのほとんどが、茶色のレザーシートだったそうです。1954年ごろから赤いレザーシートに変わり、Lothian Busesのトレードマークとなったそうですが、茶色のシートもシックでお洒落ですよね。

そして座席はすべて2人掛けで現在のバスに比べると、座席数が少ないですねえ。昔は、この乗車人数でよかったのですね。

そのほかにも、いろんなビンテージバスが並んでました。こちらのバスは、1954年度製のLFS480。Leyland Titan PD 2/20のシャシーにMetro-Cammell Weymann Orionのボディー。

スコットランドのバスマニア?!
購入したバス停の表示板を抱え、行き先を変えている方がいました。きっとバス大好き人間!?

行き先表示板は手動。高いところにあるので、棒でクルクル回して行き先を変更するようです。

1961年デビューのYSG101も出展!

珍しいバスもありました。YSG 101。1952年度製のバスです。

丸いフォルムで愛嬌のあるYSG101
丸いフォルムで愛嬌のあるYSG101

このバス、なぜ珍しいのかというと、3ドアなんです。しかも乗車ドアは後部、昇降ドアは先頭部。変わってますよね。

日本では、ほとんどの3ドアバスが廃車になっていると思いますが、このバスは廃車にはならずでした。その代わり、じつは3ドアバスとしては、ほとんど使われなかったんです。

1961年にエディンバラで開催されたモーターショーで、華々しくデビューをしたこのYSG101。

鉄道に掛けられた低い橋の下を背高のダブルデッカーが走行できない、という問題を解決するために、ダブルデッカーに替わるバスとして街中を走行するルート1に登場。

しかしながらLothian Busesの期待とは裏腹に、このバス、市民からは大不評…。座席数が33席と少ない、入り口が後ろにある、などの理由から人気は出ず、1968年にルート1からは引退させられてしまいます。

しかしその後、ドアをひとつに変更。また座席数を45席に増やし、飛行場を往き来するバスに生まれ変わりました。そしてその後、なんと33年間も使用されたということです。

展示されているバスは復刻版でしょうか。モーターショーで期待を一身に背負ったころの立派な姿に甦り、バスも嬉しそうに見えます。

YSG101のドア
バス先頭部分のドアには、NO ENTRYの表示。ここからは入れません
YSG101を天井から眺めてみた
YSG101を上から眺めてみました

さて、あまりの人の多さに子どもが悲鳴をあげ、帰宅することに…。もう少しじっくりと見たいところでした…。残念。

でも、帰りに街中を走るビンテージバスに遭遇したので、写真をパシャパシャパシャ。ああ、私も息子を連れて乗車すればよかった。

1982年度製のバス
1982年度製のGSC 667X。Leyland OlympianのシャシーとAlexander RHのボディー
古い町並みにピッタリなデザイン
古い町並みにピッタリなデザイン
レトロな雰囲気が入り口付近にも
レトロな雰囲気が入り口付近にも
1991年度製のバス
1991年度製のK117 CSG。Dennis DartのシャシーにAlexander Dashのボディー
ヴィンテージバスに気付いていない利用者
バス利用者は、ビンテージバスに気がついていない!?

とまあ、思い残すことが盛りだくさんになってしまったオープンデー。来年は、もっと対策を練って行くぞ!

この記事を書いた人
バス観光マガジン編集部 編集ライター

バス観光マガジンの中のヒト。貸切バスについての基礎知識やバス旅行のヒント、バスファンのための情報など、バスに関する楽しいコンテンツを日々お届けします。

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