スコットランドで人気のバスイベント!”Lothian Buses”車庫オープンデー
こんにちは。エディンバラ在住のなこです。
9月下旬に地元で開催された「Lothian Buses 車庫オープンデー」に行ってきました!これはスコットランド全土で開催されるDoors Open Dayというイベントの一貫として行われたもの。ビンテージから最新型バスまで勢ぞろいします。
このイベントは歴史的建造物から裁判所や個人所有の大豪邸まで、いつもは一般公開されていない建物に老若男女、だれでも入場できる催し物なのですが、毎年9月下旬の週末に行われ、多くの家族連れで賑わいます。
中でもLothian Busesのイベントは、いつも1番人気。しかも今年は開場からたったの4時間で9,000人を越える来場者数だったとか。今回は、その大好評だったオープンデーの模様をお伝えします。
エディンバラの中心から歩くこと30分。「道行く人々の数が増えてきたな〜」と思ったら、見えてきました!Lothian Busesのバス車庫です!しかも、ビンテージバスが並んでお出迎え。ワクワク度、マックスです!それでは中に入ってみましょう!
まずはテレビ画面でイベント概要を確認。しかし、手に取って読むパンフレットなどは、まったく見当たらず…。展示されているバスの説明も、まったくないようです。
このあたりが日本と違うところ。英国流!?果たしてどうなることやら。
なぜかパトカーも動員!?
まず最初に目に入ってきたのが、かわいい黄色いバス!子どもたちが、たくさん乗り込んでます。これはDennis Dart SLF シングルデッキバスを、イベント用にオープンバスに改造したもの。「Lost and Found(お忘れ物取扱所)」と書かれていますが、どうも乗車体験の場所として展示されているみたいです。
なぜかパトカーもありました。乗車体験ができるとあって、子どもたちが並んで待ってます。そしてなんと、サイレンを鳴らすこともできる!?
そういえばさっきから、車庫中にワンワンとサイレンが鳴り響いています。しかしイギリスのパトカーから出るサイレンの音、半端なく大きい…。でもだれも気にはしていない模様…。このあたりも、英国流!?
スコットランドではバスドライバーは人気の職業!
こちらの黄色のバスは、バスドライバーになるための教習バス。このバス、街中でも頻繁に見かけます。
スコットランドのバスドライバーさんは、福利厚生などが良いのでなかなか人気があるお仕事です。Lothian busesでは、毎年約150名の新米バス運転手さんが誕生しますが、みなさん厳しい筆記試験と実地試験を突破した方々。細い路地や坂道、そして観光客があふれる街中を走るエディンバラの路線バスは、高度な運転テクニックを要する仕事なので、この黄色のバスで実地練習を重ねるのですね。
VolvoとWrightbusが特別デザインした最新型バス!
そして、さらに歩いていくと、VolvoとWrightbusが開発した新型バスがズラリ!
導入されたばかりのピカピカの車体に、訪れた人々の目も釘づけ。たくさんの人が、バスの周りに集まっています。
この新型バス、Lothian Busesが650万ポンドを投じて導入した、スグレモノ。しかもエディンバラの街をスムーズに走行できるようにと、VolvoとWrightbusが特別にデザインしたものだそうです。ほかの観光都市では走行しないというのですから、スゴイじゃないですか。
雨の日が多く、また坂道があちらこちらに点在するエディンバラで、オープトップバスを走らせるのは容易なことではありません。そんな問題を解決しようと、VolvoとWrightbusがタックルを組んで開発したのですから、この最新型バスたち、乗客はもちろんバス好きな人々の心を裏切らないに違いありません!
では、どんなところがスグレモノなのか、ちょっと覗いてみましょう。
まず、シャシーはVolvoの新型B5TL Euro 6を使用。最新の電気制御ブレーキシステムを搭載しているので、坂道の発進時も急ブレーキ時も、乗客に違和感を感じさせないとのこと。
またどんなお客さまにも対応すべく、車椅子やベビーカーはもちろんスクーター用のスペースもしっかり確保。もちろんWi-Fiだって完備されているので、乗車中に観光名所について調べることだってできちゃいます。
そしてWrightbusが使用したのはGemini 3のボディー。このGeminiシリーズ、2001年に発表されて以来、ロンドンを走るダブルデッカーバスではすっかりお馴染みですが、今回は2013年に登場したGemini 3をさらに改良しているとか。
より快適にパノラマビューを堪能できるようにと、ガラスの総面積を増加。そして2階席の半分に屋根を取り付け、オープントップではなくハーフトップにすることで、どんな天候時でもエディンバラの荘厳な景観を楽しめるようにしたそうです。
また、雨水がうまく流れ落ちる配水システムも新しく導入。これで、いつどこで降り出すかわからない、エディンバラの雨にも対応。床に雨水が溜まらなければ、乗客の足元もいつもスッキリですね。
そしてもちろん、このバス、環境にも優しいのです。
2020年までに二酸化炭素排出量42%カットを目標に掲げているLothian Busesですが、このバスは既存のバスに比べ、CO2を40%減らすことに成功。がんばりました!目標到達も視野に入った感じでしょうか。
とまあ、いい事尽くめのエディンバラ・バス・ツアーズのバスたち。たくさんのお客さまを笑顔にすること、間違いなしですね!
ヴィンテージバスはやっぱりおしゃれ!
それではまたオープンデーに話を戻しましょう。ホップオンホップオフバスを見たあと、さらに奥に進むと、今度はビンテージバスがズラリと並んでいます!
さっそくバスの中に入ってみます。
こちらは1949年度製、DaimlerのシャシーにMetro-Cammellのボディーを使ったバス。懐かしいレトロな内装に感激です。
この頃のLothian Busesのほとんどが、茶色のレザーシートだったそうです。1954年ごろから赤いレザーシートに変わり、Lothian Busesのトレードマークとなったそうですが、茶色のシートもシックでお洒落ですよね。
そして座席はすべて2人掛けで現在のバスに比べると、座席数が少ないですねえ。昔は、この乗車人数でよかったのですね。
そのほかにも、いろんなビンテージバスが並んでました。こちらのバスは、1954年度製のLFS480。Leyland Titan PD 2/20のシャシーにMetro-Cammell Weymann Orionのボディー。
行き先表示板は手動。高いところにあるので、棒でクルクル回して行き先を変更するようです。
1961年デビューのYSG101も出展!
珍しいバスもありました。YSG 101。1952年度製のバスです。
このバス、なぜ珍しいのかというと、3ドアなんです。しかも乗車ドアは後部、昇降ドアは先頭部。変わってますよね。
日本では、ほとんどの3ドアバスが廃車になっていると思いますが、このバスは廃車にはならずでした。その代わり、じつは3ドアバスとしては、ほとんど使われなかったんです。
1961年にエディンバラで開催されたモーターショーで、華々しくデビューをしたこのYSG101。
鉄道に掛けられた低い橋の下を背高のダブルデッカーが走行できない、という問題を解決するために、ダブルデッカーに替わるバスとして街中を走行するルート1に登場。
しかしながらLothian Busesの期待とは裏腹に、このバス、市民からは大不評…。座席数が33席と少ない、入り口が後ろにある、などの理由から人気は出ず、1968年にルート1からは引退させられてしまいます。
しかしその後、ドアをひとつに変更。また座席数を45席に増やし、飛行場を往き来するバスに生まれ変わりました。そしてその後、なんと33年間も使用されたということです。
展示されているバスは復刻版でしょうか。モーターショーで期待を一身に背負ったころの立派な姿に甦り、バスも嬉しそうに見えます。
さて、あまりの人の多さに子どもが悲鳴をあげ、帰宅することに…。もう少しじっくりと見たいところでした…。残念。
でも、帰りに街中を走るビンテージバスに遭遇したので、写真をパシャパシャパシャ。ああ、私も息子を連れて乗車すればよかった。
とまあ、思い残すことが盛りだくさんになってしまったオープンデー。来年は、もっと対策を練って行くぞ!
バス会社の比較がポイント!