インドで僕も考えてみた④ ジャイプール“ピンク・シティ”へ
さて、デリーからジャイプールまでは約260㎞、
バスで約8時間というロングドライブです。
ジャイプールは別名「ピンク・シティ」と呼ばれています。
そのわけは、約10㎞の赤い城壁に囲まれていることから。
ジャイは創設者ジャイ・シング2世(ラージプート族)から、
プルは城壁に囲まれた街を意味します。
ハイウェイルート(National Hightway8号線)を走るのですが、
日本の高速道路とはだいぶ様子が違います。
料金所では渋滞しますが、そこを過ぎれば市街地でのように詰まることはなく、スピードもそこそこあがります。
ただ路面が荒れていて、バスの固いサスペンションに、
床下から突き上げられるような感じです。
とは言えツアーの皆さんも暑い中での観光に疲れもあり、
ほとんどの方が眠ていらっしゃいました。
途中、ドライブインで休憩。
遠く地平線に沈む夕日が大陸を感じさせます。
さぁあと半分、もうひと眠りしながらジャイプールへ向かいましょう。
ジャイプールでラジャンスタンダンス
ジャイプールの市街に入り、町の灯りが目に眩しく感じます。
ジャイプールに到着し、そのままレストランへ。
今夜は民族舞踊であるラジャスタンダンスを鑑賞しながらのディナーです。
ラジャスタンというのは、インド北西部にある州で、
ジャイプールはその州都にあたります。
タール砂漠に覆われ、そのオアシスに住む多様な民族の暮らしの中で
生まれた楽器や踊りがラジャスタンダンスです。
ラジャスタンダンスは、足にグングル(鈴)を付けて踊ります。
頭に大きな壷を載せたり、高速で回転しながら踊ります。
衣装はベリーダンスの衣装のようですが、
どこかジプシーを想わせるエキゾチックなものです。
最初は小さな壷を頭に載せて踊りが始まります。
そして踊り子の上半身と同じぐらいの大きな壷を頭に載せ、
バランスを取りながら床に置いたカップに入れたお札を口でキャッチ。
大きな壷を頭に載せたまま床に置いたコップの上に立ちあがります。
ラジャスタンダンスの定番、グルグル高速で回転します。
遠心力で広がる衣装の裾がとてもきれいです。
ラジャスタンダンスのあと、あやつり人形劇が上演されました。
何か物語のようなのですが・・・ストーリーがわかりませんでした。
全ての演目が終わると、ダンサーは売り子に変身します。
さっき使っていたあやつり人形までお土産にと売りせまってきますが、
そこは丁寧にノーサンキューということで。
レストランを後にし、ホテルに着いたのは9時過ぎ。
ホテルはいたってシンプルなお部屋です。
お湯は普通に出ましたが、
インド名物の停電には何度か遭遇。
あって便利なものに「懐中電灯」とあったのも納得です。
インド観光1日目がようやく終わりました。
明日もまた230キロのマラソンバスツアーが待っているので
早々に眠りについたのでした。
世界遺産「風の宮殿(ハワーマハル」」へ
ジャイプールも快晴。
バスは8時にホテルに迎えに来て、
ジャイプール郊外にあるアンベール城に向かいます。
途中、「ピンクシティー」の中でもシンボル的な宮殿史跡ハワーマハル、
通称「風の宮殿」に立ち寄ります。
ジャイプル5代当主プラタプ・スィンが建てたもので
ジャイプールの中でもシンボル的な建物です。
ハワーは「風」のことで、
5階建ての建物の小窓を風が通り抜けることから
「風の宮殿」と名付けられたそうです。
青い空と赤い城壁のコントラストがとても素敵です。
面的には広く感じますが、実は奥行きがありません。
そのアンバランスな感覚もまた魅力のひとつなのかも。
建物にはたくさんの小窓があるのですが、
イスラムの影響を受け、
宮殿からの外出を許されない王女や女官たちが、
これらの小窓から町の様子を眺めて楽しんだそうです。
とても美しい風の宮殿。
カメラをその反対側に向けると、そこにはいつものインドがあります。
汚れたバスも、不思議とインドの風景になじみます。
商材を山のように積んだリヤカーを自転車で引く老人。
時刻は8時半ぐらい。バスは次にアンベール城へと向かいます。
その車中、車窓から屋台で花を売る女性の姿が。
明日11月13日は、
ヒンドゥー教の三大祭のひとつであるディーワーリーの祝日で、
町は活気に満ち溢れ、
あちこちに屋台が出て人々が買い物を楽しんでいました。
ジャイプール郊外の城塞都市にある「アンベール城」へ
もう一つの世界遺産であるアンベール城までは約30分。
バスはジャイプール郊外向け進みます。
アンベール城は岩山の上にある城塞で、
アンベール王国の砦が1592年にムガールのラジャ・マン・スィン王によって
増改築されたものです。
その後何度も増築され、1727年に今の形が完成しました。
宮殿の後ろにはジャイガル城砦があり、隠れた通路でつながっているそう。
バスはアンベール城まで乗り入れられないため、
ここで下りてジープに分散乗車します。
バスを降りると目の前にアンベール城、
そして湖面に映る逆さアンベール城が見られました。
が、とても寒く、半袖で来てしまったことを後悔しました。
しかし周囲を見渡せば、その雄大さを実感できます。
おお、これぞインド!!
へび使いがコブラを操ってました。
「レッドスネーク、カモ-―ン!」
でもじっと見ちゃうと「マネー」とくるのでほどほどに。
ジープは城に向かう細い道を登って行きます。
道路の真ん中をヒンズー教で崇められている牛さんが堂々と闊歩していました。
駐車場からは徒歩で城の入口「月の門」から城郭内へ入ります。
城郭内には広場があり、それを取り巻くように建造物が立ち並んでいます。
スポットを巡る前に概要を説明する様子です。
みんな真剣に聞いていました。
あ、後ろに象タクシーが。
ここアンベール城は象タクシーが有名なんです。
これに乗って移動すれば、まさにマハラジャ気分♪ですな。
アンベール城前方広場から見る太陽門。
アンベール城の入口になっているライオン門に向け階段を登ります。
ライオン門を抜けると、またそこに中庭があります。
「一般謁見の間」。
ここでマハラジャが公務を行ったらしいです。
柱構造で壁がなく、とても風通しの良い感じです。
軒下には赤砂岩でできた柱頭の装飾が施され、きれい。
お次はアンベール城で有名な「ガネーシャ門」です。
ガネーシャは象頭の神。
象の化身、ヒンズーの神様で、商業の神様・学問の神様だそうです。
壁一面に緻密なフレスコ画が描かれ、とても鮮やかな印象です。
ガネーシャのフレスコ画のアップ。
イスラム様式の影響を強く受けた
精緻な幾何学模様(ラジャスタン特有のスタイル)のモザイクが
わかりますでしょうか?
透かし彫りの窓から涼しい風が吹き抜けていきます。
ガネーシャ門を抜け、奥に進みます。
その奥には庭園「アラベスクの庭」があります。
白い幾何学模様と緑がとてもきれいです。
ガネーシャ門の上に出ると、
そこには「鏡の間(シーシュ・マハル)」と呼ばれる壁面に
小さな鏡を散りばめた幾何学模様で飾られた部屋があります。
マハラジャがお客様を迎え入れるときに使った「勝利の間」の奥にあります。
扉を閉じて外光を遮り、中でキャンドルを灯すと、
鏡にキャンドルの灯が写り込んで、
まるで星空のような幻想的な風景が見られるそうです。
いまのように電灯がない時代、
ろそくの灯りでもより明るく室内を照らすための工夫でしょうか。
アンベール城の各所にはこういった「透かし彫り」が見られます。
風通しをよくする、まさに天然のクーラーですね。
遠くに見える長城は、稜線に沿った要塞城壁で、
16~17世紀の建設と言われています。
これは中国の万里の長城を模して築造されたとのことです。
上から見た「象タクシープール」です。
アンベール城は岩山の上にあるので、
急な上り坂を歩かなくてはなりません。このため、象タクシーの登場!
1日に乗せられる回数が制限されているので、
午前中が狙い目だそうです。
城壁から城外にある「水上庭園」が見降ろせます。
アラベスクの庭と同様に幾何学模様が美しいデザインです。
上から望む村落。山の稜線には長城が見えています。
大きな釜が2つ。
これは宮殿内で食事を作っていた釜だそうです。
アラベスクの庭に面してある「スーク・マンデール」の壁には
花瓶の模様で飾られています。
「スーク・マンデール」はマハラジャが食事をしたり、
くつろいだりしたところだそう。
この花瓶はラピスラズリ、黄色サファイヤ、
トルコ石などを使って着色されているそうです。
スーク・マンデールの回廊の天井の装飾。
そして振り返るとアラベスクの庭が広がります。
ゼナーナ(ハーレム)の中庭です。
ゼナーナはアンベール城の一番奥にあり、
高い塀に囲まれています。
マン・シン1世には12人の妃と妾がいたそうです。
中庭の周りにある建物は、それらの女性たちの部屋があった建物。
日本でいえば大奥?
マハラジャ以外の男性に姿を見せてはいけないそうです。
建物の所々には壁画が描かれています。
中にはとてもお見せできない18禁の絵も・・・。
ゼナーナの中庭の中央にあるバラダリ(妃達との挨拶の間)があります。
西側の通路を通って北西の門まで戻ります。
途中の土産物店にかわいいサインが。
先ほど上からみた釜。近付いてみると以外と大きいのに驚きです。
最初に入った広場に戻ってきました。
再び月の門を抜けてジープの乗り場に戻ります。
帰りは助手席。なかなかスリル満点のドライブです。
写真向かって左手に「タタ・モーターズ」のバスが・・・。
景色も相まって窓から入る風がとても気持ちいいです。
麓のジープの出発場所に戻ってきました。
さぁ再びバスに乗ってシティパレスに向かいます。
(--続く--)
[Text&Photo by Kota]
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