日野自動車のいままでとこれから、日野自動車の観光バス「セレガ」の始まりは?
セレガ(S’ELEGA)はセクシーとエレガントの造語。ブルーリボンRUを観光バスとしてフルモデルチェンジして1990年に発売、2000年には改良版の「セレガR」が発売されました。
その後、2005年からはいすゞ自動車との統合モデルとして、平成17年(新長期)排出ガス規制適合に合わせたフルモデルチェンジを実施。改良に改良を重ね、2010年には平成21年度(ポスト新長期)排出ガス規制に適合、平成27年重量車燃費基準もクリアしています。
そして2014年のマイナーチェンジで、平成27年度燃費基準値+10%達成車になり、衝突被害軽減ブレーキの新基準適合の他、「車線逸脱警報装置の新基準」に伴う車線逸脱警報装置、ドライバーモニター〈閉眼や顔の向きを検知して警報〉の標準装備化を行っています。
日野自動車の歴史を学ぶなら「日野オートプラザ」へ!
以前、八王子みなみ野にある日野自動車の博物館「日野オートプラザ」を取材したことがあります。
こちらの1階メイン展示フロアでは、高度成長時代(1950年代に登場)に活躍していた日野ボンネットバスの最終生産車「BH15(1966年式)」の実物を展示。こちらのバスは路線バスとしてだけではなく、観光バスとしても活躍しました。
展示されているバスの大きさは全長9,950㎜、全幅2,460㎜、全高3,030㎜(現在のセレガは、全長11,990㎜、全幅は同じ、全高は3,500㎜・ハイデッカータイプ)です。
乗車定員数は55名。実際にバスに乗車することができるので、当時の車内の様子が実体験できますよ!
スロープギャラリーでは、1900年からの日本の出来事とその時代に活躍したトラック、バスの歴史などを貴重な写真とともに紹介。
1938年、日野自動車の全身である東京瓦斯電気工業(とうきょうがすでんきこうぎょう)が製造した航研機(1/5模型)も展示されています。
屋外には1991年、世界初のハイブリッドエンジンを搭載したバス「HIMR(Hybrid Inverter controlled Motor & Retarder system)」を展示。
1970年代に排出ガス低減が求められる中、日野自動車では1981年からハイブリッドシステム研究をスタート。展示車両は環境保護を重視する日光で「わたすげ号」の名前で運行していたものになります。
この当時のハイブリッドバスは、重いバッテリーをたくさん積んでいました。その重量なんと650kg!!
現在は、その1/4程度の重さで約160kgまでコンパクトになり、屋根の上に載せられています。
このことで、バスの床を下げることができ、ノンステップバスとして活躍できるようになったのですね。当時は、エンジンもモーターも同時に回ってしまいましたが、最新のタイプはモーターだけでも走れるようになったため、とても静かです。
日野自動車が描く未来のバスの姿は?
つい先日、都営バスにトヨタ新型水素燃料電池バスが導入されました。
このFCバスは日野自動車とトヨタ自動車が共同で開発を続けてきたもので、東京モーターショーの日野自動車のブースで参考出品されていました。
バス車体の上に搭載された燃料電池2基と水素タンク10本で約200mの走行が可能だといいます。バスのサイズは全長10,525mm、全幅2,490㎜、全高3,340㎜と、観光バスよりも車体が短め。乗車定員は77人です。
水素燃料電池バスの最大のメリットは、排気ガスがなく、水だけを排出するのが特徴。二酸化炭素排出量を抑え、騒音も低減できます。
東京都ではオリンピック・パラリンピック開催の2020年までに100台以上までこのバスを増やす予定。都内に水素を供給するステーションも35か所までつくると発表しています。
このバスは災害時にも電力供給減としても活躍可能!(最大で7.2kWの電力を供給、一般家庭の使用量である1日あたり平均10kWhに換算して約24世帯分に相当するそうです)万が一の場合は移動電源車として機動力を発揮します。
環境にやさしいだけではなく、社会貢献にも寄与する新しい乗り物になりますね!
また2017年2月には、日野自動車といすゞ自動車では、国産では初めてとなるハイブリッド連節バスを共同開発すると発表しました。2019年の市場投入を目指しているそう。
連節バスといえば、大勢の人数を一度に運べる超大型バス!神奈川中央交通や京成バスなど、超過密バスダイヤエリアで導入され、混雑緩和に一役買っています。
現在国内で運行されている連節バスは、ボルボやメルセデス・ベンツなど海外メーカーのもの。今回、共同で開発されるのは、環境負荷にも配慮したハイブリッドシステムを採用するということ。どんなバスになるのか、楽しみですね!
連節バスを所有し、運行する難しさはその車体の長さにあります。通常の路線バスは平均10.5m、大型観光バスで11~12m、そして、連節バスはなんと18m!
バスを整備するためには、車体を持ち上げる(もしくは、地下に潜るスペースを設ける)ことが必要です。
写真はいずれも都営バス・品川営業所港南支所のもの(当日の様子は「テロに備えよ!平成28年度都営バス情報伝達訓練」を参照してください)です。見てお分かりの通り、18mもある連節バスを持ち上げるのも大変ですし、地下に潜るスペースをつくるのも簡単なことではありません。
以前、連節バスを所有する京成バスさんにお話しをうかがった際に、どうやって洗車しているかを聞いたところ、洗車機を移動させる18mのレールを特別に付けたとおっしゃっていました。
[参考記事:洗車機のないバス会社さんは、どうやってバスを洗うの?]
もちろん車庫だって専用の長さのものがなければ駐車できません。
ひとことで連節バスをつくる!といっても、大変なご苦労があるのではないでしょうか。
日本の路線バスで、バリアフリー化がなかなか進まない理由
「バス観光マガジン」でベビーカー事情をいろいろリサーチしたところ、日本ではやっとたたまずに乗れるようになった一方で、海外では、車いすスペースはもちろん、ベビーカースペースまで設けられているという話題をご紹介しました。
[参考記事:海外は寛容?ベビーカーでバスに乗るときのルール]
海外は公共の交通機関で、赤ちゃん連れのお出かけがスムーズだなと思いましたが、なぜ、日本では進まないのでしょうか?製品開発部の山口さんにうかがったところ
「ひとつは路線バスの長さ。日本の場合は10.5m(地方で11mのものを導入してるケースもあり)ですが、海外では12~13mあります。この1.5~2.5mの差が、導入できない最大の理由になっているのではないでしょうか」とのこと。
朝夕のラッシュ時には、大勢の乗客で混雑する日本の路線バス事情。車いすスペースも常時確保しているわけではなく、座席をたたむことで確保しています。
単純にバスの長さを欧米並みに長くすればいいのでは?と思いがちですが、都心部のバス停を思い出してください。
狭い住宅地を抜ける路線などでは、バス停と建物の隙間がギリギリだったりと、十分なスペースを確保できないところがたくさんあります。また、道路と歩道の間に縁石があり、車いす用のスロープ板をうまく出せない場所も・・・。
東京都ではリフト付き観光バスの導入を進めるため、車両導入にかかる経費の助成を行っています。この制度を利用して、リフト付きバスを導入するバス会社も少しずつですが増えてきています。
しかしながら、バスの昇降には時間がかかる(格納している電動リフトを出し、車いすを乗せて載せるまでの所要時間)ため、どこでも自由に乗り降りできるわけではありません。
日本のバリアフリー化への道のり、どうやら簡単なことではないようです・・・。
「貸切バスの達人」にも、電動リフト付きバス(福祉バス)を希望する問合せをたくさん頂戴していますが、なかなか手配が難しい状況。
バス購入費用が大変高額なこと、そして、乗り降りする場所を選ぶという2つの障害が、普及を妨げているということをご理解願えればと思います。
3回に渡り、日野自動車のバスの魅力をレポート。普段は何気なく利用しているバスですが、その歴史や開発へのチャレンジなどを伺い、あらたな魅力を発見することができました。
皆さんも、バスツアーや貸切バスを借りたとき「このバス、どこのメーカーかな?」ということにも注目してみてはいかがでしょうか?
≫新型コロナウイルス感染症対策「リエッセⅡ」「日野セレガR」の換気性能について
≫新型コロナウイルス感染症対策「日野セレガ」の換気性能について
■取材協力・画像提供
日野自動車株式会社
http://www.hino.co.jp/
■日野オートプラザ
http://www.hino.co.jp/autoplaza/
東京都八王子市みなみ野5丁目28番5号
日野自動車21世紀センター内
<開館時間>
入館無料
10時~16時(入館は15時まで)
毎週日曜、第1・第3・第5土曜日、GW、お盆期間、年末年始は休館
※詳しくは日野オートプラザWebサイトで確認のこと
<問合せ先>
Tel:042-637-6600(平日9時~17時受付)
▼日野自動車関連記事
・穴場のお出かけスポット、日野で発見!「日野オートプラザ」
・日野自動車の歴史でたどる、日本のバスの進化!
・日野自動車の観光バス「セレガ」の魅力について
・安全性能・環境性能について
・日野自動車のいままでとこれから
バス会社の比較がポイント!