三菱ふそうトラック・バスの小型マイクロバス「ローザ」新型モデルは新機能満載!
2021年8月31日(火)に三菱ふそうトラック・バスの小型マイクロバス「ローザ」新モデルが発売されました。今回の新型モデルで一番のポイントはリアルタイムでバスの安全・経済的な運行管理が可能な「バスコネクト®(BusConnect®)」機能の搭載。
そして、2019年に改正、2020年4月1日から施行された「道路運送車両法」「道路交通法の自動運転」に適合したさまざまな改良を盛り込んでいることがポイントになっています。
今回は、 「道路運送車両法」 改正のポイントとローザの新機能についてご紹介していきましょう!
自動運転を実現するために改正された法律、何が変わった?
連日TVのCMなどでも目にすることが多くなった車の自動運転。カメラやセンサー、人工衛星の位置情報システムなどさまざまなものを使って、人工知能が制御しつつ自動運転を行う実証実験が重ねられています。
運転の自動化はレベル0~5までの6段階に分けられていて、段階を経ながら公道を走行できるレベルを規定。現在はレベル3まで進んでいます。国土交通省でまとめた各レベルの定義は以下の通りです。
- レベル0:運転手がすべての運転を行う
- レベル1:運転支援(自動ブレーキ、前の車に付いて走る、車線からはみ出さないなど)
- レベル2:特定条件下で自動運転機能(レベル1の組み合わせ~高速道路での自動運転モードなどの高機能化)
- レベル3:条件付き自動運転(高速道路等一定の条件下で自動運転可能、システムによる運転に対し、ドライバーが適切に対応することが必要)
- レベル4:特定条件下で完全自動運転(限定地域で無人自動運転移動可能)
- レベル5:完全自動運転(2025年目標で高速道路での完全自動運転)
今回の法律改正で問題になるのが、自動運転装置下での走行中、誰に責任があるのかというところ。その問題をクリアするための改正ということになります。以下、自動運転に関する法規制・改正ポイントをまとめました。
自動運転装置による走行を「運転」と定め、公道を走ることが可能に!
これまで運転手自身が安全に対する認知や予測、判断、操作などの運転行為をすべて担うとされてきたものが、システムに代替させた状態で公道を走行できるようになりました。
自動運転装置による運転中でも、ドライバーに責任が問われることも
自動運転装置を使用下ならドライバーは何もしなくてもいいわけではありません!システムから警報が鳴るなどした場合、すぐにドライバーが通常の運転に戻らなければならないとされています。
バスの走行中に居眠りや飲酒などはもちろんNG!自動運転中に事故や違反が起こった場合にドライバーの責任が問われることもあるのでご注意を。
自動運転システムの作動状況を記録することが義務付けられています
バス会社に対し、自動運行装置(=自動運転システム)の作動状態を記録し、保存することが義務付けられました。万が一、事故や交通違反が発生した場合、システム・ドライバーの運転操作状況を確認できるよう、証拠を残すためのものです。
警察官から記録の提示を求められた場合には、この記録を提示することとされています。
今回、三菱ふそう・ローザ新型モデルでは、「バスコネクト®(BusConnect®)」機能を搭載。運行中のバス情報をインターネット経由でリアルタイムにチェックできるテレマティクス機能です。
バスからモバイル回線を経由してクラウド上の FUSO データベースに蓄積。バスの運行管理者等が PC やスマートフォンで専用ページにアクセスすることで、バスの現在地や運行状況を把握できるというもの。
万が一バス運行時にトラブルが発生した際にスピード対応が可能であることに加え、エコドライブ他業務効率の改善、危険運転の予防などをサポートしてくれるサービスです。
「道路運送車両法」の改正ポイントも、自動運転に関わること
道路運送車両法とは、自動車(原付や自転車なども含む)について、所有権の公証制度、安全性を確保するための保安基準、車検などについて定めた法律です。
今回の道路運送車両法の改正については、自動運転レベル3に合わせて、自動運行装置を保安基準(自動車の構造・装置についての安全確保及び環境保全上の技術基準が定められている法律)の対象にしたことが大きなポイントとなっています。
また、自動運行装置を使用される条件(走行環境条件)については、装置ごとに国土交通大臣が決められるということが盛り込まれました。
バスの車検に“電子検査”を導入、車載式故障診断装置(OBD)により技術情報を提供
衝突被害軽減ブレーキやアンチロックブレーキステム(ABS)などの自動運転技術は万全ではありません。故障したり、誤作動を引き起こす可能性もあります。
このため、車検に電子的検査(自動車に搭載されたコンピュータの点検)導入が盛り込まれました。車載式故障診断装置(OBD)は、エンジンやトランスミッションなどの電子制御装置(ECU)内部に搭載された故障診断機能のこと。
ECUは自動車の安全・環境性能を最適に保つための制御を行っていますが、断線や各センサからの異常などを察知すると、自動で記録されるようになっています。具体的には、ABSやESC(横滑り防止装置)、衝突被害軽減ブレーキ、エアバッグなどが監視対象に。
この車載式故障診断装置は、各バスメーカーでシステムに応じて設計・搭載しています。今回の新型モデル・ローザにもこの、車載式故障診断装置システム(J-OBD II)を搭載。
2021年10月から導入される自動車のOBD点検(車載式故障診断装置の診断結果)に対応しています。ちなみにOBD点検の対象になるのは、今後発売される新型車。国産車では2024年10月から検査開始が予定されています。
バスの整備を行う会社に技術的な情報提供を行うこと
いままでの法律では自動車の分解整備(安全性に大きな影響を及ぼす整備などを含む)に対して、先進技術に関する整備・改造が含まれていませんでした。
そこで今回の改正により、自動運行装置の整備等を含めて「特定整備」という名称に変更。整備事業者が「特定整備」を行うためには認証が必要になりました。
さらにこの改正により、メーカー側が整備事業者に技術情報を提供することも義務付けられています。
自動運行装置等のプログラム改変・改造は許可制に
技術は日々進歩していきます。そのため、システムのアップデートは必須。自動運行装置等のプログラム等の改変・改造は許可が必要になりました。
特にインターネット等電気通信回路を使用し、自動車が安全基準に適合しなくなるような改造を行わないようチェックすることを想定。
また、ソフトウェアのアップデートに対し、不正アクセス防止等サイバーセキュリティ確保をしっかり行うよう定められています。
小型マイクロバス・ローザに新規搭載したバスコネクト®(BusConnect®)をもっと詳しく
バスコネクト®(BusConnect®)は、2019年2月に発売された大型観光バス「エアロクィーン」「エアロエース」に標準装備されたシステム。トラックコネクト®に装備されていたものに“緊急連絡(EDSS作動時、ABA4・2次制動作動時)”を加え、デジタコとの連動も可能になっています。
運行中のバスのリアルタイムな情報(車両位置・軌跡、安全運転、燃費等)を運行管理者に提供。車線逸脱警報装置などの作動情報履歴なども記録してくれるので、危険運転予防などもしっかりサポートしてくれます(別途サービスへの加入が必要です)。
三菱ふそう・ローザに備わっているアクティブセーフティ機能
三菱ふそうの小型マイクロバス「ローザ」は2019年モデルより、平成28年度排出ガス規制に適合。平成27年度重量車燃費基準に対しても+10%を達成しています。
また、各種先進安全装置を搭載してマイクロバスの安全運転サポート機能を大幅に子強化。その5つのセーフティ機能をダイジェストにご紹介していきましょう。
衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)
フロントバンパーに搭載した高精度ミリ派データで前方を走行・停車する車、歩いている人を検知。衝突の可能性を察知するとドライバーに警報で知らせます。それでもドライバーが危険回避行動をとらなかった場合、ブレーキを自動で作動し、衝突被害を軽減する仕組みです。
車線逸脱警報装置(LDWS)
バスに搭載されている白線認識(黄色線も)カメラで車線を逸脱していないかモニター。高速道路などで(車速60㎞/h以上で作動)ウインカー操作を行わずに車線を逸脱すると警報がなる仕組みです。
車両安定性制御装置(ESP®)
車両姿勢をセンサーで感知するシステム。カーブを曲がり切れずに横滑りしたり、横転したりしないよう、エンジン駆動力や4輪のブレーキ力を制御。安定して走行できるようアシストする機能です。
SRSエアバッグシステム&坂道発進も安心なEZGO(イージーゴー)
万が一の事故等で、ドライバーを保護するSRSエアバッグシステムを標準装備。
また、上り坂でバスが停止した際、ブレーキペダルから足を離しアクセルペダルを踏むまでの間、一時的なブレーキ力を保持するヒルスタートアシスト機能をAMT車に設定しています(M/T車にはEZGOを設定)。
2021年新型モデル・ローザのラインナップ
三菱ふそうのローザ、ラインナップをご紹介します。ローザは車両の長さが3タイプ(6,240㎜のショート・6,990㎜のロング・7,730㎜のスーパーロングボディ)があります。
さらに、グレードバリエーションはエコ・ライン、プロ・ラインの2タイプ。パッケージオプションとして贅を尽くしたプレミアムタイプも登場。観光バスとしてゆったりと移動や旅行を楽しめる特別仕様にすることも可能です。
ボディカラーは7色バリエーションあり(有料)。ボディバリエーションは通常の2輪駆動の他、4WD、幼児車、特装車(路線バスタイプ)となっています。
三菱ふそう ローザ エコ・ライン
送迎バスやコミュニティバスなどにおすすめのエコ・ライン。先進安全装置を備えつつ、経済性やリーズナブルな価格を実現したモデルです。
Bluetooth®対応のAM/FMラジオでスマフォと連携。好みのプレイリストで音楽を流したり、ハンズフリー電話にも対応してくれます。客席のシートはハイバック(ビニールレザー)、自動扉は折れ戸タイプ。
座席幅は900㎜(1席分は465㎜)と大人の男性でも余裕があります。
三菱ふそう・ローザ プロ・ライン
観光旅行やゴルフ送迎など、ゆったりとした移動を楽しみたい場合におすすめのタイプ。フルオートエアコンやLEDヘッドライト、リアウインドウワイパー&ウォッシャー、リアウインドウデフォッガなどを追加装備。
座席はハイバックシートで素材がニットになっており、高級感があります。オプションでリクライニングシートに変更可能。
三菱ふそう・ローザ パッケージオプション“プレミアム”
かつて製造されていた小型観光バス。中でも三菱ふそうのエアロミディMJはいまだに人気が根強く、2007年に製造終了となっていますが、大切に乗り継いでいるバス事業者も多いモデルです。
しかし、どのバスメーカーも同じ時期に製造終了。今後は小型バスはマイクロバスに集約されていくことになります。そこで、小型の観光バスタイプのような乗り心地のよいプレミアム仕様のマイクロバスを導入するバス会社が増加。
今回のローザでもそういったプレミアム仕様のマイクロバスを導入したい事業者のニーズに応えるべくなんとパッケージオプションとしてラインナップされています。
客席シートはハイバックリクライニングシート、客席後面にはカップホルダー&シートポケットも!バスの内装や外装もグレードアップしたデザインで高級感を演出できます。
もちろん、スイングドアや電動補助ステップ、天井換気扇などさまざまなオプションが用意されているので、好みに応じたカスタマイズも自由自在。後部にトランクスペースを確保し、観音扉仕様も選択できます。
幼児車・路線バスタイプなど、車両により仕様が異なりますので、詳しくは公式ホームページをチェックしてくださいね。
安心・安全な貸切バスの移動のために
新型コロナウイルス感染症はまだまだ気が抜けません。2020年のバスイベント「バステクin首都圏」でも、数多くのメーカーや事業者が感染症対策関連の装備を紹介していました。
マイクロバスは個人旅行や企業の視察、合宿送迎などで大変人気の車種。大型バスとともに貸切バスで借りたい車種です。
今回のローザ改良により、安全性能がグレードアップ。今後は安全性能が標準装備されたマイクロバスに置き換わっていくことでしょう。
貸切バスはコロナ禍でも安心して利用できる移動手段。各バス会社とも一生懸命取り組んでいますので、ぜひ積極的にご利用ください。
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三菱ふそうトラック・バス株式会社
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