過去最大級の規模で開催!バスの今がわかる「2017バステクフォーラム」
バス技術の素晴らしさを体感できるイベント「2017バステクフォーラム」が、2017年5月26日に大阪で開かれました。
バステクフォーラムは、バス情報誌「バスラマ」を発行するぽると出版が主催しているイベントです。会場は大阪湾に浮かぶ人工島・舞洲スポーツアイランドにある「空の広場」。
広大な敷地が広がり、参加者体験型の試乗イベントが安全に行える理想的な会場だと感心します。今年で第8回目を迎え、試乗イベントのみならず、展示もさらに充実。総勢21台のバスが集結し、また、出展企業数も30社に迫る規模となり、バス関連の製品や用品、サービスに関する様々な分野のデモンストレーションが展開されました。
1. 新型エアロクィーンの衝突被害軽減ブレーキを実演
2. 後付け式の衝突防止補助システム「モービルアイ」の実演
3. バスのプロドライバー向け運転体験イベントも大人気
4.注目の新型バスやユニークなバス、充実の展示車両大集結
5. バス関連企業各ブースも多彩な顔触れ
新型エアロクィーンの衝突被害軽減ブレーキを実演
バステクフォーラムで目玉イベントのひとつとなっているのが、衝突被害軽減ブレーキの作動実演です。
今回の実演では、三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)が5月15日にフルモデルチェンジしたばかりの新型エアロクィーンを投入しました(詳細は後述します)。
特に、衝突被害軽減ブレーキには、従来バージョンの「AMB2.0」を性能を向上させた「ABA3」を搭載。
ABA3は2019年11月から装着が義務化されるAEBSフェーズ2(衝突被害軽減ブレーキ第2段階規制)に適合しています。
ブレーキ作動実演イベントでは、体験希望者約40名を乗せた新型エアロクィーンが、停車車両に見立てたバルーンに向かって時速40kmでグングン進んでいきます。
ミリ波レーダーを使って前方の障害を感知し、衝突の可能性があると判断した時点で運転席から警報音が鳴ります。
そしてさらに衝突の危険性が迫ると、じわっとした効きのブレーキの後に、前方につんのめるほどの強烈なフルブレーキが作動。バルーンと衝突することなく、緊急制動は見事に成功。
車内からは「うおぉ!」「すごい!」というどよめきが上がりました。
後付け式の衝突防止補助システム「モービルアイ」の実演
MFTBCによる衝突被害軽減ブレーキの作動実演に続いて、後付け設置が可能な衝突防止補助システム「モービルアイ」の日本総代理店J21(ジャパン・トゥエンティワン)社による実演も行われました。
実演では、モービルアイを装着した卑弥呼観光(福岡県)所有のヒュンダイ・ユニバースを投入。
時速60kmで前方のバルーンに向かって走行し、前方の障害物を検知して警報装置が適切に作動。
警報音を聞いたドライバーが直ちにブレーキ操作を行い、安全に停止する様子を体感することができました。
バスのプロドライバー向け運転体験イベントも大人気
バステクフォーラムでは、衝突被害軽減ブレーキや衝突防止補助システムの実演と並ぶ目玉イベントとして、バスの運転体験が可能となっています。
会場内の特設コースを実際に運転できるとあって、事前申し込みが殺到する人気イベントです。
この日も、抽選で選ばれた幸運な、プロバスドライバーを中心とする参加者が体験。一般の参加者は、そのバスに乗車し、乗り心地などを確認できました。
運転体験中のバスへの同乗は事前申し込み不要となっているため、複数のバスの乗り比べも可能です。
運転体験イベントに投入された車両は、前述した新型エアロクィーンのほか、ブルーリボンハイブリッドおよびリエッセII(日野自動車)、エルガミオ(いすゞ自動車)、コースター(トヨタ自動車)、そして、アリソンジャパン製のATシステムを搭載するブルーリボン(日野自動車・近鉄バス所有)およびエアロスター(MFTBC)が用意されました。
注目の新型バスやユニークなバス、充実の展示車両大集結
走行展示車両や定置型の展示車両が21台も集結した今回のバステクフォーラム。いくつかの展示車両について、その特徴をかいつまんでご紹介します。
☆エアロクィーン(出展:三菱ふそうトラック・バス)
5月15日にフルモデルチェンジしたばかりの最新モデルを投入。
従来モデルの12.8Lから約4割ものダウンサイジングを図った7.7Lの直列6気筒2ステージターボエンジンを搭載しており、最高出力280kW(381PS)/2200rpmおよび最大トルク1400Nm(142kgf・m)を発揮。トランスミッションには、8速AMT「ShiftPilot」を搭載しています。
このトランスミッションは2ペダル操作と、ステアリングハンドルそばのマルチファンクションレバーによって、イージードライブが可能となっています。
運転中の注意力低下をアラートする「アクティブ・アテンション・アシスト」、自動停止&発進機能や車間距離保持機能を盛り込んだ「プロキシミティー・コントロール・アシスト」を搭載。
先進装備の数々によって、バス運転士の疲労軽減に貢献する意欲作となっています。
今回投入した展示車両では、背面にイエローを配したカジュアルな内装の採用や、ゆとりのある座席空間を確保することによって、乗客の快適性を高めています。
【関連記事:プロドライバー納得の仕上がり!大型観光バスで初めての8速AMT採用】
☆エアロエース(出展:三菱ふそうトラック・バス)
エアロクィーンとともに、5月15日にフルモデルチェンジしたばかりの最新モデルを展示。
エアロクィーンと同様に7.7Lの2ステージターボエンジンを搭載したのをはじめ、イージードライブが可能な8速AMT「ShiftPilot」や車線逸脱防止装置などの最新技術を存分に投入。先進装備の数々によって運転士の疲労を軽減し安全運転をもたらすことが期待できます。
☆コースター(出展:トヨタ自動車)
バステクフォーラム初出展となるトヨタ自動車は、コースターを出品。
1969年に登場したコースターは世界110以上の国や地域で愛用されるベストセラー車です。
2017年に24年ぶりのフルモデルチェンジを実施。環状骨格ボディの採用による高剛性化や、クラス初となるVSC(車両安定制御装置)の標準装備など、商品力の強化を図っています。
【関連記事:マイクロバスってどんなバス?「トヨタ自動車・コースター」編】
☆リエッセII (出展:日野自動車)
2017年にフルモデルチェンジしたばかりの新型リエッセII。トヨタコースターのOEM供給車になります。双子の兄弟というところでしょうか。
【関連記事:マイクロバスってどんなバス?「日野自動車・リエッセⅡ」編】
☆エルガミオ(出展:いすゞ自動車)
いすゞ自動車は路線バスの定番車種・エルガミオのノンステップバスを出展しました。手動シフト操作も可能な6速AMTを搭載しており、参加者が試乗運転を堪能していました。
☆オノエンスター(出展:オノエンジニアリング)
中国のバスメーカー・ヤーシンの中型バスをベースに、自社のネーミングを冠したのがオノエンスター。車高調整付の四輪エアサス、乗降扉やトランクの開閉が可能なワイヤレスリモコンなどユニークな装備が特徴です。
【関連記事:豪華仕様の貸切バスでVIPなバス旅行を楽しんでみよう!】
☆開閉式オープントップ付き2階建てバス(出展:エムビーエムサービス)
エアロキングベースのオープントップバスです。大開口面積のオープントップゆえに、雨漏りを防ぐ独自のノウハウを盛り込んでいるとのことです。
☆高速夜行バス・ドリームルリエ号(出展:西日本JRバス)
☆高速夜行バス・ReBorn(出展:ウィラーエクスプレス)
ウィラーエクスプレスが満を持して投入した快眠仕様のバス、それがReBorn(リボーン)です。ウィラーのバスはピンクがトレードマークですが、リボーンはグレーメタリックのシックなボディカラーを採用しています。
【関連記事】
・座った瞬間にリラックス!ウィラーエクスプレス新シート「ReBorn」がスゴイ
・こだわり抜いたウィラーエクスプレスの新シート&斬新ラッピング!
☆スカニア&バンホール2階建てバス(出展:スカニアジャパン・東京ヤサカ観光)
スカニア社エンジンとシャーシ、バンホール社のボディを組み合わせた2階建てバスです。
【関連記事:東京ヤサカ観光バスのアストロメガ貸切りバスツアーレポートはこちら】
☆リエッセII リフトバス仕様(出展:中京車体工業)
中京車体工業は、リエッセIIベースのリフトバス仕様車を展示。後部に設置したリフトにより、車いすのまま安心して乗り降りが可能です。リフト付きバスの普及は、まだまだこれからというところ。購入するバス事業者さんが少しずつでも増えていくことを期待しています。
☆ブルーリボン(出展:アリソンジャパン)
アリソンATを搭載した近鉄バス車両を展示。現役路線バス車両の体験運転ができるとあって、バスファンの人気を集めていました。
バス関連企業各ブースも多彩な顔触れ
バスに関連する様々なジャンルのブースが多数出展していました。そのいくつかをご紹介します。
☆アリソンジャパン
アリソンジャパンは商用ATの世界最大手です。
今回のバステクでは、アリソンAT搭載のバスを2台投入したほか、ブースではATの構造が分かる分解・組み立て実演も行いました。
☆ジャパン・トゥエンティワン(J21)
J21は、モービルアイ搭載のヒュンダイ・ユニバースによる実演のほか、ブースでもモービルアイを来場者に訴求しました。
【関連記事】
・貸切バスのヒヤリハット事故を防げ!後付け衝突防止補助装置「モービルアイ」の実力
・セーフティバスだけじゃない!安全なバス会社を見分ける方法
☆ブリヂストン
ブリヂストンは、偏摩耗しにくい最新鋭のタイヤを展示し、省メンテナンス性能をアピールしました。
☆オージ
オージは、路線バスでおなじみのLED行き先表示器をメイン展示。バスイベントで大人気の降車合図装置(降車ボタン)なども合わせて展示されていました。
☆天龍工業
天龍工業は、快適性を高める高級シートを展示しました。
☆ジェイアール東日本コンサルタンツ
ジェイアール東日本コンサルタンツは、関西空港の連接バス(全長18.12m)用途等で導入実績のある自動洗車システムをパネル展示しました。通常の大型バスに用いられる一般的な洗車機のレール長は18mなのに対し、この洗車機の設置に必要なレール長は22mとおっしゃっていました。
【関連記事:洗車機のないバス会社さんは、どうやってバスを洗うの?】
☆マジカル・テクニカ
バス用の座席を複数展示。中でも、リクライニング角度によって後席が狭くならないように配慮された構造の電動シートがユニークだと感じました。しかも、シートベルト着用確認ランプが全席に搭載されているため、装着確認がとてもはかどります。
☆フュートレック
フュートレックは多言語ガイドシステムを出展。15か国語に対応するガイドユニットにより、訪日観光客のサポートに役立ちます。
次回のバステクにも期待大!
ここまで駆け足で2017バステクフォーラムの模様をご紹介しました。
ご紹介した展示内容以外にも多数の出展がなされていたのですが、バラエティに富んだ展示ゆえに回り切れず、悔しい思いをしています。
次回のバステクに早くも期待してしまいます。今回のイベント取材を通じ、安全かつスムーズなバス運行を多くの事業者や人々が支えていることを実感しました。素晴らしいイベントを主催されたぽると出版をはじめ、関係者の皆様に感謝申し上げます。
■取材・撮影協力
株式会社ぽると出版「バスラマインターナショナル」
「2017バステクフォーラム」
<開催日時>2016年5月26日(金)10時~16時30分
<開催場所>大阪市 舞洲スポーツアイランド「空の広場」
主催:株式会社ぽると出版 バステク事務局
協賛:公益社団法人日本バス協会、近畿バス団体協議会
後援:国土交通省近畿運輸局
▼関連記事
■大阪開催のバスイベント
「2016バステクフォーラム」>>
「2017バステクフォーラム」>>
「2018バステクフォーラム」>>
「2019バステクフォーラム」>>
■首都圏開催のバスイベント
・「第2回バステクin首都圏」
・「第3回バステクin首都圏」
・「第4回バステクin首都圏」
・「第5回バステクin首都圏」
・「第6回バステクin首都圏」
・「第7回バステクin首都圏」
・「第8回バステクin首都圏」
・2022年「第8回バステクin首都圏」の取材レポート<番外編>
・「第9回バステクin首都圏」
・「第10回バステクin首都圏」
バス会社の比較がポイント!