幹事さんが知っておくべき貸切バス利用の注意点！見積りを断られる＆料金が高くなるケース
2024年4月から施行された「バス運転者の改善基準告示」をご存じでしょうか？
路線バスや高速バスでも運転手不足に加えて、労働時間が短くなることで各バス会社で減便や路線廃止を実施。その影響をヒシヒシと感じている方は意外にいらっしゃるのではないでしょうか。
貸切バスの見積りをお願いしたのにバス会社から断られた、という問合せがここ最近増えています。「バスの空きがあるのになぜ断られたのかわからない！」と思いますよね。
その理由を簡単に説明すると、今までOKだったバスツアー（スケジュール）の内容が、4月からはNGになるケースが続出しているということ。「去年はこのスケジュールで問題なかったのに」と思われるかもしれませんが、「バス運転者の改善基準告示」により、影響を受けている可能性があります。
1人の運転手が貸切バスを運転する場合、どんなスケジュールだとNGになるのかについて詳しく解説していきましょう。
バスの運転手はバスを運転していない時間も働いている
皆さんが普段、お仕事をされている場合、始業時間と終業時間が決まっています。例えば9時始業としたら、お昼休憩を挟んで終わりは18時まで。
1日最低でも9時間拘束で、それを越えて仕事をする場合は「残業」となります。
オフィス勤めと違ってバスの運転は道路事情や天候の急激な変化により、予定通りにはなかなか終われません。通常よりも時間がかかることもしばしば。
しかも、バス運転手の勤務時間は皆さんを乗せてバスを走らせるだけでは終わりません。運行前・後に安全対策のための整備や点呼、掃除など2時間、バスの乗降場所までの回送と、最低でもプラス3時間は働いています。
法律では1人の運転手が運転しても良い時間は「9時間まで」と定めていますが、バスの運転が9時間だった場合は、合計で12時間は働いている（拘束されている）ことになります。
渋滞などで道路が混雑するなど、予定よりも長く運転する場合もあるため、1日の拘束時間は最大で13時間まで。2024年4月からはやむを得ない事情があった場合でも15時間（改正前は16時間）を越えないこと、と変更されました。
「1時間ぐらい延長してもいいのではないか」と思いがちですが、ご自身が急に1時間残業を言い渡されたとしたら「ちょっとしんどいな」と思われることもあるのではないでしょうか。
これまで恒常的に勤務（拘束）時間が他の業種に比べて長いといわれてきたトラック・バス運転手の健康起因による事故を防ぎ、労働環境を改善するためにとられた措置です。
どうかご理解いただければと思います。
日帰り貸切バスツアーで見積り・運行がNGになるケース
例えば過去に催行された日帰りバスツアー「湯西川温泉 かまくら祭り」の例を取り上げて検証してみましょう。
日帰りバスツアーで「湯西川温泉かまくら祭り」を楽しみたい場合［NG］のスケジュール
新宿センタービル前10時出発＝＝宇都宮（餃子食べ歩き用お食事券付き）＝＝日光でいちご狩り＝＝湯西川温泉かまくら祭＝＝新宿21時着終了
こちらのツアーでは、バスの走行距離は400㎞で所要時間は11時間です。さらに安全対策のための運行前・後の時間を2時間プラスし、拘束時間は13時間（バス営業所までの回送等は含まず）。
2024年3月まではギリギリOKだったかもしれませんが、4月以降はアウト。1人の運転手が運転してもよい時間は9時間までですので10時出発なら19時に戻ってこなければなりません。
日帰りバスツアーで「湯西川温泉かまくら祭り」を楽しみたい場合［OK］のスケジュール
日帰りで「湯西川温泉かまくら祭り」を楽しむ場合、OKなのは以下の行程。
新宿センタービル前12時出発＝＝湯西川温泉かまくら祭＝＝新宿21時着終了
「湯西川温泉かまくら祭り」でかまくらに灯りが灯る17時頃到着を目指すのがベスト。日帰りの場合、12時に出発して21時にバスの利用終了なら運行可能です。
途中でどこかに立ち寄る余裕はなく、トイレ休憩のみの直行・直帰となります。なんだかちょっと味気ないですね。
どうしても日帰りで同じ行程を楽しみたい場合は交替運転手を配置したツーマン運行なら可能。
この場合、バス料金は1.5～2倍となり、交替運転手が休めないので運転手「小型マイクロバス」での運行は断られる可能性があります。
また、人出不足ということで交替運転手がいない可能性も高いので「見積りを断られる」「運行を断られる」可能性がありますのでご理解ください。
同じスケジュールで楽しみたい場合は湯西川温泉に1泊してゆっくりと楽しむのがおススメですよ！
ここに注意！
- 1名の運転手で運転してもよい時間は1日9時間、500㎞まで（夜行は400㎞まで）
- バス移動は2時間に1回程度休憩（10分以上）を入れる必要があるので、移動時間にその分をプラスして考える
- 交替運転手2名体制なら運行できるがバス料金は1.5～2倍になり、見積りや運行を断られる可能性がある
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日帰りの結婚式送迎で見積り・運行がNGになるケース
過去に依頼があった「長崎県から福岡県まで3ヶ所経由する結婚式送迎」の例を取り上げて検証してみましょう。
日帰り結婚式送迎で［NG］のスケジュール
長崎西海市 8時30分出発＝＝親戚の家 佐世保市2か所・福岡1か所経由＝＝結婚式＆披露宴会場「ガーデンテラス福岡ホテル＆リゾート」到着＝＝親戚の家 佐世保市2か所・福岡1か所経由＝＝長崎西海市 20時着終了
こちらの送迎スケジュールでは、バスの走行距離は230㎞で所要時間は12時間です。こちらに安全対策のための運行前・後の時間を2時間プラスし、拘束時間は14時間（バス営業所までの回送等は含まず）。
2024年4月以前であってもアウト。1人の運転手が運転してもよい時間は9時間までですので8時30分出発なら17時30分に戻ってこなければなりません。
日帰り結婚式送迎で［OK］のスケジュール
同じスケジュールを日帰りで実現する場合、OKなのは以下の行程。
★行きは長崎県のバス会社Aに片道だけ送ってもらう（バスは回送して長崎に戻る）
長崎西海市 8時30分出発＝＝親戚の家 佐世保市2か所・福岡1か所経由＝＝結婚式＆披露宴会場「ガーデンテラス福岡ホテル＆リゾート」12時到着・終了
★帰りは式場のある福岡県のバス会社Bに片道だけ送ってもらう（バスは回送して福岡に戻る）
結婚式＆披露宴会場「ガーデンテラス福岡ホテル＆リゾート」16時30分出発＝＝親戚の家 佐世保市2か所・福岡1か所経由＝＝長崎西海市 20時着終了
この場合、行きは出発地の長崎県内にあるバス会社Aに依頼。帰りは式場のある福岡県内にあるバス会社Bと異なるバス会社に依頼することになり、それぞれ別々に見積りを依頼する必要があります。
皆さんを送った後、バスは営業所に回送（お客様を乗せずに戻る）するため、利用が片道であっても往復分の料金がかかります。この場合は、2往復分の料金がかかるので注意が必要です。
もう1つの方法は交替運転手を配置したツーマン運行なら可能。この場合、バス料金は1.5～2倍となり、交替運転手が休めないので運転手「小型マイクロバス」での運行は断られる可能性があります。
ここに注意！
- 1名の運転手で1日9時間を越える場合、行きと帰り、別のバス会社に送迎してもらうことで解決できる場合もある
- 行きと帰りの都道府県が異なる場合は、バスに乗車する都道府県内に営業所があるバス会社にそれぞれ依頼する必要がある
- 目的地に送り届けた後、バスは営業所に戻る（回送）ので、利用が片道であっても往復分の料金がかかる
- バスをいったん返すので2往復分の料金がかかる
- 交替運転手2名体制なら運行できるがバス料金は1.5～2倍になり、見積りや運行を断られる可能性がある
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貸切バスで見積りを断られる＆料金が高くなるケース注意点まとめ
毎年同じスケジュールで貸切バスの送迎を頼んでいる。日帰り旅行を楽しんでいる。でも、今年は何故か断られてしまった、という幹事さん。
2024年4月から運転手さんの拘束時間が短くなったことを受けて、バス会社ではさまざまなやりくりが発生しています。「バスは空いているけれど、運転手がいない」と断られてしまう場合も。
特に注意が必要なのは、日帰りのゴルフコンペの送迎など。以前は横になって休めるようにホテルの客室を取り、早朝出発・夜戻りという運行が可能な場合もありましたが、2024年4月以降は「連続して11時間以上休めること（条件によっては最低9時間以上）」になりました。
ケース（２）の結婚式送迎のように、行きと帰りのバス会社を変えて、2往復する、という対策になる可能性があります。
バス会社から見積り＆運行を断られた場合、どんなスケジュールなら可能なのかをよく相談し、対策を考える必要があります。日帰り旅行での利用なら、立ち寄り先を減らす、1泊2日に変更するなど、柔軟にスケジュールを考えることが重要です。
皆様の安心・安全なバスの旅行＆移動のために、ご理解・ご協力をお願いします。
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- ちくわ
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旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂！？
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