プロドライバーを魅了する「三菱ふそうバス」、人気のヒミツ(2)安全・快適性
プロのバスドライバーさんたちが三菱ふそうバスに感じている“魅力”はいったいどんなところなんでしょうか?
前回は、観光バスに乗るお客様目線で乗り心地や安定感、快適性などをご紹介してきました。今回は、ドライバー目線でその魅力をご紹介していきましょう!
三菱ふそうの快適な運転へのこだわり
各バスメーカー、独自に取り組んでいると思いますが、長時間バスを運転していても疲れにくい、ということは安全面からみてもとても重要ですよね。
車を運転する際の「走る、曲がる、停まる」といった基本的な動作をスムーズに行うために、前回紹介した足回りの工夫(サスペンション)の他にバスの運行スピードに合わせてハンドル(ステアリングホイール)を回す「操舵力」を最適に調整する“SSPS(車速感応型パワーステアリング)”を採用。
また、軽いタッチで簡単にギアシフトの切り替えができる「フィンガーコントロールトランスミッション」になっているので、ドライバーの疲労を軽減してくれます。
この「フィンガーコントロールトランスミッション」は、1983年に三菱自動車工業が大型・中型バス用に開発したもので、シフトレバーの位置を電気信号でとらえ、その切り替えを空気圧を使って行います。昔のバスでは長いシフトレバーを操り、手を大きく動かす必要があったのですが、まさに指先ひとつでシフト切り替えができるので、女性でも疲れずに楽々操作できます。
バスは馬力があるので、セカンド発進でもエンストすることはほとんどありませんが、坂道発進の面倒な操作(パーキングブレーキやペダル操作など)を軽減する“EZGO(イージーゴー)”を採用。
最近、ではマニュアル車を運転する機会がめっきり減りましたが、こういうアシスト機能があると、さらに不安はないですね!
編集部Iが観光バスを運転してみた!
さあ、いよいよエアロエースのコックピットに座ってみましたよ!
車両実験部主任の松尾さんから、基本的な操作をレクチャーしていただきました。
ともかく視界が大きく開けて前方確認が容易です。ハンドルも軽く、シフトチェンジもスムーズ。最初はドキドキしましたが、すぐに慣れて楽しくなってきました!
調子に乗って、道路に描かれている8の字に沿ってぐるぐる走らせる余裕ぶり(!?)
すっかり仕事を忘れて楽しんでしまいました。
バスを運転する場合、さまざまな車両情報をオンタイムで入手する必要があります。
このため三菱ふそうバスには“Ivis(アイヴィス)”というマルチ情報システムをメータークラスターに搭載。
走行燃費情報やオイルレベル、ディーゼルエンジンから排出される煤が過剰に堆積しないように連続再生(燃焼除去)する装置「DPF」をモニターするなど、必要な情報を容易に得られるように工夫しています。
バスに何かトラブルが発生した場合、その対処法も表示(ウォーニング表示モード)。
運転席にはずらりとスイッチや計器類が並んでいますが、よく使うもの、普段はあまり使わないものなど、さまざまなシーンを想定して配置。うっかり引っかかったり、ケガをしないよう、丁寧にカバーを付けているものもあります。
「三菱ふそうバスはつくりがていねいで細かい気配りがあって、乗り心地がいい!」というドライバーさんのご意見がありましたが、こういった「かゆいところに手が届く」ドライバー目線の工夫が支持されているのでしょうね!
安心・安全をサポートする三菱ふそうバスならではの取り組み
昨年、2015年10月に開催された第44回東京モーターショーでは、大型バス車内を再現したブース「FUSOエアロVRシアター」を設置。エアロクイーンの安全技術をバーチャルに体感できる展示が大好評でした。
中でも注目は三菱ふそうバスが独自に開発した運転注意力モニター“MDAS-Ⅲ(Mitsubishi Driver’s Attention monitoring System)”です。
“MDAS-Ⅲ”は、1996年に投入されて以来、改良を重ねて現在は3代目。2008年の第58回自動車技術会賞で「技術開発賞」も受賞しています。
まずは運転手のハンドル操作やクラッチ・アクセル・ブレーキ操作の癖、平均車速・車間距離の取り方などの情報を収集。その後は運転状態を常にモニターして、注意力低下を警報するシステム。高速でバスを走らせたときに作動します。
大きく逸脱するなどの異常を感知するとIvis表示と警報音で知らせてくれる“LDWS(車線逸脱警報装置)”とともに安全運転をバックアップします。
この“LDWS(車線逸脱警報装置)”ですが、センターラインを越えた場合は右のスピーカーから、側道に近づいた場合は左のスピーカーから音を出すなど、きめ細かに対応しているそうですよ!
また、オプションになりますが車間距離を保持するオートクルーズも!
昔のオートクルーズといえば、一定のスピードを維持するためのものでしたが最近では車間距離の方を一定に保ち、車間が詰まってくると自動でブレーキがかかり、ゆるやかに停車させてくれます。
車間距離が詰まってくると警報を発する「ディスタンスウォーニング(車間距離警報装置)」は標準装備。高精度ミリ波レーダーで前車との距離を測定し、あらかじめセットした車間距離よりも狭くなるとIvisに警報が表示され、緊急性に応じて2段階で警報音が鳴ります。
万が一、追突の可能性が高いと判断した場合、“AMB(衝突被害軽減ブレーキ)”が作動し、被害を最小限に抑えてくれます。
今回はこの“AMB(衝突被害軽減ブレーキ)”が作動するしくみを体感させていただきました!
ちょっとわかりにくいですが、窓のカーテンの揺れに注目!
渋滞などに気付くのが遅れて・・・という場合、こういったバックアップ機能が備わっていると心強いですね!
また“ESS(緊急制動表示灯)”もついているので、急ブレーキをかけてスピードが急速にダウンした場合、ハザードランプが高速点滅し、後続車に知らせる機能もあります。
また三菱ふそうバスの大型バス・中型バスでは“ブレーキオーバーライドシステム”を導入。アクセルペダルを踏んだまま、ブレーキペダルを踏んだ場合は、ブレーキを優先させる制御システムです。
バスの安全な運行を担うのはもちろんドライバー。でも、バスメーカーとして先進技術を駆使し、その安全運転を積極的にサポートすることは欠かせません。
こういった先進安全技術の研究や開発でバスは進化してきたんですね。
ドライバー、乗客への多彩な気配り
最近よく目にする「バス火災」のニュース。つい先日、バス火災に備えた訓練の様子をレポートしましたが、バス火災の原因のほとんどは日ごろの車両の整備・点検不良といわれており、また、後付けしたオプションの配線で起きやすいことも指摘されています。
こういった意味で、メンテナンスのしやすさはとても重要。後面・側面とも大きく開くリッドを装備しています。
バスに限らず、最近の車はコンピュータによる制御があるため、ちょっとしたきっかけでエンジンがかからなくなるなどのトラブルも起こりやすくなっています。車両整備のプロは車そのものに詳しくなければいけないと同時にコンピュータのソフト面にも精通していなければいけない時代になってきました。
このため、三菱ふそうではソフト面にも精通したメカニック育成にも力をいれているそうです。
また、2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故。このとき、ほとんどの乗客がシートベルトをしていなかったということが被害を大きくした可能性も指摘されています。
その後、3月に消費者庁が行ったアンケートによると貸切バスに乗車中、常時シートベルトを締めているのは全体の約4割だったとか。
事故は自分たちで起こすだけではなく、もらい事故もたくさんあります。万が一に備え、バス運行中は必ずシートベルトを締めましょう!
追突時、前方に飛び出す危険性があるバスの客席最前列・運転席には3点式ELRシートベルト(多重感知式)がついています。
さらに欧州経済委員会が中心となり策定した安全・環境等の技術基準である新保安基準(EC批准法規)に対応。
より強い衝撃に耐えられるように座席シートの取り付けを強化。シートバックに頭部を打ち付けた場合の衝撃を軽減する工夫など、あらゆる角度からの被害軽減をすすめています。
今回の取材を通じて、バスの安全運行を手助けするため、バスメーカーがどのように取り組んでいるのか、とても勉強になりました!
私たち利用者も、ドライバーさんが運転に集中できるようにやたら話しかけたり、走行中のバス車内をうろうろしたりしないようにしたいものです。いくら貸切空間だからといって、ハメを外しすぎないようにしましょうね!
さて、次回は三菱ふそうバスの歴史やエコロジーへの取り組みなど過去から未来のバスについてご紹介します。こうご期待!
■取材・撮影協力
三菱ふそうトラック・バス株式会社
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