貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)とは?バス料金のヒミツ

貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)とは?バス料金のヒミツ

スケジュールを自由自在に決められる貸切バス。

観光旅行や合宿送迎などいろいろな用途で利用されていますが、スケジュールによっては運転手さんが2名で運行することがある(=ツーマン運行)のを知っていますか?

国土交通省の定める、貸切バスの安全を確保するための決まり「交替運転手の配置基準」によって、運転手1名では運行できない場合があるんです。

運転手2名になると、当然バス料金も高額に…!
「見積りをとったけど、料金が高すぎる!!」という場合は、運転手2名での運行になっているかもしれません。

料金が高すぎてバスのレンタルをあきらめる前に、一度確認してみましょう!

■もくじ
1. 交代運転手の配置基準とは?
2. ワンマン運行(運転手1名)の条件
3. 運転手が2名になると、バス料金はどのぐらい高いの?
4. ツーマン運行ができない!?深刻なドライバー不足
5. 知ってると得をする?貸切バスツーマン運行の豆知識
6. 貸切バスの交代運転手まとめ

貸切バス交代運転手の配置基準とは?

2012年関越自動車道で起きた高速ツアーバスの衝突事故を受けて、国土交通省が内容を改定したのが「貸切バスの交替(交代)運転手の配置基準」。

この事故は、1名の運転手が長距離・長時間の無理な運行によって居眠り運転をしたのが原因。事故以前にも交代運転手についての決まりはありましたが、貸切バスの安全運行を確保するために、より厳しい内容に改められたのです。

運転手1名で運行(ワンマン運行)できる条件が明確に決められ、バス会社はそれを順守しなければなりません。

長距離・長時間、また深夜運行などにあたる場合には、交代要員として運転手をもう1名乗車させること(ツーマン運行)が必須です。

長時間長距離運行は運転手2名必要です

次の段落では、どんな運行スケジュールなら1名でできるの?というところをざっくりと解説します!

バス料金が高いな…と思っている方は、条件に当てはまっているか確認してみてくださいね。

貸切バスワンマン運行(運転手1名)の条件

運転手が1名で運行できるスケジュールには限界があります。

ツーマン運行になるとバス料金が高額になりますので、これらの条件に当てはまるようにスケジュールを調整すればバス料金を安くすることができるかも。

運転手1名で運行できる条件を確認してみましょう!

貸切バス運転手の拘束時間(労働時間)

1人の運転手の拘束時間は、原則1日最大で13時間以内です。

注意しなければならないのは、運転時間ではなく『拘束時間(=労働時間)』というところ。

乗客がバスに乗ってから降りるまでが13時間ではありませんよ!
運行前のバスの安全点検から車庫の出発、運行中(乗客乗車中)、車庫に戻ってからの点検、ここまでが拘束時間です。

運行前後の点検時間はあわせて2時間と決まっていて、さらに車庫~乗降場所への移動時間(回送時間)も拘束時間に含まれます
つまり、実際に乗客がバスを使える時間は最大でも9時間程度ということになるのでご注意を!

運転手拘束時間の解説

1人の運転手で1日バスを運転してよい時間(ハンドル時間)

1日の運転時間は原則9時間までです。

運転手の拘束時間(労働時間)は最大13時間でしたが、このうちバスを運転できる(ハンドルを握っていられる)のは9時間まで、ということ。

たとえば、東京~大阪へ貸切バスで行きたい!という場合。バスだと片道で7~8時間ほどかかり、なおかつ回送時間も追加するとワンマン運行は不可能と考えておきましょう。

ちなみに、1泊2日でバスを使う場合、2日間の運転時間が平均9時間以内になれば大丈夫。

1日目が10時間で、2日目が8時間はOK。1日目10時間で、2日目10時間はNGです。

運転時間の解説

1人の運転手で連続して貸切バスを運転してよい時間

連続して運転できる時間は、原則2時間まで。9時間運転していいからといって、機械のように続けては運転できません!

原則として2時間に1回、連続して10分以上、4時間以内に合計30分以上の休憩を挟む必要があります

休憩はPAやSAでとることが多いですが、2時間で目的地に到着して乗客が降車、運転手はその場で待機、という場合は待機時間が休憩になります。

1人の運転手で移動してよい距離

ワンマン運行で移動してよい距離

1人の運転手がお客様をバスに乗せて移動する距離のことを“実車距離”といいます。バス会社からお客様が乗降する場所まで、運転手がバスを走らせる分は“回送”です。

1人の運転手が1日に移動してもよい実車距離は原則昼間は500㎞、夜間は400㎞までです。

ただし、お客様が乗車していない回送分の距離は、この500km(夜間は400㎞)には含まれません

例えば、合宿等で片道300㎞かかるところの送迎をお願いし、いったんバスを返したいという場合、往復で600kmになりますが運転手1人で運転することは可能です。

ただし、バスの回送分を含めた運転時間が最大拘束時間(13時間)を超えないことが条件。超えてしまう場合は、やはり交替運転手が必要になるのでご注意を。

運転手の休息時間

運転手の休息時間

1回の運行(拘束時間)~次の運行(拘束時間)までに、運転手は連続して11時間以上の休息をとらなければなりません(9時間を下回らないこと)。

ちょっとわかりにくいので、1泊2日の観光旅行を例に考えてみますね。

1日目は観光を楽しんで、21:00に宿泊場所に到着して終了(※運転手は点検のため22:00に業務終了)。

2日目は早朝5:00に出発したい!という場合、運転手は1日目の業務終了時から、2日目の業務開始までで11時間以上の休息をとれないのでNG!

早くても10:00以降、の出発ではないと運行できません(※運転手は乗車前点検のため9:00に業務開始)。

また、運転手の休息場所は、個室で1泊2食付きが原則。バスの中では休息時間とみなされませんので、宿泊利用の場合は乗客による運転手の宿泊場所手配が必須になります。

なお、日帰り利用の場合は、特に気にしないで大丈夫です。

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≫バスの駐車場、運転手のホテル予約は必要?

運転手が2名になると、バス料金はどのぐらい高いの?

貸切バスの料金は利用時間と距離によって計算しますが、運転手2名での運行だと料金が割り増しになります。

その料金差は、なんと1.5~2倍ほど!!
(※スケジュールによって異なります)

ドライバーの人件費がプラスされるので料金が上がるのは当然ですが、なかなかの金額です。

高速バス(夜行バス)の乗車料金の感覚でいると「え!?高すぎ!!」となるのでご注意くださいね!

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≫貸切バスの料金目安

ツーマン運行ができない!?深刻なドライバー不足

料金が高くてもいいから、理想のスケジュールで運行してほしい!という場合は、もちろん運転手2名でバスを貸切ることが可能です。

ただし!借りる時期によっては希望通りにバスを予約できない可能性があるのでご注意を!というのも、貸切バス業界はドライバー不足に悩まされています。

特に繁忙期(4月下旬~6月上旬、7月下旬~お盆まで、9月末~11月末など)は、運転手を2名確保することがむずかしく、車両は空いていても運転手が足りない…という状況になってしまうことも。

泣く泣く運行をお断りしなければならない、という場合があるんです。

また、前日の運転が深夜までだったとすると、翌日は業務に付けないということもあります(連続して11時間以上の休息が必要なため)。

バス業界は運転手不足

どうしても長時間・長距離のスケジュールでバスを借りたい!という場合は、利用日が決まったらすぐにバスの見積もりを取って予約を入れましょう。

利用日が近くなれば近くなるほど、バスの予約は取り辛くなってしまいます。

≫貸切バスの無料見積もりはこちらから

知ってると得をする?貸切バスツーマン運行の豆知識

マイクロバスの座席例
(撮影協力:東新観光)

小型マイクロバスはツーマン不可!?

小型マイクロバスの場合、運転手2名での運行は可能ですが、断られる場合もあります

小型マイクロバスは本来、送迎や短時間の利用に特化したバスタイプ。
座席は他のバスタイプに比べて簡素な作りのものが多く、長時間・長距離の運行には向かないので、状況によってはお断りするバス会社もあることは事実です。

小型マイクロバスでのツーマン運行の場合、運転手がしっかり休めるよう、座席をつぶして確保する可能性があるので、通常よりも少ない定員数での運行となります。

中型・大型観光バスなら原則ツーマン運行が可能。20名以上なら中型バスも検討しましょう。

▼ 貸切バスの種類について
≫バスの種類(乗車人数)一覧
≫大型バス(定員53~55人)
≫中型バス(定員27人)
≫マイクロバス(定員26人)
≫小型バス(定員25人)

運転手2名での運行だと、バスの定員数が少なくなる!?

運転をしておらず、待機しているドライバーは座席のどこにいるのでしょうか?

実は待機場所は決まっていて、運転席のすぐ後ろの座席(2席分)を使わせていただきます。

運転手2名での運行の場合は、この席を空けておく必要があるので乗客は利用できません。
つまり、本来のバスの定員数よりも正座席2席分少なくなるので、ご注意くださいね。

交代運転手は運転席の後ろの座席を利用します
交代運転手は運転席の後ろの座席を利用します(撮影協力:アビコ西武観光)

観光バスのトランクには、運転手用の仮眠室がある!?

2017年度の京王バスまつり体験レポートでもご紹介しましたが、高速バス(夜行バス)のトランクルームには運転手の仮眠室があるんです!

しかし、残念ながらこれは高速バスだけ。
貸切バスにはこのような設備は無いので、交代運転手は先述した運転席の後ろの座席で休息をとっているんですよ。

貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)まとめ

  • 運転手の1日最大拘束時間(労働時間)は、13時間まで(点呼、回送含む)
  • 2日間平均1日の最大運転時間は9時間まで
  • お客様を乗せての走行距離は500kmまで(実車分のみで回送分は含まず)
  • 2時間ごとに10分以上の休憩が必要(4時間で30分以上)
  • 2運行の間に、運転手は継続11時間以上(条件によっては9時間以上)の休息をしなければならない
  • ワンマンとツーマンのバス料金差は、1.5~2倍ほど
  • マイクロバスはツーマン運行は断られる場合がある

貸切バスはお客様の思い通りの使い方で利用できますが、だからといって「なんでもアリ」ではありません。

運転手への無理強いや無理なスケジュールでの運行は、乗客の安全輸送に大きく関わるということを理解して、賢くバスを使ってくださいね!

※2024年4月からバス運転者の「改善基準公示」が改正。記事内の情報はその公示に基づき、紹介しています

■参照元:厚生労働省ホームページ「バス運転者の改善基準公示」より

▼ 貸切バスで知っておきたい豆知識

≫貸切バスで急な行き先変更はできる?前もって、旅行プランを決めておく理由
≫貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)とは?バス料金のヒミツ
≫【貸切バス旅行】子供の定員は?法律と安全性のはなし
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≫貸切バスは“出発地”で借りるのが鉄則!?「営業区域」のはなし
≫貸切バス(送迎バス)のキャンセル料は?

▼貸切バスお役立ちコンテンツ

初めてバスを借りる場合の注意点賢くバスを借りるコツバス旅行幹事になったらよくある質問

この記事を書いた人
バス観光マガジン編集部 編集ライター

バス観光マガジンの中のヒト。貸切バスについての基礎知識やバス旅行のヒント、バスファンのための情報など、バスに関する楽しいコンテンツを日々お届けします。

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