来場者数・総参加者数とも過去最多を記録!「2023バステクフォーラム」が大阪・舞洲で開催されました
ぽると出版主催「2023バステクフォーラム」が、大阪・舞洲スポーツアイランド(空の広場)で2023年5月12日(金)に開催されました。コロナ禍は7月開催の時もありましたが、5類への移行で4年ぶりの5月開催となりました。
イベント当日は青空が広がる素晴らしいお天気に恵まれ、来場者数・総参加者数とも東西開催のバステクを通じて過去最多を記録。「2022バステクフォーラム」と比べて来場者数が34.5%増を記録するなど、大いに盛り上がった1日でした。
今回、大阪在住のライター・Tが「2023バステクフォーラム」を初取材。当日のにぎわいをレポートしていきたいと思います。
「2023バステクフォーラム」会場ゲート前には入場手続きする方の行列がずら~り
「2023バステクフォーラム」を開催している舞洲スポーツアイランド・空の広場まで、往路は地下鉄コスモスクエア駅から北港観光バス3A系統コスモドリームライン「ホテル・ロッジ舞洲前行き」に乗車し、終点ホテル・ロッジ舞洲前で下車。
ホテル・ロッジ舞洲前到着が開催時刻の10時頃でしたが、舞洲スポーツアイランド・空の広場へ歩く道すがら、会場内の熱気が伝わってくるほど、イベント出展者・来場者の声が届いてきました。
会場ゲート前に入場手続きをされる方の列が続いています。列に並ぶと入口真正面に設置された今回の目玉出展である旭川電気軌道 1963年式三菱ふそうMR430 3軸バス(廃車体からのレストア)がど~んと設置され、圧巻の眺め。
このバスを目当てに来場された一般のお客様(バス事業関連以外)がとても多かったらしく、全体の約26%を占め、前年比較で約3倍以上となっていたようです。
メーカーが誇る主力車種、バス事業者が実際に運行しているバスなどを展示
会場へ入ると、まだ始まったばかりだというのに、大勢の人がバスに群がっています。やはり一番人気は1963年式三菱ふそうMR430 3軸バスの様子。
この他にも各バスメーカーが誇る主力車種や、バス事業者が実際に運行しているバス車両、そして特別仕様の魅力的なバスなど、総勢17台のバス(試乗車5台+展示車両12台)が集結、展示されてました。
さらに、バスに関連する部品メーカーや、運輸事業に欠かせない付帯サービスを提供する多種多様な企業も参加しました。広大な会場は、バスメーカーや部品メーカーの関係者、運行事業者、そして現役のバスドライバーなど、多くのバス関係者やバスファンが訪れ、イベントを満喫している様子がヒシヒシと伝わってきました。
まずは今回最も注目を集めた1963年式三菱ふそうMR430 3軸バスから紹介していきましょう。
製造からおよそ60年、廃車から40年!レストアで蘇った旭川電気軌道所有の三菱ふそうMR430
「2023バステクフォーラム」の目玉はなんといってもこのMR430といっても過言ではないでしょう。
廃車されてから40年も眠っていたこのバスは、所有者である旭川電気軌道がその創立100周記念事業のためにレストアしたもの。バス事業者自ら出来る限り元の状態に復元し、公道を自力走行できる状態までに蘇らせました。
なにしろ製造されたのが60年も前ということで、部品の一つ一つも廃番部品の調達やこのレストアのために特別に製造される部品もあったそうです。完成までにどれだけの苦難があったかを想像し、旭川電気軌道の方々の想いに胸を熱くしました。
最大の特徴は前輪2軸、後輪1軸という3軸バスであること。このバスが誕生した時代は、ラッシュ時の輸送力強化が目的であり、定員は110名という大型輸送バスであったということをうかがって、びっくりしました。
1960年代に三菱ふそうが発売したMR430 3軸バスは全登録台数がわずか12台という希少車。そのうち3台が旭川電気軌道が保有しており、そのうちの1台をフルレストアしたというわけです。
現在は貸切登録、着席での使用に限られ、定員は45名だそうです。
MR430の魅力は懐かしいモノコックスタイルで、丸みを帯びたフォルム、リベット打ちのボディにあります。
リベットが何本打たれているか、数えようとしましたが、圧倒的な数量により断念。そのくせ、わずらわしく思えるほどの量でもなく、リベットの打ち方、打つ位置さえ美しいのです。
私はMR430に完全にノックダウン!昭和平成令和を生きる貴公子に思いました。
MR430が「2023バステクフォーラム」参加にあたり小樽~舞鶴間をフェリー航送。本州上陸直後から多くのバスファンに迎えられたとのこと。
会場ではバスメーカーの三菱ふそうからレストアした旭川電気軌道に対して感謝の意を伝えるセレモニーを行うとともに、当日のサプライズプログラムとして、幸運な来場者約50人が周回路で試乗を体験することができました。
私は残念ながら試乗できず・・・。とても残念です。
ヘッドランプまわりの改良と安全性を強化「三菱ふそうエアロクィーン」
三菱ふそうトラック・バス/三菱ふそうバス製造が出展したのは「三菱ふそうエアロクィーン2TG-MS06GP」。2019年2月にフェイスリフト及び、安全性の強化を図った大型観光バスです。
国内大型観光バスでは初めての「アクティブ・サイドガード・アシスト」を標準装備。「ドライバー異常時対応システム」、歩行者検知機能を追加した衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト4 (ABA®4)」、テレマティクスデバイス「バスコネクト®(Busconnect®)」も標準装備されています。
「アクティブ・サイドガード・アシスト」はドライバーからの死角になる左側方を監視し安全運転を支援するものです。
もう一つの大きな変化は、「ふそうブラックベルト」デザインと新型LEDヘッドランプ&LEDフォグランプを採用しエクステリアデザインを刷新したこと。
フロントマスクに黒のラインが入ることで、三菱ふそうのロゴがより強調されて見えるのが特徴となっています。
今回の展示車は三菱ふそうバス製造が新規事業として展開するボデープリントにより、独自のデザインを施しています。ボデープリントはラッピングよりも容易にデザイン変更ができ、多彩なデザイン展開が可能とのことです。
ハイグレードな観光仕様で登場、三菱ふそうの「小型マイクロバス ローザ」
三菱ふそうからはもう1台、小型マイクロバス・ローザをハイグレードな観光仕様に仕立てたモデルです。定員14人で、特別仕様のシートを配するとともに、腰板にはサイドトリムを施しています。
天井中央部には間接照明を設置、また可動式の荷物棚を持つ後部荷物室は、インバウンドをはじめとする荷物の多い旅行者にも対応可能とのこと。
各席に折り畳みのテーブルが設置され、個人的には小グループでバス旅行をするときによいだろうなあと思いました。
ローザは2021年に新型モデルを発売。
2018年にフロントフェイスリフトを実施し、三菱ふそうのロゴを強調する「ふそうブラックベルト」を採用し、イメージを一新したことで話題になりました。今回のエアロクィーンはローザの「ふそうブラックベルト」を同様に採用した、というわけですね。
2022年暮に改良されて発売「中型路線バス・いすゞエルガミオ」
いすゞ自動車では、2022年12月に大型路線バス「エルガ」・中型路線バス「エルガミオ」を改良発売。今回出展したのは「エルガミオ(型式:2KG-LR290J5)」となります。
全車がトルコン式オートマチックトランスミッションを搭載し、ドライバー異常時対応システム(EDSS)に自動検知機能を追加。ドライバーの様子を常時見守るドライバーステータスモニター(DSM)でハード面からの支援を強化しています。
この他、周囲の明るさに応じて、自動でヘッドランプのロービームを点灯(消灯)するオートライト機能の追加、バックカメラおよびモニターの標準装備などでさらなる安全性を向上。
また、バス車内の抗菌対策や換気性能向上のための排気用エアアウトレットグリルなどを装備されています。
ドライバーが急病などで安全に運転できない状態に陥った場合、乗客やドライバーが非常ブレーキスイッチを押すことで、減速して車両を停止させ、車内では音声アナウンスと赤色フラッシャーランプにより、異常時であることを乗客に伝達する機能を初めてみました。
車外にはホーンを鳴らし、ハザードランプとブレーキランプを点滅させて異常事態を知らせるようで、ドライバーが走行中に身体異常を起こし、事故となることが多い現代にはとても大切な機能だと思いました。
大阪バスは「三菱ふそうエアロエース(2TG-MS06GP)」を出展
大阪バスグループ・東京バスグループとして北海道から沖縄まで、多数のグループ会社や営業拠点を持つ大阪バスからは三菱ふそうエアロエース (2TG-MS06GP)・高速路線車が出展されていました。
国内大型観光バス初の「アクティブ・サイドガード・アシスト」や「ドライバー異常時対応システム」、歩行者検知機能を追加した衝突被害軽減ブレーキなど充実した安全装備が標準装備されています。
座席配列は横2+2の4列シートで縦11列、後部席5シートの49席+補助席11席の計60席、収容力の高い車両となっています。
通路と客席の間がフルフラット化されていることでゆとりが感じられ、シートモケットも現代感覚かつ落ち着いた空間が提供されていますね。
フロントフェイスはいわゆる「令和フェイス」モデルのエアロエースはやはりかっこいいです。
高速バスで活躍、Hyundai(ヒョンデ)Mobility Japan「現代ユニバース・ベーシック仕様AT車」
2009年に国内で正式発売され、以来改良を重ねきたHyundy Mobility Japan社製ユニバースは貸切車・高速車などで活躍が続いています。今回の展示車は型式2DG-RD00。
高速バスや夜行バスで有名なWILLER EXPRESSのAT(オートマチックトランスミッション)搭載車です。このATは変速ショック低減学習機能を装備し、ドライバーの経験に関わらずスムーズで上質な走りを実現させるZF社製オートマチックトランスミッション「ZF 6AP2000B Coach」を採用。
座席配列は横2+2の4列シートで縦11列、後部席5シートの49席+補助席6席の計55席。
WILLER EXPRESSを運行するWILLER株式会社は、京丹後鉄道(通称:丹鉄)を運営する企業でもあります。“丹鉄”は鉄道車両デザインの第1人者である水戸岡鋭治氏にデザインを任せた三種の列車が有名。
今回出展した現代ユニバースをベースにしたWILLER EXPRESSのバスは、新しさの中にも落ち着きや柔和さも感じ、私は好きだなと思えるデザインでした。
1回の充電で280km走行可能!EVモーターズ・ジャパンの電気バス
EVモーターズ・ジャパンが出展したのは「F8シリーズ 6-Coach」。観光タイプの電気バスでは国内初の中型クラスです。
同社が開発し中国で生産される日本仕様で、心臓部のインバーターや電池も日本の技術で担われているそうです。1回の充電で280㎞も走行できる大容量のバッテリーシステム。
定員は4列シート7列後部席5席、助手席なしの35人乗りです。
全面展望かと思えるくらいすべての窓が大きいことで、中型とは思えないほどゆとりを感じます。同じシリーズで12mの大型観光バス(51名乗り)もあるそうです。
「F8シリーズ 2」大型シティバスは試乗車として実際の乗り心地を確かめられるようになっていました。
EVモーターズ・ジャパンは現在、北九州市若松区内に商用EV組み立て工場の建設を進めているそうですよ。
電気バスと観光バスを展示、アジアスタージャパン/オノエンジニアリング「オノエンスター」
オノエンスターは東京・八王子で自動車整備・輸入販売などを手掛けるオノエンジニアリングが販売するバス。「オノエンスター」は中国の揚州(杨州)亜星モーターが製造しています。
日本向けの観光バスは全長8mの中型バス。全長9mは普通の路線バスより少し短く、7mの小型マイクロバスよりも長いという国内ではあまりないサイズです。
シートや内装、外装ともどこかエキセントリックな雰囲気を感じました。
オノエンスターは試乗車としてもう1台、9mの電気バス「オノエンスターEV」も出展。EVバスの需要は今後ますます高くなるのでしょうね。
国際興業商事部からはAIオンデマンドバスシステム搭載車「さいたまさくら号」
国際興業商事部からの出展は、2022年11月23日(祝・水)~12月3日(土)まで埼玉県さいたま市桜区で「AIオンデマンドバス さいたま さくら号」という愛称で実証実験が行われたAIオンデマンドバスシステム搭載車です。
AIオンデマンドバスとは、バス停のように決まった乗降場で停車するのではなく、お客様からの呼び出し・予約に応じて可変的な運行ルートを走行するというもの。
オンデマンドバスシステムは全国各地で実証実験やすでに開業しているものもあり、高齢化の進む我が国では今後、発展と永続性が望まれることになるでしょう。 車内の走行・停留所案内がとても地域密着であたたかさを感じました。
西日本ジェイアールバス「2階建てバス・アストロメガ<グランドリーム仕様>」展示
西日本ジェイアールバスからは「2階建てバス・アストロメガ<グランドリーム仕様>」を展示。東京~大阪間など、都市間高速バスではこの2階建てバスをよく見かけます。
三菱ふそうの2階建てバスはすでに製造終了していますので、新車で導入する場合はスカニアジャパンのこのアストロメガ。
2階席の3列クレイドルシートは29席あり、そのうち女性専用6席あります。1階席の4列シートは10席、こちらも女性専用4席が用意され、深夜バスでも安心できます。
運転席のない2階席先頭席は前面展望のファン垂涎のシート。
もちろん先頭席でなくても側面窓は横にも長く、昼間走行時の車窓がどの席からも楽しめるようになっていました。
ジャパン21は新型モービルアイ、シールドプラスなどを装備したバスを展示
衝突防止警報装置モービルアイでおなじみのジャパン21。今回は中日臨海バスの三菱ふそうエアロスター送迎仕様のバスで出展しました。
こちらのバスでは、新型モービルアイ、右左折巻込防止警報装置シールドプラス、感染症予防に効果的なオーニット製オゾン発生装置(自動車業界向け総販売元:坂本自動車工業)、車内点検サポートシステム(レゾナント製)などを装着しています。
さらにこちらのバスではレゾナントの車内点検サポートシステム「かくにん君(特許出願中)」も展示。最近、何件かあった幼児の通園バスの置き去り事件を未然に防ぐシステムとして注目を集めている装置です。
メインスイッチキーをオフにすることで、自動で「車内点検を行ってください」とアナウンス。バスの後方に設置した「点検ボタン」を押すまで、繰り返し放送が流れ続けるため、車内に人がいないかを自然と点検することで置き去り事故を防止できます。
大型バス・中型バス・幼稚園バスなど幅広い車種に対応。補助金の対象となっていますので、導入しやすくなっていますね。オプションで「SOSボタン」もセット可能となっていました。
すべてを紹介しきれずすみません!ダイジェストでご紹介していきます
バス車両の他、バス関連機器類、サービス類などを扱う会社が多数出展していました。今回、出展された各ブースをダイジェストでご紹介します。
- アリソンジャパン:オートマチックトランスミッションなど駆動系機器
- 一水製作所:小型バス向け運賃機、自動券売機ほか
- オージ:降車確認支援システム等バス車載機器
- クラリオンセールスアンドマーケティング:音声合成等バス車載機器
- 工房:バス業務管理システムほか
- 国際興業 商事部:ベローズ、ケミカル類等整備用品ほか
- ジャパン・トゥエンティワン:安全機器、衛生機器ほか
- ターボテクノサービス:リビルトターボほか
- ダイヘン:電気バス充電システム
- デンソーソリューション:プラズマクラスターイオン発生器など
- 日本製鉄:アルミホイール・リターダ
- 日本総合リサイクル:廃車処理・リサイクル、中古バス・部品販売ほか<初出展>
- 丸菱工業:フリーデザインシートカバー
- レシップ:置き去り防止装置、デジタルサイネージほか
- レゾナント・システムズ:置き去り防止装置、バスロケほか
- YEデジタル:スマートバス停、スマートバス停クラウド等<初出展>
各ブース、業者さんの熱い思いが伝わってくる展示でした。今回特に時代だなあと思ったのが、車内おき去り防止装置を出展されている企業が数社あったことです。
そして、最後にまた、旭川電気軌道が特別出展していた1963年式三菱ふそうMR430。こちらは出展に際しての大阪移動走行もSNSで話題になっていました。
道中にある各バス会社さんにもお世話になったとか、帰路もそうだったようですね。
同業者の思いやりでもあり、レストアされた往年の名車に対するリスペクトに共感もあったことでしょう。
イベントからの帰りは、北港観光バスさんの2系統舞洲アクティブバスの舞洲東停留所から乗車。JRユニバーサルシティ駅で下車しました。
バスでお隣の席だった京都の学生さんから「MR430を見てきていらしたのですか?」と声をかけてくださいました。
「はい。」と感動あらわに答えた私でしたが、お話を伺うと旭川市ご出身のようで、地元でみたことのないあのMR430を今日、大阪でみられたこと、観衆の熱い視線をうけていたことにとても満足されていました。
私にとりましても大変、心に残る「2023バステクフォーラム」でした。
「2023バステクフォーラム」
開催日程:2023年5月12日(金)10時~16時30分(雨天決行)
開催場所:大阪府大阪市此花区 舞洲(まいしま)スポーツアイランド「空の広場」
主催:ぽると出版
協賛:日本バス協会、近畿バス団体協議会
後援:国土交通省近畿運輸局
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