チャイルドシート

貸切バスにチャイルドシートは取り付けられる?【更新】

こんにちは!編集部Iです。今回は貸切バスのシートベルトとチャイルドシートについて考えてみたいと思います。

というのも、お客様からの「貸切バスの達人」事務局へよくある問合せは「チャイルドシート、取り付けられる?」、「チャイルドシートのレンタルはある?」という質問。

小さいお子様同伴でお出かけの場合、やはり気になるのが安全性の問題ですよね。

そこで調べてみました!今回は貸切バスを利用する場合のチャイルドシート問題について解説していきます。

■もくじ
1. 貸切バスの場合、チャイルドシート着用は任意
2. バスのシートベルトってどんな感じ?
3. 子どもは、バスについているシートベルトを着用できるのか?
4. 義務じゃないけど、長時間、チャイルドシートなしは正直厳しい
5. 貸切バスにチャイルドシートを取り付け実験してみたっ!
6. 高速バス、観光バス、いずれの場合でもシートベルトは必ず着用!

貸切バスの場合、チャイルドシート着用は任意

そもそも、貸切バスにお子様を乗車させる場合、チャイルドシート着用は義務なのでしょうか?

道路交通法では平成12年4月1日から、6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートを使用することが義務化(第71条の3第4項)されました。

ただし、チャイルドシートの使用義務免除として「道路交通法施行令26条の3の2第3項」に定められている中で、バスやタクシーなどに乗車する場合は免除されるとあります。

というのも、バスなどの場合、あらかじめいつ、何人の幼児(乳児)が乗車するのか必ずしも予測することはできないためです。

確かに路線バス・高速バスでチャイルドシートを装備、着用しているところは見かけません。

ただ、貸切バスの場合は、事前に誰が何人乗るのかは申し込みの際、わかるので「事前に予測」できますが、レンタカー会社のようにチャイルドシートの貸し出しを行っているところはほとんど聞きません。

その一番の理由としてはバスの座席についているシートベルトは通常、お腹のところで締める2点式(一部のバスを除く)。

2点式シートベルトが一般的

一般的なチャイルドシートは3点式のシートベルトで固定するようになっているので、構造的に取り付けができなかったのです!!

実は2点式シートベルトで着用できるチャイルドシートが存在する!

先日、自動車生活ジャーナリスト・認定チャイルドシート指導員加藤久美子さんから編集部に情報提供いただきました!

日本に正規輸入されている唯一のブランド、アメリカ「イーブンフロー社」の製品。大変レアなチャイルドシートのようですが、2点式シートベルトでも装着できるそうです。

興味がある方は、ぜひ記事を参考になさってみてくださいね。

バスのシートベルトってどんな感じ?バスのシートベルトってどんな感じ?

写真はつい先日、高速バス「Willer Express」の新しい3列独立シート「Luxia(ラクシア)」の試乗会で撮影したものです。

ウィラーエクスプレス「Luxia」
(ウィラーエクスプレス「Luxia」試乗会より)

「Luxia(ラクシア)」は、三菱ふそうのエアロクィーンをベースにしていますが、最前列の座席(3シート)のみ、3点式のシートベルト。2列目以降はすべてこの2点式です。

国産バスは、三菱ふそうだけではなく、日野自動車、いすゞ自動車も最前列のみ3点式、後部は2点式が標準仕様です。

ちなみに、韓国のメーカー、現代自動車は3点式シートベルトを大型観光バス「ユニバース」の全席で導入して話題になりました。

現代自動車のユニバースは3点式シートベルト採用
(写真提供:現代自動車ジャパンン)

一方マイクロバスはというと、2012年7月の保安基準変更で、全席3点式シートベルトでないと製造できなくなりました。

以前から3点式を採用していた日産のシビリアンは大丈夫ですが、それ以外のメーカーで古いタイプのものは2点式になっているため、やはり、チャイルドシートの取り付けができません。

どのバス会社(レンタカー会社も同じ)も最新式を導入しているとは限らないので、チャイルドシートが取り付け可能かどうかは、確認してみないとわかりません。

また、バスの座席は乗用車とは形状が異なるため、取り付けられない可能性も!

同じメーカーのバスでも、バス会社さんによって、座席をオリジナルでカスタマイズしていることがあります。そうなると、同じ車種でも取り付けられない場合がありますのでご注意を!

「貸切バスの達人」で、マイクロバスを運転手付きでレンタルする場合、事前に確認しますので、事務局まで問合せください。

ちなみに「バス会社でチャイルドシートは所有してないの?」、「レンタルできないの?」という問い合わせがありますが、これはまずない・・・。

前述のとおり、幼児をたくさん乗せる、ということは想定しておらず、チャイルドシートを用意しているというバス会社さんは絶対ないとはいいませんが、まず、ないと思っていてください。

お客様の方で、準備する(自宅にあるものか、リース会社でレンタルするか)のが前提となります。

子どもは、バスについているシートベルトを着用できるのか?

シートベルトを装着してみた

今回、撮影した貸切バスはアルモニアさんのトヨタのマイクロバス「コースター」。向かって左の女の子は小学校2年生、お隣の男の子は小学校4年生です。

今回撮影に使用した貸切マイクロバスは古いモデルで2点式なので、お腹のところで締めます。

5歳の幼児さん

そして、こちらは5歳の男の子。ベルトの長さを調整してなんとか締められるというところでしょうか。

チャイルドシートを普段使用しているような赤ちゃんや1~2歳の子となると、お母さんが抱っこして・・・ということにならざる負えません。

これはバスに限らず、飛行機でも同じではないかと思います。

義務じゃないけど、長時間、チャイルドシートなしは正直厳しい

赤ちゃんは抱っこでバスに乗る

座っているとはいえ、決して広くないバスの車内。赤ちゃんを抱っこしたまま、長時間も移動するのってキツくない?おっしゃる通りです・・・。

しかし、現実的に取り付けられない構造である以上、これは致し方ない・・・。

長時間の移動が予測される場合は、赤ちゃん連れでの移動はしないようにするしかありません。

そもそも、乳児さんが長時間バスに揺られて移動するというのは、赤ちゃん自身にとっても体力的に大変厳しいものがあります。

お子さんが小さいうちは、自家用車で、チャイルドシート着用の上で移動が望ましいと思われます。

▼ 関連コンテンツ
≫【貸切バス旅行】子供の定員は?法律と安全性のはなし
≫路線バスはなぜシートベルトをしなくていいの?バスのシートベルト事情

貸切バスにチャイルドシートを取り付け実験してみたっ!

「貸切バスの達人」にご参加いただいている横浜のバス会社「シティアクセス」さんから、チャイルドシート取り付け実験の協力OKのお知らせ!さっそく出かけてきました。

実験に使用したのは、マイクロバス(車種は三菱ふそう・ローザ)と中型バス(車種は三菱ふそう・エアロエースショートタイプMM)。

マイクロバスと中型バスでチャイルドシート取り付け実験
(撮影&取材協力:シティアクセス)

中型バスは27名乗りのタイプで、座席の仕様は標準なもの。後部座席は回転してサロンになるものです。

中型バスの座席
(撮影&取材協力:シティアクセス)

こちらは一番前の座席のみ3点式シートベルトのため、後部座席にはつけられませんでした。

お借りしたチャイルドシートは、シティアクセス担当者さんの私物です。モデルはコンビ製のラクティアターン(発売終了)。

新生児から4歳ぐらいまで使えるものだそう。

中型バスにチャイルドシートはつけられました
(撮影&取材協力:シティアクセス)

こちらはちゃんと取り付けできました!

今回使用したチャイルドシートには「サポートレッグ」という補助装置がついており、シートがぐらつかないように突っ張り棒のような役目を果たすタイプ。

レッグサポート部分
(撮影&取材協力:シティアクセス)

座席の形状が多少カーブしていても、これを利用すれば大丈夫そう。もし、レンタルして、持ち込むならこのタイプがおススメかもしれませんね。

ちなみに20名~21名で利用できるマイクロバスでも取り付けてみましたが、問題なく設置できましたよ!

チャイルドシートはマイクロバスにも設置できました
(撮影&取材協力:シティアクセス)

シティアクセスさんでは、チャイルドシートのレンタルはしていません。

したがって、お客様ご自身で用意し、持ち込むことになります。取り付け可能かどうかは実際にやってみないとわからないので、事前に相談してくださいとのこと。

他の貸切バス事業者さんについても同じだと思いますので、まずは相談!というところでしょうか。

高速バス、観光バス、いずれの場合でもシートベルトは必ず着用!

平成19年に道路交通法が改正され、貸切バスにはシートベルト着用の義務(一般路線バスを除く)があります。

高速道路走行中に違反が確認された場合、運転者に対し行政処分が課せられることになっています。

日本バス協会としても、シートベルト着用のアナウンスを行う、乗客から見やすい位置にシートベルト着用を促すステッカー等を掲示するよう促してきました。

日本バス協会作成のリーフレット

大手旅行会社が主催するバスツアーでは、出発前に必ずシートベルト着用やバス車内でのマナーを啓蒙するDVDを流し、休憩等で席を離れ、戻ってきたタイミングで声かけしていました。

しかし、2016年1月に起きた軽井沢スキーバス転落事故を受け、消費者庁が「貸切バスの利用に関する調査」を行ったところ、高速乗合バスに乗車した時、常時シートベルトを着用している人は全体の約4割強。

高速道路運転時や睡眠時等、場合によって着用している人は約3割弱でした。

シートベルトを常時しない理由としては

・窮屈で面倒だから(約55%)
・習慣化してないから(約38%)
・指示がなかったから(約16%)
・周りの人が着用してないから(約12%)
・着用しなければならないことを知らなかったから(約10%)

という理由が上がっていました。

国交省・警察庁が発表した、事故時にシートベルトを締めていなかった場合と締めていた場合の致死率を比較した資料によると・・・。

高速道路では約9倍、一般道を含めると約14倍も高くなるという調査結果に!

確かに窮屈かとは思いますが、一つしかない命。
シートベルトはしっかりと締めることを忘れずに!

シートベルトはしっかり着用!
バスに乗車したら、まずシートベルトを締めよう!

■取材・協力
アルモニア株式会社

東京都杉並区高円寺南2-21-21

シティアクセス
神奈川県横浜市中区新山下3-8-45

■参考資料

消費者庁「貸切バスの利用に関する消費者意識調査について」
※平成28年3月に、国内のバスツアーや高速乗合バスを利用したことのある20歳以上の消費者2,500人に対し、使用状況や安全性に関する意識等について行ったアンケート調査

国土交通省「バス乗車の際はシートベルトを締めましょう!!」
平成26年交通事故統計(シートベルト着用有無別致死率)

国交省・警察庁が作成したリーフレット
国土交通省・警察庁が作成したシートベルト着用啓蒙リーフレット
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この記事を書いた人
バス観光マガジン編集部 編集ライター

バス観光マガジンの中のヒト。貸切バスについての基礎知識やバス旅行のヒント、バスファンのための情報など、バスに関する楽しいコンテンツを日々お届けします。

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