三菱ふそうのローザ

小型マイクロバスってどんなバス?「三菱ふそう・ローザ」編

バスメーカー・自動車メーカーが製造する小型マイクロバス。第1回目は三菱ふそうのローザをご紹介しましょう!

ローザが誕生したのは1960年。新三菱重工業が、中型トラック「ジュピター」をベースに開発したもので、マイクロバスとしてはやや大きめの車体。当時、唯一の全長6mクラスで、メルセデス・ベンツL319のスタイリングに影響を受けたもので「だるまローザ(1960年~1973年)」とも呼ばれました。

その後、1963年に三菱日本重工業が「三菱ふそう・ライトバス(1963年~1966年)」を発売。「だるまローザ」に比べて一回り小さめ。その後、1966年に後継者として登場したのが「ライトローザ(1966年~1973年)」です。この時のモデルが、現在のローザのご先祖様になります。

当時のローザは車体も大きく、”働く車”を意識したつくりで高品質を追求。自家用でマイクロバスを気軽に使いたいというニーズに答えるため、モデルチェンジしたのがこの「ライトローザ」でした。

小型マイクロバスでは初!1986年にグッドデザイン賞を獲得

アドバンス・グレードのローザ
上級グレードの”アドバンス”(写真提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

“2つのローザ”が存在してきましたが、1973年4月のフルモデルチェンジを機に1本化。2代目はプリティローザ(1973年~1986年)として親しまれました。

その後、1986年に3代目ニューローザ(1986年~1997年)がデビュー。人間工学を取り入れた運転操作レイアウト、MS7系エアロバス(現:エアロエースのご先祖様)のデザインを取り入れた外観などが話題に。

すぐれたデザインに送られるグッドデザイン賞(1957年に創設された日本唯一の総合的なデザイン評価・推奨制度で公益財団法人日本デザイン振興会の主催)を1986年に受賞。

同じ年には特別仕様のロイヤルを追加。ゆったりとしたシートピッチ、テレビやビデオ、冷蔵庫を装備し、ちょっと贅沢な観光バス仕様として注目されました。

その後マイナーチェンジを繰り返し、ローザでは初めてというオートマタイプ、4WD(4輪駆動)を追加発売。1995年には、デザインの変更とともに平成6年排出ガス規制に適合させています。

排出ガス規制に適合しながら、多彩なラインナップを展開

そして4代目ローザが登場するのが1997年。マイクロバスでは初めて、エアバッグを運転席に設定。そして、唯一乗降口が前輪のすぐ後ろに設定され、丸形のヘッドランプ、テールランプを採用した丸みのある外観が注目されました。

平成6年~平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合させながら、モデルチェンジを繰り返し、環境性能を高めてきました。平成27年度には重量車燃費基準を達成。トップクラスの環境性能と同時に省燃費を実現しています。

現在のラインナップは「ショートボディ(全長6,245㎜)・25人乗り」

三菱ふそう・ローサ ショートボディ
ショートボディ(TPG-BE640ESA・撮影用特別仕様車)
ローザの座席
座席はスタンダード仕様

【SHORT BODY】
●25人乗り
●全長:6,245mm
●全幅:2,010mm
●全高:2,645mm
●129kW(175PS)
●6AMT/5MT

「ロングボディ(全長6,990㎜)・29人乗り」

ローザロングボディ
ロングボディ(TPG-BE640GSA・撮影用特別仕様車)
ローザの座席
座席はスタンダード仕様

【LONG BODY】
●29人乗り
●全長:6,990mm
●全幅:2,010mm
●全高:2,645mm
●129kW(175PS)
●6AMT/5MT

大きさでは中型バスに相当する「スーパーロングボディ(全長7,730m)・33人乗り」の3タイプをラインナップ。

ローザスーパーロング
スーパーロング(TPG-BE640JSA・撮影用特別仕様車)
ローザの座席
座席はスタンダード仕様

【SUPER LONG BODY】
●33人乗り
●全長:7,730mm
●全幅:2,010mm
●全高:2,645mm
●129kW(175PS)
●6AMT/5MT

グレードは、シンプルな装備の「ベーシック」、高機能な「スタンダード」。さらに便利な装備を加えた「アドバンス」、特別な内装を施した「プレミアム」。

この他、幼稚園の送迎バスとして子どもたちの体系や行動などに配慮して設計した「幼児車グレード(ハイルーフ・ロールーフの2タイプ)」

幼児車グレードのローザ
写真はハイルーフ・撮影用特別仕様車

コミュニティバスなどに最適な「路線仕様のマイクロバス」

路線バスタイプのローザ
撮影用特別仕様車
路線バス仕様のローザ車内

電動リフト付きのマイクロバス「チェアデッキバージョン」があります。

チェアデッキバージョンのローザ
撮影用特別仕様車
室内格納式パワーリフト付きのローザ
プラットフォームの寸法は、介添え人が同乗できる奥行1,365mm×幅830mm

さらに一時期、製造が中断されていた4WD車が平成27年11月に平成22年排出ガス規制をクリアしたタイプとして生まれ変わって発売開始!降雪地域での乗合バスやスキー場への送迎車としてニーズの高かった国内唯一の4WDモデルは、待望の復活となりました。

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ハイレベルな環境性能と省燃費を両立!三菱ふそうならではの最先端テクノロジー

ディーゼルエンジンというと、環境への負荷が気になるところ。ローザは「BlueTec(R)テクノロジー」を導入。2005年にメルセデス・ベンツトラック社(ダイムラー・トラックグループ)が開発した技術をベースに、三菱ふそう独自の研究開発で生み出されたもので、排ガスをクリーンにする最新の環境技術です。

排出ガスをクリーンに保つ最新技術
(画像提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

簡単に説明すると、エンジンから出た排気をまずセラミックフィルター(DPF)で粒子状物質(PM)除去し、BlueTec(R)廃棄後処理装置で尿素水(AdBlue)でNOx(窒素化合物)を化学反応により無害な窒素と水に分解。厳しい排出ガス規制をクリアしたクリーンディーゼルを実現しています。

そのクリーンさは、なんと、ポスト新長期規制値よりもNOx・PMともに30%低減レベルを達成!

ポスト新長期排出ガス規制よりも低減
(画像提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

低排出ガス車認定車・九都県市指定低公害車を国内のマイクロバス(小型バス)で唯一取得。環境負荷の少ない事業運営を評価する「グリーン経営認証」取得に役立っています。

経済的な走りを支えるのは、エンジンの燃焼効率の高さ(高性能型3リットルエンジン4P10)とマイクロバスでは初めての採用となる機械式オートマチックトランスミッション(デュアルクラッチ式AMT”DUONIC2.0”)によるもの。

発進から加速、高速走行とスムーズでパワフルな走りはプロドライバーさんたちからも高評価を受けています。

1リッターあたり5.8㎞~8.4㎞は画期的。自動車重量税が60%、自動車取得税が50%、それぞれ減税される新エコカー減税対象(平成29年3月31日まで)になっています。

安全性の高さもEC規制(欧州の乗員保護規制)に適合!

車体が軽く、事故を起こした時のダメージが気になるマイクロバスですが、ローザは客席安全性も世界規格。

ELR付3点式シートベルトを採用
(写真提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

客席にELR付き3点式シートベルト(衝突時にベルトをロックしてしっかりホールドする)を正座席すべてに標準装備しています。また、補助席にもELR付き2点式シートベルトを採用。より強い衝撃にも耐えられるよう、シートそのものの取り付けも強化しています。

また、衝突した際、頭を前の座席に打ちつけてけがをしないよう、シートバックにショックを低減する工夫がほどこされています。

特に小さい幼児を乗せる「幼児車」は、背もたれ後面に保護クッションを設けるとともに、背もたれの高さも約120㎜アップして、安全性を向上。

幼児車の内装
(写真提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)
頭を打ち付けてケガしないように保護されたシートバック
(写真提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

車両安全対策検討会が平成25年3月に取りまとめた「幼児専用車の安全性向上のガイドライン」に素早く対応してモデルチェンジしています。

また万が一に備え、ブレーキ操作を補助するシステム「Power-ABS」を標準装備。急ブレーキをかけた際に、タイヤがロックして路面上をスリップしないようにブレーキ操作をコンピューター制御等で自動化し、ドライバーさんをアシスト。

Power-ABSシステム
(画像提供:三菱ふそうトラック・バス)

狭い道や曲がり角もスイスイ走る小回りの良さがマイクロバスの魅力!乗用車感覚で運転できるローザはプロドライバーさんに人気が高いのもうなずけますね。

復活が切望されていたローザ4WD

待望のローザ4WDタイプが復活!
(写真提供:三菱ふそうトラック・バス株式会社)

四輪駆動のマイクロバスはローザが唯一。平成22年度排出ガス規制を受け、2WD車の適合対策を優先するため、一時製造を中断していました。

この4WDローザは雪道走行ではなく、あくまでもオンロード(寒冷地での凍結路面)での利用を想定した仕様で、山間部などでのコミュニティバスやスキー場と宿との送迎バスとして機動力を発揮してくれます。

2WDモデル同様の環境性能、省燃費性能を踏襲。安全性についてもEC規制をクリア。滑りやすい路面等でも安定した走りを維持するためにフルタイム4WDトランスファ(VCU式LSDセンターデフ)を採用しています。

また、寒冷地を想定し、車の後ろのガラスには熱線による曇り予防(リヤウィンドデフォッガ&リヤワイパー)を施してあります。この他、不凍液は−35℃対応、プレヒーター10KW、フューエルフィルターヒータを装備。

4WDにも「ベーシック」、「スタンダード」、「アドバンス」、「プレミア」グレードが用意されているので、豊富なバリエーションから選択できます。

「ローザ」はバスメーカーが製造するマイクロバスとして、ムラのない電着塗装(下塗・さび止め)に加えて、多層コートを施すことで優れた防錆性・色あせ予防を発揮し、長く愛用できるため、中古マイクロバス市場でも人気が高いといわれていますよ。

貸切マイクロバスを利用してバス旅行を楽しんだ際に、三菱ふそうのローザに出会うかもしれませんね!

ちなみに編集部Iは、7月に恵美観光バスさんの運行で山梨まで日帰りワイナリーツアーに出かけてきました!

この時のマイクロバスが三菱ふそう・ローザ。

恵美観光バス所有のローザ
恵美観光バスさんのローザ
ローザで日帰りバス旅行!

最後に訪れたワイナリー「ルミエール」さんまでは細くて曲がりくねった道が続くのでマイクロバスが入れるか心配でしたが、中型バスまでは大丈夫!とのことだったので立ち寄ることに。

マイクロバスならまったく心配なく、スムーズに駐車場まで登れました。

ワイナリー巡りということで、もちろん車内でも、ワイナリーでもしっかりワインをいただきましたが(笑)、プロドライバーさんの運転で安心してバス旅行を満喫できましたよ!

乗り心地もバッチリでした。

ドライバーさんの技術はもちろん、バスそのもの乗り心地にも注目して楽しんでみてはいかがでしょうか?

もちろんマイクロバスを運転手付きで借りるなら「貸切バスの達人」にお任せくださいね。

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バス製造メーカー紹介三菱ふそう・ローザ編日野自動車・リエッセⅡ編いすゞ自動車・ジャーニー編トヨタ自動車・コースター編日産自動車・シビリアン編

■取材協力
三菱ふそうトラック・バス株式会社
「ローザ」製品情報

恵美観光バス
埼玉県新座市片山2-8-9

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この記事を書いた人
バス観光マガジン編集部 編集ライター

バス観光マガジンの中のヒト。貸切バスについての基礎知識やバス旅行のヒント、バスファンのための情報など、バスに関する楽しいコンテンツを日々お届けします。

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