小型マイクロバスってどんなバス?「日産自動車・シビリアン」編
小型観光バスが製造されなくなって、大型の観光バスをコンパクトにしたようなバスがなくなってしまいまいました。
今回ご紹介する日産自動車「シビリアン」は、大型観光バスをほうふつとさせるスマートなスタイルで人気の小型マイクロバスでした。しかし2021年2月で生産が終了となっています。
小型マイクロバスを使った日帰り旅行や1泊2日旅行など、10~20人ぐらいの旅行にはぴったりなサイズ。また、「シビリアン」は、いすゞ自動車のマイクロバス「ジャーニー」へOEM供給していましたが、こちらも生産終了となっています。
「シビリアン=CIVILIAN」という名前は、英語で一般市民、民間人、文民という意味。製造は日産自動車の関連会社、日産車体になります。日産車体はもともと航空機を製造していた会社。伝説のスポーツカー、フェアレディZを手掛けた会社です!
日産自動車の小型マイクロバスは1959年に誕生
日産自動車が手掛けた小型マイクロバスは1959年に初代キャブオールマイクロバスが誕生。生産は現在、キャラクターバスや火災調査車、レトロバス、移動図書館車などの架装を手掛けるオートワークス京都が担当しました。
大型リアエンジンバスをベースにデザインされたスタイルで、その意匠は現在のシビリアンにも通じるものがあります。
シビリアンの初代が誕生するのは1971年。1982年にフルモデルチェンジをし、車体サイズがひとまわり大きくなりました。マイナーチェンジを重ねながら、1993年にいすゞ自動車にOEM供給をスタート。1999年にフルモデルチェンジ。
2003年にCNG車(圧縮天然ガス自動車)を発売スタート、2004年には国内マイクロバス市場では唯一になるガソリン車を発売開始しました。
2007年の改良でガソリン車が新長期規制に適合したタイミングでディーゼル車の発売を終了。翌年に復活するものの、ガソリン車のみのラインナップになっていました。
2008年6月から2021年2月まで生産を続けていましたが、現在は終了となっています。
豊富なラインナップが自慢のシビリアン!
シンプルでタフ、コストパフォーマンスのよい「SX」。
昇降口に乗り降りをスムーズにアシストする3段ステップを標準装備。ドアは折戸とスイングドアの2タイプあります。
座席はビニールレザー。室内は落ち着いたグレートーンでまとめられています。
【標準ボディ】
●26人乗り
●全長:6,270mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635㎜
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,990mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635㎜
*オプションにより、全長が標準6,275㎜、ロング6,995mになる場合があります。
一つ上の上質感、シビリアンSV。
リクライニングシート、UVカット断熱プライバシーガラス、オート式スイングドアを標準装備。くつろぎ感がUPしています。
【標準ボディ】
●26人乗り
●全長:6,275mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635㎜
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,995mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635㎜
シビリアンのハイグレード仕様車「GL」。
快適な乗り心地を支えるエアサスペンション、フルオートエアコン、UVカット断熱プライバシーガラスなど、快適なドライブをサポートする贅沢な仕様です。
リクライニングするシートの生地はスウェード調クロス。乗車定員25~29人乗りのマイクロバスクラスでは、トップクラスを誇る座席幅が自慢!天井が高く、ワイドなサイドウインドウで眺望も抜群。足元にもゆとりがあり、快適に車内で過ごせます。
乗降口はオート式スイングドア。ドア本体を内側からアームで支え、開く際にドアがボディ(車体)に沿って動くタイプです。
オゾンセーフオートエアコン(客席天井吹き出し口ベンチレーターシャット機能付き)、CD一体型AM/FMラジオ、バックビューモニターが標準装備されています。
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,995mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,625㎜
そして、「幼児専用車の車両安全性向上のためのガイドライン」に対応した幼児車。
高さをUPしたシートバック、背面部分にクッション材を入れ、座席前のパーテイションパイプの形状変更とクッション材を追加し、万が一の場合の安全性に配慮しています。
「なかよし動物音楽隊」の柄がかわいいシート。
ストッパー付きのサイドウインドウやプロテクター付きひじ掛け、開口部が広い非常扉などを採用し、予測しにくい小さい子どもの動きを考えた設計になっています。
【標準ボディ】
●大人3人・幼児41人/大人3人・幼児39人乗り
●全長:6,270mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,610㎜
【ロングボディ】
●大人3人・幼児51人乗り
●全長:6,990mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,610㎜
環境負荷軽減はもちろん、リサイクル性の向上にも取り組む日産
平成17年排出ガス規制とともに、九都県市低公害車指定制度にも適合(ガソリン車)。燃費を向上させることでCO2(二酸化炭素)の排出量を削減しています。
また、シビリアンのTB45Eガソリンエンジンは、黒煙をほとんど出さないというエンジン特性に加え、NOx(窒素酸化物)やNMHC(非メタン炭化水素)の排出量も大幅に低減。厳しい新長期規制(平成17年排出ガス規制)に適合しています。さらに、九都県市低公害車指定制度の平成21年優低公害車に適合しています。
もう一つ、日産は環境への取り組みの推進を環境大臣に約束し業界をリードする「エコ・ファースト企業」の認定を受けています。
このため、シビリアンでもリサイクルしやすい材料(熱可塑性樹脂)や再生された材料を使用。樹脂・ゴム部分への材料マーキング等を行うことで、資源の有効利用にも力を入れていました。
小型マイクロバスの旅を安全に!シビリアンの安全性能
日産では「SAFETY SHIELD クルマが人を守る」という考え方。さまざまな場面でのバリア機能を働かせ、少しでも危険を回避、軽減するようサポートする車づくりを行っています。
急ブレーキ時のタイヤロックを起こしにくいABS(アンチロックブレーキシステム)を全グレードの車両に導入。ブレーキの過熱を抑える放熱効果の高いフロントベンチレーテッドディスクブレーキを採用しています。
また、全座席にELR付き3点式シートベルトを装備(幼児車を除く)。衝突時にマイクロバス車外へ放りだされる可能性を低減する接着式合わせガラスをフロントウインドウに採用しています。
夜間の走行でも見えやすい配光特性に優れたハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベライザー付)をはじめ、ハイマウントストップランプ、バックビューモニター、助手席手動格納式リモコン広角アウトサイドミラーなど、安全運転をサポートするさざまな装備を用意しています。
リフト付きの福祉バス仕様もあり!
電動リフト付きバスは、全国的にどのバス会社も所有台数が少なく手配しにくいバスの一つになっています。
シビリアンでラインナップしているハートフルサルーンは、車椅子のままバス車内へ楽々移動できる電動リフト付きタイプ。
開口幅は広々、オート式3枚折戸。車いすごと楽々乗り降りできる全自動式昇降リフタータイプと、バスの床下格納式昇降リフタータイプの2種類あります。
室内格納式は、定員24名、うち車椅子2台と定員18名、うち車椅子4台。床下格納式は、定員22名、うち車椅子4台のレイアウトです。
小回り抜群!ミニバスタイプの「キャラバン マイクロバス」
ちょっとややこしいですが・・・。商業車として人気の車種「NV350キャラバン」にラインナップされているのが、10人~13人乗りの”ミニバス”タイプ「マイクロバス」。
こちらも所有しているバス会社が少ないので、手配しにくいバスのひとつ。
開口部分が広いスライドドア、クッション性に優れた幅広シートなど、乗り心地抜群で結婚式送迎や法事の送迎に人気があります。
サイズは全長5,230㎜、全幅1,880㎜、全高2,285㎜。ガソリンエンジンもしくは、ディーゼルエンジン、グレードはDXとGXの2タイプです。乗車人数は14名定員で、運転手さんを除き、最大で13名乗れます。
こちらのタイプは、運転手なしでレンタカー会社で借りることもできますが、免許は「中型免許(限定解除)」以上でないと運転できないので注意です。(定員10人以下のバンタイプであれば普通免許でも可)
部活の遠征や練習試合などで、バスだけ借りたい!という問い合わせが良くありますが、バス会社ではバスのみのレンタルは行っていません。運転手付きでも料金があまり変わらないことが多いので、プロのドライバーに運転を任せて、リラックスして移動するのがおススメですよ!
ちなみにマイクロバスもミニバス(コミューター)もバス料金は同じ。ミニバスがなくても、マイクロバスなら空きがあるかも!料金はまったく同じなので、ミニバスで空きが見つからなかったら、マイクロバスで探してみましょう!
▼マイクロバス情報まとめ
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■取材協力
日産自動車
※日産自動車「シビリアン」は2021年2月で生産終了していますのでご注意ください。
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