小型マイクロバスってどんなバス?「いすゞ自動車・JOURNEY」
いすゞ自動車が販売する小型マイクロバス「JOURNEY(ジャーニー)」。現行モデルは、日産自動車「シビリアン」のOEMです。2021年2月2日でシビリアンが生産終了になったのに伴い、現在ではジャーニーも生産終了となっています。
名前の由来は「JOURNEY(ジャーニー)=長い旅」の意味。
送迎バスとして人気の小型マイクロバスですが、グループ旅行や小規模な社員旅行、サークル旅行などにも人気で日帰りから2泊3日旅行などにもよく使われています。
「ジャーニー」が登場するのは1970年代。15人乗りの「ジャーニーS」で、1959年に登場した小型トラックのエルフをベースに作られたものです。同じ年には26人乗りの「ジャーニーM」、29人乗りの「ジャーニーL」が発売され、1972年には「ジャーニーK(中型バス)」を、1977年に「ジャーニーQ(中型・小型バス)」を発売しました。
1993年より自社開発から日産自動車「シビリアン」のOEMに。1995年8月にマイナーチェンジをし、平成6年排出ガス規制に適合したモデルになりました。
1999年2月にモデルチェンジしたものが現在の「ジャーニー」。途中、ディーゼルエンジンに復活した時期もありましたが、現在ではガソリンエンジンのみのラインナップになっています。
ちなみに、小型バスタイプのいすゞ自動車「ジャーニーJ」は、日野自動車「リエッセ」のOEM供給を受けていましたが、2011年に製造終了になったことを受け、観光系マイクロバス「ジャーニー」のみがラインナップされていました。
しかし、日産自動車「シビリアン」が2021年2月で生産終了。それに伴い、いすゞ自動車の「ジャーニー」も生産終了となりました。
ガソリンで走るところがユニークな小型マイクロバス「JOURNEY(ジャーニー)」
通常、バスなどの大型車はディーゼルエンジンを使っています。ガソリンエンジンとの違いの一つは「点火プラグ」があるかないか。
ガソリンエンジンには点火プラグが付いており、燃焼室内に入ったガソリンに点火プラグから出た火花で引火させて爆発を起こし、タイヤを動かしています。
ディーゼルエンジンの場合は、直噴インジェクターと呼ばれるものが付いており、高圧のディーゼル燃料(軽油)を勢いよく噴霧し、自然発火をさせて爆発を起こしています。
「力強さ(トルク)」ではディーゼルに敵わない点がありますが、静粛性が高く、高回転まで回る「伸び」の良さが特徴。比較的軽量で製造コストが安いというメリットもあります。
「ジャーニー」のエンジンはパワフルで吹き上げの良さが魅力。しかも乗用車並みに静かでノイズの少ない走りができます。黒煙がほとんど出ず、NOx(窒素酸化物)、NMHC(非メタン炭化水素)の排出量を大幅に低減。
平成17年排出ガス規制に適合したクリーンエンジン(TB45E)で、九都県市低公害車指定制度(平成21年優低公害車)にも適合しています。
また、小型マイクロバスというと乗り心地が気になりますよね?長距離移動でも疲れない走りのため、「ジャーニー」ではエアサスペンション(カスタム)とリーフサスペンション(デラックスG、デラックスE、幼児車)の2タイプ。
リーフサスペンションは、複数の板バネで支える構造のサスペンションで、軽トラックなどによく採用されているもの。とても丈夫で重い荷物を載せてもしっかり支えてくれること、コストをおさえ、メンテナンスしやすいというメリットがありますが、乗り心地が硬めになるというデメリットがあります。「ジャーニー」では、このリーフサスペンションの硬い乗り心地を和らげ、乗り心地を快適にコントロールしています。
また、路面の凹凸からの衝撃をソフトに吸収する「エアスプリング」は、乗車人数の少ない・多いに関わらず、常に最適な車高を維持し、乗り心地を快適に保る車高自動調整式になっています。
ベーシックから上級グレードまで、多彩なラインナップ
「ジャーニー」の中でいちばんベーシックなグレードの「DELUXE E」。
マイクロバスの扉は手動スイングドアと手動折戸の2タイプ。運転手・補助席を含め、29人乗りのロングボディ、26人乗りの標準ボディがあります。
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,990mm(オプションなしの場合)
●全幅:2,065mm
●全高:2,635mm
●127kW(173PS)
●4AT/5MT・リーフサス
【標準ボディ】
●26人乗り
●全長:6,270mm(オプションなしの場合)
●全幅:2,065mm
●全高:2,635mm
●127kW(173PS)
●4AT/5MT・リーフサス
上質感のあるバリューグレード「DELUXE G」。
扉はオート式スイングドア。UVカット断熱プライバシーガラスも標準装備。29人乗りのロングボディ、26人乗りの標準ボディの2タイプあります。
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,995mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635mm
●127kW(173PS)
●4AT/5MT・リーフサス
【標準ボディ】
●26人乗り
●全長:6,275mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,635mm
●127kW(173PS)
●4AT/5MT・リーフサス
高級感のある上級グレード「CUSTOM」。
室内の空調を快適に保つオゾンセーフオートエアコン(客席天井吹き出し口ベンチレーターシャット機能付き)、UVカット断熱プライバシーガラスを標準装備。エアサスペンションで快適な乗り心地をキープ。
【ロングボディ】
●29人乗り
●全長:6,995mm
●全幅:2,065mm
●全高:2,625mm
●127kW(173PS)
●4AT/5MT・エアサス
この他、福祉車両として「Friendly(フレンドリー)ジャーニー」をラインナップ。
車椅子に乗車したまま、介助者とともにスムーズに車内へ移動できる室内格納(全自動)式乗降リフター付きのタイプ。
【ロングボディ】
●24人乗り(うち、車椅子2名)
●18人乗り(うち、車椅子4名)
床下にプラットフォームを収納し、スペースの広さを確保した床下格納(半自動)式乗降リフター付きのタイプ。
【ロングボディ】
●22人乗り(うち、車椅子4名)
そして、幼稚園の送迎用に利用される幼児車タイプ。
【ロングボディ】
●大人3人、幼児51人乗り
【標準ボディ】
●大人3人、幼児41人乗り/大人3人、幼児39人乗り
2013年3月に車両安全対策検討会で取りまとめられた「幼児専用車の車両安全性向上のためのガイドライン」に対応済。
シートの背面にクッションを設定し、シートの高さもアップ。助手席側最前列のシート等、前列にシートバックがないところは、全面にプロテクターを設定しています。
小型マイクロバスの旅を安全に快適に楽しめるように
もちろん、急ブレーキをかけなければならない場面はないことが大前提ですが、路面の状況、歩行者の飛び出しなどでどうしても必要な場合があります。
そんな緊急時をサポートしてくれるシステムとしてABS(アンチロックブレーキシステム)を搭載。急ブレーキ時でもタイヤのロックが起こりにくいので、車両の安定性が維持でき、障害物の回避がしやすくなります。
さらに放熱効果が高いフロントベンチレーテッドディスクブレーキを全マイクロバスに装備。2枚のブレーキディスクの間に空気が通り、放熱効果を高めた構造のものです。ブレーキを連続で使用した際に、ブレーキの効きが悪くなる「フェード現象」が起きにくいのがメリットです。
快適性能としては、マイクロバスの室内が広々としているところ。左右の幅は1,900㎜、長さはロングボディで6,305㎜、標準ボディで5,585㎜あります。座席の感覚を750㎜と広めにとり、大きめのサイドウインドウで解放感を演出。マイクロバスで観光旅行を楽しみたい!というときに寛げますね。
座席は低反発素材のクッションを使用し、シート幅も広め。男性でも窮屈に感じないように工夫されています。
また、振動音や風音をおさえるボディ構造で車内はとても静か。会話を楽しみながら移動できますね!
送迎はもちろん、小グループでの観光旅行にも人気の車種、マイクロバス。気軽に利用できる貸切バスのひとつです。
個人でも借りやすいサイズなので、「貸切バスの達人」から見積りを取り寄せてぜひ検討してみては?
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■取材協力
いすゞ自動車株式会社
※2021年2月にOEM供給元の日産自動車「シビリアン」が生産終了となり、いすゞ「ジャーニー」も生産終了しています。
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