高速バスは貸切りできる?
高速バス借りたい!!
「貸切バスの達人」事務局によくある問い合わせ、今回は高速バスの貸切について詳しくレポートしましょう。
先日、トイレ付き観光バスの貸切でお世話になった京王電鉄バスさんに高速バスの貸切についても取材しました。
結論からいうと「高速バス」を貸切ることはできません!
終わり・・・。では、身もふたもないので、その理由をお伝えしましょう。
高速乗合バスと貸切バスでは事業免許が違う・・・
ちょっと面倒くさいのですがお付き合いを・・・。
高速バスや貸切バスの仕事をする場合、「道路運送法」という法律の「旅客自動車運送業(お客様を乗せて料金を頂戴し、自動車やバスで目的地まで運ぶ仕事)」でその種類が定められています。
路線バスや高速乗合バスを運行する場合は「一般乗合旅客自動車運送業」
貸切(観光)バスを運行する場合は「一般貸切旅客自動車運送事業」
ついでにタクシーやハイヤは「一般乗用旅客自動車運送事業」といいます。
ちなみにバス事業とタクシー事業の境目は1度に運ぶ乗客の人数が「11人以上」なら貸切バス事業、「10人以下」ならタクシー事業となります。
なので、車の大きさもジャンボタクシーはだいたい9人乗りまで。バス会社で扱うミニバス(コミュータータイプ)なら10~13人乗りになっているわけです。
それぞれ国土交通省に許可を得て、事業をスタートさせるわけですが、いわゆる路線バス・高速乗合バスは、決まった路線を決まった頻度(時刻表に基づいた運行)で運行。不特定のお客様が利用するものです。
このため、事業を始める前に運行系統や運行回数などの「運行計画」を決め、申請する必要があります。また、運賃や料金も事前に申請する必要があり、上限について認可を受けます。
普段、利用している路線バスを思い出してみてください。基本、時刻表通りにバスはやってきて、同じルートを走ります。料金や運賃がくるくる変わることもありませんよね?
一方、貸切バスは、1回1回の契約で運行するもの。特に決まった路線を走るわけではありません。ただし、大勢の人を一度に運ぶため、安全な運行管理を徹底する必要があり、国家資格を持つ「運行管理者」が貸切バスの運行前に行程を決め、スケジュール通りに走らせなければなりません。
「貸切バスの達人」事務局に「当日、行き先変更してもいい?」、「何にも決まってない、その日に行き先決める」などの問い合わせをいただくことがよくありますが、これは「できない」ことがおわかりいただけたでしょうか?
また、料金体系も乗合高速バスとは異なり、国土交通省が2023年8月25日に公示した「新公示運賃額」を最低基準として、安全対策のコストが反映された「距離と時間」で算出されます。
路線バスや高速バスなどのように同じルート、時刻表にのっとって定期的に走らせるわけではなく、出発・帰着地も異なるので、1回1回料金を計算し、支払うことになります。
つまり、高速バスを貸切りして東京から大阪まで格安で行きたい!
と、思う気持ちは十分に理解できるのですが、これは無理。高速バス(一般乗合登録車両)を貸切りして走らせることはできないのです。
ただし、高速バスで使用している車両と同じ仕様(座席や内装などが同じ)で「貸切登録」している場合があるので、それを貸切バスとして利用することはできます。
たとえば、トイレ付きのバスとか、最近注目されている1列ずつの独立シートで3列になっている高速バスや、座席数を減らして快適に移動できるタイプもバスなど、人気の高速バスがありますよね?
こういった特別な仕様のものを「貸切登録」しているバス会社さんもいないわけではないので、所有しているバス会社さんに問い合わせてみてもいいでしょう。
ちなみに京王電鉄バスさんでも高速バスと同じタイプ(仕様)で「貸切登録」している車両があるそうです。
【高速バスを貸切りする場合の注意点まとめ】
■定期運行している高速バスを貸切りすることはできない
■「一般乗合登録」されている高速バスを「貸切」車両として運行することはできない
■「貸切登録」されている高速バスと同じタイプ(仕様)のものは貸切OK!
※貸切バスとして運行する場合は、路線バスや観光バスの貸切と条件(行程は事前に決めて走らせる、出発・帰着地は営業所のあるエリアから、料金体系など)は同じです!
全く同じルートを走らせるなら貸切でも料金は「高速バス」と同じになる?
残念ながらなりません。
路線バスと同じで、「貸切」運行する場合は、すべて観光バスの貸切と同じ料金体系で計算します。
たとえば京王電鉄バスさんの「調布~東京ディズニーリゾート」路線は、往復大人2,600円で運行されていますが、貸切運行した場合は大型バスに45名乗車で1人当たりのコストは2,200~3,200円ぐらい(国土交通省が配布している”貸切バスの運賃・料金簡易計算シミュレーター”を使用し、朝8時に調布を出発、帰りはディズニーランドを20時に出発したと仮定して15時間、往復100キロで計算)になります。
利用時間が早朝、深夜運行の時間帯(22時~5時)にかかる、15時間を超える場合は高くなりますので、ご注意を!
特に貸切バスの場合、深夜運行で長距離になるとぐんとお値段が跳ね上がります。たとえば、東京~大阪間の場合は、深夜料金かつ、移動距離が片道500キロを超えるため、ドライバー2名になるので通常よりも1.5~2倍はかかると思っていた方がよさそうです。
東京~大阪間の夜行バスなら、「高速バス」を利用するのが断然お得。でも、貸切はできないんだよね?
そこで京王電鉄バスさんにうかがったところ、決まったダイヤで運行する高速バスを大人数で利用したい場合は京王高速バス予約センター(Tel:03-5376-2222 受付時間:9時~20時)に直接電話で相談してくださいとのこと。
原則はお客様が高速バスを運行している各バス会社に直接問い合わせて、空きがあればまとめて予約できる!と思ってください。
(貸切バスの達人からは手配できませんのでご注意を!)
以前、高速バスをたくさん運行しているウィラートラベルさんから、予約開始と同時に一気に問合せし、まとめて座席を確保する「ツワモノ」がいる!とうかがいました。
「どうしても大勢で安く行きたい!」という幹事さん、全員協力のもとチャレンジしてもいいかも!?
少々高くなっても貸切バスの場合、好きな場所・時間に出発できるのが最大のメリット!しかも人数に合わせてバスタイプもマイクロバスから大型バスまで自由に選べます。
「高速バス」でいった場合と「貸切バス」でいった場合、どちらが得なのかは使い方次第。高速バスと貸切バスのお得な使い分け記事も参考にしてみてくださいね。
※記事内の情報は取材当時のものです。最新の情報は公式ホームページ等で必ず確認してください。
■取材協力
京王電鉄バス株式会社
http://www.keio-bus.com/
<高速バス予約の問い合わせ>
Tel:03-5376-2222 受付時間:9時~20時
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